
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
奈良茶飯は、米と大豆をほうじ茶で炊き上げたシンプルながら栄養バランスに優れた郷土料理である。大豆の旨みとほうじ茶の香ばしさが特徴で、腹持ちの良さから僧侶の食事として重宝された。主な伝承地である奈良は、東大寺を中心とする仏教文化の発祥地であり、1200年以上続く「お水取り」などの宗教行事と深く結びついた土地柄である。本来は東大寺の練行衆が僧坊で食する神聖な食事だったが、現在は特に決まった時期なく家庭でも気軽に作られる。現代では炊飯器を使えば簡単に調理でき、節分の炒り豆を活用するなど、家庭ごとにアレンジも加わりながら親しまれている。
由来・歴史
奈良茶飯の起源は、毎年3月に東大寺で行われる1200年の歴史を持つ「お水取り」に献じられた「ゲチャ」に遡る。本来は庶民には広まらなかったが、江戸時代に茶飯を気に入った旅人が江戸・浅草寺付近に店を開き、「奈良茶」の看板で繁盛した。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」への登場で一層有名となり、米と大豆の栄養食として全国に知られるようになった。明治以降に再び奈良で広まり始めた。
食べ方
炊飯器に米を入れ、ほうじ茶を目盛りまで注ぎ、炒った大豆を加えて炊くだけで簡単に完成する。家庭では節分のソフト炒り豆を利用して手間を省くことも可能である。本来は東大寺の練行衆が僧坊で食する食事だったが、現在は特に決まった喫食時期はなく、日常の食卓でも気軽に楽しまれている。
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産地
ご飯ものの名物

黄飯と黄飯かやく
小豆代わりにくちなしで染めた山吹色のごはん。財政難の臼杵藩で贅沢を避けて生まれた知恵の一品で、武家の「黄飯」と商人の「かやく」が組み合わさる。

鮭の飯ずし
紅白の縁起物として正月に欠かせない津軽の保存食。もち米の発酵力で塩サケを熟成させ、笹の葉の香りと乳酸の酸味が織りなす芳醇な味わいが特徴。

さざえ飯
隠岐の島で人が集まる席に欠かせない「さざえ飯」。サザエのゆで汁で炊き込むシンプルな釜飯は、岩のりで巻いたのり巻きとしてお正月や祭りに振る舞われる。

まぜ飯
祭りと祝いの日の熊本のごちそう「具飯(ぐめし)」。六嘉神社の秋の例大祭では馬肉入りを各家庭で炊き、親戚や隣人に振る舞う。豆腐が"びりんびりん"と鳴る「びりん飯」も仲間だ。

くじらご飯
節分に「大物くじら」にあやかり、子どもの成長を祈る石見の郷土料理。くじらの皮を油抜きして炊き込む、冬の滋味豊かな一膳である。

こうし飯
年越しに欠かせない高知県大月町の「こうし飯」。「越しめし」が訛って生まれた名前の由来と、厳寒の海で採れる「めのり」の風味が特徴だ。
奈良県の名物

奈良のっぺ
平安時代から続く「おん祭」の身清めの儀「大宿所祭」でふるまわれる精進料理。里芋の煮くずれが自然なとろみとなり、昆布と干ししいたけのだしが野菜の旨味を引き立てる。

奈良和え
酒粕漬けの代名詞・奈良漬を使った和え物。冷めて味がなじんだ頃にいただく、奈良の家庭で親しまれる日常の味。

にゅうめん
「にゅうめん」は煮麺がなまった呼び名で、三輪素麺発祥の地・奈良県桜井市三輪で冬に親しまれる温かい麺料理である。素麺を煮込むという意外な食べ方は、1200年以上続く素麺文化が生んだ地元ならではの知恵である。

七色お和え
真言宗の盆供えに欠かせない「七色お和え」。食糧難の時代に7種の野菜を使うことは贅沢の極みであり、精霊への感謝と豊穣を願う心意気が込められている。

生節とねぎの煮もの
室町時代、翁の面と共に空から降ってきた伝説の「結崎ネブカ」を使う、奈良の奥深き家庭料理。海なき奈良が育んだ生節の旨味と、甘み豊かなねぎの絶妙な組み合わせである。

まなめはり
幻の野菜「下北春まな」を使った奈良県下北山村限定のめはりずし。寒さで甘みが凝縮した肉厚の葉が、山仕事のお弁当として古くから親しまれてきた。