
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
米粉を耳たぶぐらいの硬さに練り、一口大の繭のような形に整えて蒸した団子である。味付けはきな粉がけ、醤油焼き、汁物への投入など地域により多様で、きびやそばを主材料とする地域もある。主に白川村を中心とした飛騨地域、郡上市を中心とした中濃地域、岐阜地域に伝承され、これらは養蚕に適した気候風土を持ち、繭の出荷で貴重な現金収入を得ていた。毎年2月最初の午の日「初午」に、繭の増産を祈って神前に供え、家族で食した。家庭ごとに蒸す・茹でるの違いや材料の違いがあり、近年は揚げだんごやチーズ・ケチャップを使ったアレンジ料理も生まれている。
由来・歴史
明治から昭和初期、岐阜県内の養蚕適地では繭の出荷が重要な家内産業であった。蚕が桑の葉を食べ始める前の2月初午に、繭の形の団子を神に供えて上質な繭の多生産を祈願したのが始まり。白川村では蚕飼祭りが催され、住民が七福神と舞子に扮する伝統芸能「春駒踊り」が演じられる。春駒踊りは近年、正月や結婚式など他のハレの日にも披露されるようになった。
食べ方
米粉を練って繭形に成形し、蒸して作る。きな粉をまぶす、焼いて醤油をつける、すまし汁やみそ汁・ぜんざいに入れるなど、地域ごとに食べ方が異なる。蒸さずに茹でたり、きびやそばを用いる地域もある。2月最初の午の日「初午」に、稲荷神社の祭りで神前に供え、家族で食する習慣があった。近年は揚げだんごにしたり、チーズやケチャップをつけてトースターで焼くなど、アレンジ料理も開発されている。
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産地
団子の名物

たかきび団子汁
高さ3メートルに育つ「たかきび」を、収穫から精白まで長い手間をかけて粉にし、団子汁にする。寒い季節、家族で囲炉裏を囲みながら食べる、岡山県西部の伝統的な味。

お嫁さん団子汁
出産した女性に贈られる「おごうさん」と呼ばれるお嫁さんのための汁物。男の子には繭形、女の子には丸形の団子を入れる風習があり、母乳がよく出るようにとの願いが込められている。

だんご汁
球状ではなく薄く帯状に引き伸ばした「だんご」が特徴。米不足の時代に主食代わりとして親しまれ、今も大分のソウルフードとして愛される。

みそぎだんご
羽島市の伝統菓子「みそぎだんご」は、みたらし団子にあんを入れた革新的な発想から生まれた。八剣神社の「みそぎ神事」にちなむ名前で、6月末の無病息災祈願の縁起菓子として親しまれる。

三日の団子汁
赤ちゃんを産んだ母親が産後三日目に食べる、上新粉の団子入り味噌汁。母乳がよく出るようにと、ずいきや野菜を入れて栄養をつける伝統的な料理である。

へらへら団子
「箆に似ている」「平たく押しつぶした形」など諸説ある名前の由来が興味深い、横須賀市佐島のあんころもち。江戸時代から続く船祭りで豊漁と無病息災を願い奉納されてきた。
岐阜県の名物

漬物味噌煮
鯖缶を器にした炭焼き小屋発祥の知恵料理。酸っぱく漬かりすぎた白菜を郡上味噌で煮込み、煮返しながら何日も楽しむ、飛騨の冬の味覚である。

寒干大根煮
マイナス20度の夜と太陽の日差しを繰り返し、大根が飴色に変化する。飛騨・山之村の「天空の里」で生まれた、厳冬の知恵が詰まった保存食である。

桑の木豆煮
明治・大正の養蚕業で台風から桑を守るために桑の木に絡ませた豆が名の由来。「飛騨・美濃伝統野菜」に認定される赤いかすり模様のインゲン豆を、醤油と砂糖で甘辛く煮込んだ郷土料理である。

つぎ汁
「きったて」と呼ばれる専用の容器から、箸で混ぜながらお椀に次いで回る独特の供し方が名の由来。辛みと甘みが絶妙に調和した、郡上市明宝寒水地区でしか味わえない希少なお吸い物である。

千石豆のかきまわし
「かきまわし」は混ぜご飯をかき回す様子から名付けられた岐阜市の郷土料理。明治から続く希少な「千石豆」の独特な香りと風味が、親戚が集まる席を賑わせてきた。

赤だつの酢ぶて
「だつ」とは里芋の葉柄(ずいき)のこと。山県市周辺では鮮やかな赤紫色の八つ頭のだつを「赤だつ」と呼び、産婦の体力回復を願って古くから食べられてきた。