
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
粕汁は、大根、ニンジン、ゴボウ、こんにゃく、油揚げなどの野菜をだし汁で煮込み、酒粕と味噌で味をつける味噌汁風の料理である。シャケやブリ、サバなどの魚を加えるとコクが増す。主に兵庫県の山間部で食べられており、国内最大の日本酒産地である灘五郷で働く出稼ぎ労働者が酒粕を故郷に持ち帰ったことから定着した。1月20日の「二十日正月」に正月の残りの鮭や鰤の頭や骨からだしを取り、酒粕と野菜を煮込む祝い納めの風習として食べられ、ハレから日常へのけじめとされた。家庭ごとに入れる野菜や魚の種類が異なり、現代では寒い冬場の栄養補給として普段の食卓にも登場する。
由来・歴史
兵庫県は清酒生産量の約3割を占める灘五郷を抱え、1300年前の「播磨国風土記」には日本で初めて米こうじを使った酒造の記述がある。酒粕は平安時代から魚や野菜の長期保存に用いられてきた。冬の酒造期に山間部から出稼ぎに来た人々が酒粕を故郷に持ち帰ったことから、山間部で粕汁が広まった。
食べ方
大根、ゴボウ、ニンジン、こんにゃく、油揚げなどをだし汁で煮て、酒粕を入れ味噌で味をつける。サケ、ブリ、サバなどの魚を加えるとコクが出る。1月20日の「二十日正月」に正月の残りの鮭や鰤を使って食べるほか、冬場の普段の食卓でも身体を温める食事として親しまれる。
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産地
汁物の名物

ちょぼ汁
子どもの健やかな成長を願い、産後の母へ贈られる淡路島の伝統料理。女の子にはへこませた団子、男の子にはとがらせた団子を入れる命名の工夫も独特である。

手延べ素麺のばち汁
三味線の撥に似た形から名づけられた「ばち」は、そうめんの端っこ部分でコシが強いのが特徴。ゆでずに鍋に入れる手軽さから、浅口市鴨方町の家庭で冬の日常食として親しまれている。

たかきび団子汁
高さ3メートルに育つ「たかきび」を、収穫から精白まで長い手間をかけて粉にし、団子汁にする。寒い季節、家族で囲炉裏を囲みながら食べる、岡山県西部の伝統的な味。

船場汁
鯖のあらまで余さず使う大阪らしい「始末の料理」。明治から大正の船場の商家で、忙しい日々を支えた質素ながら滋味深い潮汁である。

つぎ汁
「きったて」と呼ばれる専用の容器から、箸で混ぜながらお椀に次いで回る独特の供し方が名の由来。辛みと甘みが絶妙に調和した、郡上市明宝寒水地区でしか味わえない希少なお吸い物である。

すったて汁
「どぶ汁」の異名を持つ白川村の名物。豆腐作りの過程で生まれた大豆の搾りかすを使った汁物が、世界遺産の合掌造り集落でハレの日に供されてきた。
兵庫県の名物

神戸ビーフステーキ
「神戸ビーフ」という牛の種類は実は存在しない。但馬牛の厳格な基準を満たした肉にのみ与えられる称号であり、1859年の横浜開港を機に外国人に好評を博し、世界に名を馳せた。

山椒の佃煮
江戸時代に幕府献上品となった朝倉山椒と、絶滅危機から復活を遂げた有馬山椒。トゲの有無や香りの違いが両者の特徴で、醤油ベースの佃煮はご飯のお供として親しまれる。

ハモすき
鳴門海峡の激しい潮流が育む淡路島ハモと、甘み豊かな島のタマネギを合わせた夏の鍋料理。京都祇園祭や大阪天神祭でも欠かせない魚として、江戸時代から商都の食文化を支えてきた。

とふめし
120年前、長老の機転から生まれた混ぜご飯。山の里ながら鯖を使うのは、鯖街道が通っていたから。丹波篠山・大山地区の集いの象徴的な味である。

鯖寿司
鯖街道の塩漬け鯖がちょうどいい塩加減に熟成する丹波篠山で生まれた、酢で締めた塩鯖の寿司。姿寿司・棒ずし・にぎりと形はさまざまで、秋祭りのごちそうとして今も伝わる。

出石皿そば
徳利のつゆに小皿のそばを次々とつけて食べる、豊岡市出石町の名物。300年前に信州から来た職人が技術を伝え、今も約40店で味わえる。