
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
いたどりはタデ科の多年生草木で、茎を皮むきして醤油やみりんで煮た山菜料理である。アクと酸味が強いため湯がいて皮をむき、一晩水にさらすなどの下処理が欠かせない。主な伝承地域は吉野山間部を中心に奈良県内全域で、特に吉野郡下北山村(きなりの郷)では古くから「ごんぱち」として親しまれてきた。採取時期は4月半ばから5月初めの新芽の時期に限られ、塩漬けにして長期保存することで通年食される。家庭ごとに炒め物や揚げ物、炊き込みご飯など調理法が異なり、現代でも吉野の山菜文化を象徴する郷土料理として受け継がれている。
由来・歴史
「いたどり」の名は、怪我をした際に患部にすりこむと痛みが取れることから「痛取り」と呼ばれるようになったと伝わる。吉野郡下北山村では「ごんぱち」や「すかんぽ」などの別名でも知られ、『下北山村史』(昭和48年編纂)にも古くから食されていた記録が残る。日本各地に自生する春の山菜として、吉野の山間部では特に重要な位置づけにある。
食べ方
大きな鍋で沸かした湯に数秒浸け、熱いうちに皮をむく。皮をむいたらすぐに水にさらし、一晩置いてアク抜きをしてから醤油やみりんで煮る。4月半ばから5月初めの新芽の時期に採取し、塩漬けにすることで長期保存も可能で、炒め物や揚げ物、炊き込みご飯など多様な料理に活用される。
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産地
煮物の名物

いとこ煮
「おいおい(順番に)煮える」ことから名付けられたという説がある滋賀県の郷土料理。小豆と里芋またはかぼちゃを煮込み、報恩講や冬至に欠かせない一品として親しまれてきた。

じゃがいもとひじきの煮物
海の幸と山の幸を合わせた開山祝いの一品。富士山信仰の宿坊・御師が100年以上前から振る舞い、今も7月1日の山開きに欠かせない郷土の味である。

じぶ煮
「じぶじぶ煮る」擬声語から名付けられた説もある加賀の名物料理。鴨肉に小麦粉をまぶして煮ることで、寒い冬でも体の芯から温まるとろみ汁が特徴である。

いなごの佃煮
漢字で「稲子」と書くいなごは、稲刈りとともに収穫される秋の味覚。伊那谷では9〜10月、手拭いの袋を腰に下げて飛び跳ねるいなごを捕まえ、甘露煮や佃煮にして食べる伝統が残る。

いもの茎の炒め煮
「さあ、いもの茎をはごう」——散財のあとに口にされた高知の家計支えの知恵料理。さつまいもの葉柄を炒め煮にした、シャキシャキ食感の夏の味覚である。

芋煮
舟頭たちが河原で始めた宴がルーツの山形県民のソウルフード。庄内では豚肉と味噌、内陸では牛肉と醤油と、地域で味が分かれるのも魅力である。
奈良県の名物

かき氷
平安貴族も愛した「削り氷」は、平城京遷都とともに始まった氷室神社の献氷儀式がルーツ。奈良は今も氷の聖地として、全国の製氷業者が集う「献氷祭」が行われる。

柿なます
干し柿を入れた奈良の正月なます。砂糖の代わりに柿の甘みを活かした知恵が、平安の願いを込めた紅白の色とともに現代に伝わる。
ふるさと納税柿の葉寿司
渋柿の葉に包まれたサバの押し寿司は、一晩置くことで葉の香りと魚の旨みが酢飯に移り、防腐効果も相まって長期保存が可能な知恵の結晶である。紀州の漁師が峠を越えて運んだ夏サバが、奈良の夏祭りを彩る名物へと変貌した。

色ご飯
奈良県では醤油味の炊き込みご飯を「色ご飯」と呼ぶ。米が貴重だった時代、具材を混ぜてかさ増しした知恵が現代の家庭料理として親しまれている。

いもぼた
里芋の粘りで餅米を節約した農家の知恵が生んだ「いもぼた」。冷めてもやわらかく、亥の日の厄除けとして親しまれる奈良の名物である。

半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅
田植えの終わりに食べる「半夏生餅」は、つぶし小麦を混ぜた歯切れのよい餅。早苗饗で田の神に感謝する行事食として親しまれてきた。