
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
鍛冶屋鍋は、だし汁にみりん・酒・醤油・砂糖を合わせた煮汁で、明石沖で捕れたタコとなすを煮込む鍋料理である。日本で最初の金物の町とされる兵庫県三木市で、鍛冶職人が夏の精力づけに食べたことから広まった。主な具材であるタコは6〜8月が旬で、特に7月下旬は産卵前の栄養蓄えで味が濃厚となる。明治・大正期には行商人が売り歩く形で親しまれたが、一時は廃れた後、1990年頃に郷土料理として見直された。現在は家庭で作られることが多く、飲食店での提供は見られない。
由来・歴史
三木市は約1500年前から鍛冶が発達し、日本最初の金物の町として優れた職人を輩出してきた。鍛冶屋鍋は、火を扱う鍛冶職人が夏にほてった身体を冷やし、精力をつけるために好んで食べたとされる。明治・大正期には集落にやってきた行商人が、明石沖の活きのいいタコとなすを煮て売り歩いたことで広まった。一時は廃れたが、1990年頃に地域の郷土料理として再評価された。
食べ方
だし汁とみりん、酒、醤油、砂糖を合わせた煮汁を作り、煮立ったらタコとなすを入れて煮込む。タコの旬である6〜8月、特に産卵前で栄養が蓄えられた7月下旬に食べるのが一般的である。もともとは鍛冶職人の夏の労働の合間に食べられ、火を扱う仕事でほてった身体を冷やす目的があった。
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産地
鍋料理の名物

ぼたん鍋
丹波篠山の冬の名物「ぼたん鍋」は、陸軍駐屯地時代のイノシシ汁が起源。牡丹の花びらを模した華やかな盛り付けで、昭和に名前が定着した郷土料理である。

しし鍋
美作の猟師から一般家庭まで広く親しまれる冬の味。イノシシの深い旨みを味噌ベースのだしで煮込み、古くから貴重なタンパク源として食されてきた鍋料理である。

そばどじょう鍋
そば粉をどじょうのような細長い形にして鍋に入れる、岡山県山間地の冬の名物料理。川魚のだし汁で煮込み、体を芯から温める。

鯨のハリハリ鍋
水菜を食べるときの「ハリハリッ」という音が名前の由来。1967年創業の徳家が発祥とされる大阪の冬の名物料理で、かつては庶民のタンパク源だった鯨肉と水菜の鍋である。

ハモ鍋
骨切りした淡白なハモに、甘み豊かな泉州玉ねぎが絶妙に合う大阪湾の郷土鍋。玉ねぎ栽培発祥の地ならではの組み合わせが、家庭の味として親しまれてきた。

牛鍋
1862年に横浜「伊勢熊」で誕生した、すき焼きとは異なる「煮る」牛鍋。開港直後の外国人居留地で生まれた和洋折衷の味は、妻の猛反対を押し切って始まったという。
兵庫県の名物

味噌だれ餃子
満州からの引き揚げ者が郷愁から味噌をつけて食べ始めた焼餃子。神戸・新開地で誕生した味噌だれは、今や市内有名の名物となった。

にくてん
「にくてん」という名は「すじ肉」と「天かす」に由来するという兵庫県高砂市の郷土料理。おでんの残り具材を使った節約食が、戦後の小麦粉輸入で定着した家庭の味である。

明石焼/玉子焼
たこ焼きに似て非なる食べ方が特徴。ソースではなくかつおと昆布のだし汁にひたして食べる、ふんわり卵の明石のソウルフード。元々は「玉子焼」と呼ばれ、昭和63年に市職員が命名した。

ハモすき
鳴門海峡の激しい潮流が育む淡路島ハモと、甘み豊かな島のタマネギを合わせた夏の鍋料理。京都祇園祭や大阪天神祭でも欠かせない魚として、江戸時代から商都の食文化を支えてきた。

山椒の佃煮
江戸時代に幕府献上品となった朝倉山椒と、絶滅危機から復活を遂げた有馬山椒。トゲの有無や香りの違いが両者の特徴で、醤油ベースの佃煮はご飯のお供として親しまれる。

神戸ビーフステーキ
「神戸ビーフ」という牛の種類は実は存在しない。但馬牛の厳格な基準を満たした肉にのみ与えられる称号であり、1859年の横浜開港を機に外国人に好評を博し、世界に名を馳せた。