
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
たかきび粉を練って作った小さな団子を、ごぼう・にんじん・だいこん・しいたけ・ちくわなどを炒めただし汁に入れた汁物である。団子はつるりとまろやかな舌ざわりで、ねばりと芳ばしさが特徴のたかきびの風味が際立つ。主に総社市、井原市、高梁市、新見市など岡山県西部に伝承され、丘陵地帯でたかきびが栽培されてきた背景がある。秋が深まり気温が下がる時期、家族で囲炉裏を囲みながら食べられてきた。現在は米が主食となりあまり食べられなくなったが、豊作と無病息災を願って年に1度は食べる習慣が残っている。家庭ごとに具材や味付けに違いがあり、醤油ベースのだし汁で煮るのが一般的である。
由来・歴史
たかきびは中国大陸から伝来したコウリャンの一種で、別名「モロコシキビ」とも呼ばれる。アメリカ原産のトウモロコシとは異なり、高さ3メートルほどに育ち、先端に赤褐色の小粒が集まった穂をさげる。中国のものとは異なり、ねばりがあり芳ばしい風味がある。たかきび粉の製作は手間がかかり、収穫後に乾燥させ、翌年の種は軒下に吊るして保存する。木槌で叩いてからぬきし、精白して粉にするが、この際アク抜きが重要で、寒の時期に10日間ほど水を換えながら浸す。
食べ方
だし汁にごぼう・にんじんを入れて煮、下ゆでしたこんにゃく・だいこん・ちくわ・油揚げを加えて煮立たせる。練ったたかきび粉を直径1.5cmほどに丸めて鍋に入れ、団子が浮いてきたら醤油などで味を整え、最後にねぎを入れる。秋から冬にかけて、特に気温が下がる時期に家族で囲炉裏を囲みながら食べられ、年に1度は豊作と無病息災を願って食べる習慣がある。
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産地
団子の名物

お嫁さん団子汁
出産した女性に贈られる「おごうさん」と呼ばれるお嫁さんのための汁物。男の子には繭形、女の子には丸形の団子を入れる風習があり、母乳がよく出るようにとの願いが込められている。

だんご汁
球状ではなく薄く帯状に引き伸ばした「だんご」が特徴。米不足の時代に主食代わりとして親しまれ、今も大分のソウルフードとして愛される。

ふたたびだんご
「ふたたび」とは、生地を二度こねる独自の製法に由来する。もち粉と小麦粉を混ぜ、よもぎを加えて蒸した後、再びこねることでふわっとした食感が生まれる延岡市の郷土菓子である。

初午だんご
繭の形をした団子「初午だんご」は、明治から昭和初期にかけての養蚕盛期、岐阜の農家が豊蚕を願って神に供えた縁起物。白川村では蚕飼祭りで「春駒踊り」とともに今も受け継がれる。

みそぎだんご
羽島市の伝統菓子「みそぎだんご」は、みたらし団子にあんを入れた革新的な発想から生まれた。八剣神社の「みそぎ神事」にちなむ名前で、6月末の無病息災祈願の縁起菓子として親しまれる。

三日の団子汁
赤ちゃんを産んだ母親が産後三日目に食べる、上新粉の団子入り味噌汁。母乳がよく出るようにと、ずいきや野菜を入れて栄養をつける伝統的な料理である。
岡山県の名物

けんちんそば
江戸時代から続く新見市の冬の知恵。「けんちん」とは千切りの材料を油で炒めて巻くことで、鶏がらスープのけんちん汁を手打ちそばにかけて食べる。

いしもちじゃこの唐揚げ
頭に大きな「耳石」を持つ小魚を、頭落として骨ごと揚げる瀬戸内の逸品。ほのかな甘みとねばりが特徴の、春から夏の味覚である。

しし鍋
美作の猟師から一般家庭まで広く親しまれる冬の味。イノシシの深い旨みを味噌ベースのだしで煮込み、古くから貴重なタンパク源として食されてきた鍋料理である。

ブリ雑煮
出世魚のブリを使った縁起物。岡山県南部では鰹節と昆布のだし、北部ではスルメだしが特徴的で、根菜類と共に正月の食卓を彩る。

あみとだいこんの煮付け
初秋に旬を迎える瀬戸内の小エビ「アミ」を、大根とともに甘辛く煮込む伝統の味。鮮度が命で県外にはほとんど出回らない、瀬戸内海の秋の風物詩である。

手延べ素麺のばち汁
三味線の撥に似た形から名づけられた「ばち」は、そうめんの端っこ部分でコシが強いのが特徴。ゆでずに鍋に入れる手軽さから、浅口市鴨方町の家庭で冬の日常食として親しまれている。