
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
山椒の佃煮は、醤油・酒・みりんで煮詰めた香辛料の保存食で、粒の大きさと爽やかな香りが特徴である。主な産地は養父市八鹿町朝倉と神戸市有馬で、前者はトゲのない朝倉山椒、後者は柑橘系の香りと辛みが強い有馬山椒が用いられる。朝倉は豪族朝倉氏ゆかりの地で江戸時代から山椒栽培が盛ん、有馬は温泉街を抱える山間部で自生する貴重な品種が残る。収穫期の5月中旬から下旬に家庭で作られ、炊きたてのご飯や冷や奴の薬味として食される。朝倉山椒は昭和50年代以降加工販売が主流化した一方、有馬山椒は平成21年からの復活プロジェクトにより生産が再開され、家庭での手作り文化と商業生産が共存する。
由来・歴史
山椒は平安時代に中国から渡来し、魏志倭人伝や古事記にも記載された香辛料である。朝倉山椒は養父市八鹿町朝倉の豪族朝倉氏と産地名に由来し、江戸時代には幕府への献上品となっていた。平成29年には「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」最優秀賞を受賞している。対照的に有馬山椒は有馬地方に自生するが、木の所在を住民が秘匿したため地域外に広まらず、昭和40年代以降は絶滅危機に瀕した。平成21年の復活プロジェクトを経て平成25年に農家生産が開始され、現在も取り組みが拡がっている。
食べ方
醤油・酒・みりんを沸騰させた後に山椒を加え、再び沸騰させて弱火で汁気がなくなるまで煮詰める。炊きたてのご飯に載せて食べるほか、冷や奴の薬味としても用いられる。朝倉山椒は5月中旬から下旬の収穫期に、有馬山椒は年3回の収穫期(5月上旬の花、6月の実、7〜8月の熟実)にそれぞれ家庭で作られる機会が多い。
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産地
煮物の名物

高野豆腐粉と野菜の煮物
高野豆腐製造の副産物「とふ粉」を使った、兵庫県多可町の家庭料理。明治期に軍需用乾物として栄えた高野豆腐産業の、今に息づく食文化である。

黒豆煮
丹波篠山の粘土質の土と寒暖差が育む最高級黒大豆を、江戸時代には篠山藩主が将軍に献上。正月のおせちから健康ブームで年間通じて親しまれる甘煮である。

あみとだいこんの煮付け
初秋に旬を迎える瀬戸内の小エビ「アミ」を、大根とともに甘辛く煮込む伝統の味。鮮度が命で県外にはほとんど出回らない、瀬戸内海の秋の風物詩である。

イカナゴのくぎ煮
煮上がった姿が錆びた釘のように曲がることから「くぎ煮」と名付けられた、瀬戸内海の春の風物詩。神戸発祥の佃煮は、明石の漁協女性たちによる家庭向け改良が全国普及のきっかけとなった。

白味噌雑煮
「角が立たず円満に」という縁起を担い、丸餅と輪切りの野菜を白味噌で煮る大阪の正月名物。元旦は白味噌、二日目は醤油仕立てと味を変える「商いの街」ならではの知恵が込められている。

若ごぼうの炒め煮
早春を告げる八尾の葉ごぼうを丸ごと味わう。根・軸・葉すべてが食材となり、シャキシャキとした食感とさわやかな香りが特徴の炒め煮である。
兵庫県の名物

ハモすき
鳴門海峡の激しい潮流が育む淡路島ハモと、甘み豊かな島のタマネギを合わせた夏の鍋料理。京都祇園祭や大阪天神祭でも欠かせない魚として、江戸時代から商都の食文化を支えてきた。

鍛冶屋鍋
火を扱う鍛冶職人が夏の労働でほてった身体を冷やすために好んだ、明石沖のタコとなすを煮込む鍋料理。約1500年の歴史を持つ三木市の金物文化とともに伝わる。

味噌だれ餃子
満州からの引き揚げ者が郷愁から味噌をつけて食べ始めた焼餃子。神戸・新開地で誕生した味噌だれは、今や市内有名の名物となった。

神戸ビーフステーキ
「神戸ビーフ」という牛の種類は実は存在しない。但馬牛の厳格な基準を満たした肉にのみ与えられる称号であり、1859年の横浜開港を機に外国人に好評を博し、世界に名を馳せた。

粕汁
正月の鮭や鰤の残りを使い、酒粕と野菜を煮込む「二十日正月」のけじめの食。灘五郷の酒造文化が生んだ、冬の山間部を温める滋養の味噌汁である。

とふめし
120年前、長老の機転から生まれた混ぜご飯。山の里ながら鯖を使うのは、鯖街道が通っていたから。丹波篠山・大山地区の集いの象徴的な味である。