
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
小麦粉の生地を丸めて茹で、冷水にさらした団子を野菜たっぷりの汁に合わせた郷土料理である。山口県熊毛郡田布施町を中心とした瀬戸内海沿岸部に伝わり、当地では白味噌を用いてまろやかな味わいに仕上げる。産後の女性に食べさせる習慣があり、母乳分泌を促すという意味合いを持つ。家庭によっては生まれた子の性別に応じて団子の形を変えるなど、細かな違いが見られる。現代でも地域の食文化として受け継がれ、出産祝いの一品として親しまれている。
由来・歴史
練り粉の汁物は全国に見られるが、田布施町の「お嫁さん団子汁」は独特の背景を持つ。当地では嫁を「おごうさん」と呼び、お産を終えた女性にこの料理を振る舞う風習があった。団子を食べさせることで母乳が豊かになり、子が健やかに育つという祈りが込められていた。生まれた子が男なら繭の形、女なら丸の形の団子を作るなど、性別に応じた形作りも行われた。
食べ方
小麦粉に水を少しずつ加え、耳たぶほどの固さにこねて一口大に丸め、沸騰した湯で茹でて冷水に取る。サトイモは皮をむいて塩水に浸し、ニンジン・ダイコン・ゴボウ・干しシイタケとともに乱切りにする。いりこだしで野菜を煮てから団子を加え、ひと煮立ちさせたら白味噌を溶き入れる。味噌を入れた後は煮立てず、仕上げにキヌサヤを散らす。産後の女性の回復を願って、出産の際に食される。
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産地
団子の名物

だんご汁
球状ではなく薄く帯状に引き伸ばした「だんご」が特徴。米不足の時代に主食代わりとして親しまれ、今も大分のソウルフードとして愛される。

ふたたびだんご
「ふたたび」とは、生地を二度こねる独自の製法に由来する。もち粉と小麦粉を混ぜ、よもぎを加えて蒸した後、再びこねることでふわっとした食感が生まれる延岡市の郷土菓子である。

はげ団子
「はげ」は半夏の節目と、あんがまだらにつく様子の両方が由来。香川の農繁期を乗り切るため、新麦の香り豊かなだんごで半日の休息をとる知恵が詰まった郷土菓子である。

たかきび団子汁
高さ3メートルに育つ「たかきび」を、収穫から精白まで長い手間をかけて粉にし、団子汁にする。寒い季節、家族で囲炉裏を囲みながら食べる、岡山県西部の伝統的な味。

初午だんご
繭の形をした団子「初午だんご」は、明治から昭和初期にかけての養蚕盛期、岐阜の農家が豊蚕を願って神に供えた縁起物。白川村では蚕飼祭りで「春駒踊り」とともに今も受け継がれる。

みそぎだんご
羽島市の伝統菓子「みそぎだんご」は、みたらし団子にあんを入れた革新的な発想から生まれた。八剣神社の「みそぎ神事」にちなむ名前で、6月末の無病息災祈願の縁起菓子として親しまれる。
山口県の名物

はすいもの酢の物
東南アジア原産のはすいもを生のまま酢で和える山口県萩市の夏の名物。シャリシャリとした食感とアジの脂のりが絶妙にマッチする清涼な逸品である。

うに飯
高価なウニを「炊き込みご飯」にして振舞う萩のもてなし料理。生ウニをのせる丼とは異なり、米と一緒に炊くことで磯の香りとコクがご飯全体に染み渡る。
ふるさと納税外郎
ワラビ粉で「おっとり」としたなめらかさを生む山口県の外郎は、名古屋とはまったく異なる食感の伝統銘菓。室町時代から親しまれ、日常のお茶菓子から贈答品まで幅広く用いられる。

ぐべ汁
「ぐべ」とは「嫁が笠」とも呼ばれる直径2〜3cmのカサガイの仲間で、対馬暖流に恵まれた見島の磯で採れる貴重な食材である。濃厚な磯の風味が堪能できる味噌汁は、島の朝食には欠かせない名物となっている。

わかめの醤油漬け
早春に獲れる萩市のわかめを醤油でもみ込み生で食べる保存食。瀬やグリと呼ばれる海底の岩礁が生む栄養豊かな海で育ったわかめの、香りと歯応えをそのまま味わう。

けんちょう
長崎けんちぇんとも鎌倉建長寺ともつながる、豆腐と根菜の甘辛煮。下関では貿易の歴史から「建長寺説」が有力視され、何日も煮返すほど味が染みる日常の味である。