
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
熊本県全域で、行事や人の集まる祝い事に欠かせない混ぜごはんで、「具飯(ぐめし)」とも呼ばれる。鶏肉、ごぼう、人参、干ししいたけ、たけのこ、油揚げなどの具材を細かく切って炒め、醤油や砂糖で味付けして炊きたての温かいごはんに混ぜる。家庭によってはこんにゃくやかまぼこも入り、海辺の地域ならチヌ(タイ)やツベタ(マキガイ)、大根の季節ならたっぷりの大根と、土地と季節で表情を変えるのも魅力。嘉島町の六嘉神社の秋季例大祭では、県特産の馬肉と相性のよいごぼうを合わせた具飯が各家庭で炊かれ、町内外から集まる親戚や知人に振る舞われる。
由来・歴史
嘉島町下六嘉の六嘉神社では、毎年10月17日に五穀豊穣を祈る秋季例大祭が開かれ、具飯でもてなす風習が続いている。奉納される「六嘉の獅子舞」は加藤清正の虎退治に由来すると伝わり、1961年に熊本県の重要無形文化財第1号に指定された。クライマックスでは獅子が高さ約20mの棹に登って先端の牡丹の花を投げ落とし、受け取った者は一年間無病息災といわれる。また宇城市三角町の戸馳島には、肉の代わりに絞り豆腐を使う精進の「びりん飯」が伝わる。豆腐を炒めるときの"びりんびりん"という音が名の由来で、法事などの仏事に出され、いまは鶏ひき肉でたんぱく質を補った学校給食版もある。
食べ方
具材を細かく切って炒め、醤油や砂糖で味付けして、温かい炊きたてのごはんに混ぜる。つくりたてはもちろん冷めてもおいしく、おにぎりやいなりずし、お弁当にも向き、お茶をかけてお茶漬けにする楽しみ方もある。具はたっぷりつくって冷凍しておき、食べる分だけ温めて使うこともできる。秋祭りのほか、山菜やきのこなど季節ごとに具材を変えながら一年を通して食べられている。
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産地
ご飯ものの名物

奈良茶飯
東大寺「お水取り」の練行衆に捧げられた神聖な食事が、江戸時代に浅草で大ブームを巻き起こした。旅人が持ち帰った奈良発祥の茶飯は、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でも名を馳せた。

黄飯と黄飯かやく
小豆代わりにくちなしで染めた山吹色のごはん。財政難の臼杵藩で贅沢を避けて生まれた知恵の一品で、武家の「黄飯」と商人の「かやく」が組み合わさる。

鮭の飯ずし
紅白の縁起物として正月に欠かせない津軽の保存食。もち米の発酵力で塩サケを熟成させ、笹の葉の香りと乳酸の酸味が織りなす芳醇な味わいが特徴。

くじらご飯
節分に「大物くじら」にあやかり、子どもの成長を祈る石見の郷土料理。くじらの皮を油抜きして炊き込む、冬の滋味豊かな一膳である。

こうし飯
年越しに欠かせない高知県大月町の「こうし飯」。「越しめし」が訛って生まれた名前の由来と、厳寒の海で採れる「めのり」の風味が特徴だ。

きじ肉と切り干し大根の混ぜご飯
国鳥に指定されるほど高貴なキジの肉と、瀬戸内の陽光で干した大根を合わせた混ぜご飯。里山の恵みと海の幸が織りなす、愛媛の伝統的な味である。
熊本県の名物

南関あげ巻き寿司
海苔の代わりに油揚げを使う熊本県南関町の巻き寿司。カリカリサクサクの「南関あげ」を甘辛く煮て巻くと、ふっくらジューシーなもちもち食感に変化する。

シャクの天ぷら
潮が引いた干潟に筆を入れて一匹ずつ誘い出す「シャク釣り」で捕獲する、熊本ならではの夏のごちそう。殻ごと丸ごと揚げた天ぷらは身も内臓も味わえ、焼酎との相性が抜群だ。

鯛そうめん
「離婚しない」という願いが込められた縁起物。熊本県では天草の「アラ炊き」スタイルと山都町馬見原の「丸ごと姿煮」スタイルが伝わり、いずれも婚礼などのハレの日に振る舞われた。

巻柿
「福をかき寄せる」縁起物として、年末の贈答や正月のおせちに欠かせない熊本の伝統菓子。干し柿を重ねて竹の皮と藁で巻き、輪切りにするとバラの花のような美しい断面が現れる。

こっぱもち
「こっぱ」とは小さく切るという方言で、輪切りにしたさつまいもを天日干しした保存食を指す。天草の軒先に吊るされた光景は冬の訪れを告げる風物詩であった。

このしろの姿寿司
コノシロを背開きにして酢締めし、棒状のすし飯を腹に詰めた縁起物。江戸時代から受け継がれる八代海沿岸の正月の味で、2〜3日経ったら炙って二度楽しむ裏技もある。