
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
あらの姿煮は、玄界灘で獲れる10kgほどの巨大なアラ(クエ)を丸ごと煮込んだ豪快な煮魚である。醤油・日本酒・砂糖を調味液とし、アラの肝を取り出した腹の部分に大根を詰めて大鍋で1日かけて煮込む。主に佐賀県唐津市で伝承され、唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」に欠かせない料理として親しまれてきた。唐津は玄界灘に面した漁業の盛んな土地であり、11月のくんちはアラが最も美味しい旬の時期と重なる。昔から祭りに参加する男性に代わり家を守る女性たちが、日頃お世話になっている親しい友人や知人、親戚縁者へ振る舞う「くんち料理」の中心的存在であり、家庭ごとに味付けの違いがありながらも、現代でも唐津くんちの象徴的な名物として受け継がれている。
由来・歴史
唐津くんちはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に含まれる唐津神社の秋季例大祭で、収穫感謝の意が込められた盛大な祭りである。あらの姿煮の起源は第二次世界大戦後に遡り、当時の商人たちが見栄を張るために大きく見栄えの良いアラを煮付けたことが始まりとされる。アラは九州での呼び名で、全国的にはクエとして知られ、透明感のある白身が特徴の高級魚である。
食べ方
アラの肝を取り出し、空いた腹の部分に大根を詰めてから、魚体がそのまま入るほどの大鍋で醤油・日本酒・砂糖を調味液にして煮込む。煮汁をかけながら少しずつ1日かけて煮込み、みりんで味を調整する。秋の祭りである唐津くんち(11月)に欠かせない料理として、日頃から付き合いのある親しい友人・知人・親戚縁者へ振る舞われる。
このお祭りで食べられています
唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」に欠かせない料理。お祭りの日程や見どころは「わっしょい」で。
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産地
煮物の名物

煮ごみ
「煮じゃあ」「煮じゃー」とも呼ばれる煮ごみは、くんちの供日料理として欠かせない一品。栗おこわの残りの栗と小豆、煮しめの端材を無駄にしない知恵から生まれた、根菜と鶏肉の甘辛煮込みである。

がめ煮
すっぽんを「川亀」と呼んだことに由来する「がめ煮」。豊臣秀吉の朝鮮出兵時に大軍の食糧として誕生したと伝わる、佐賀のハレの日の定番料理である。

具雑煮/島原具雑煮
島原の乱で天草四郎が兵糧として食したと伝わる、土鍋で炊く具だくさんの雑煮。焼きアナゴや卵焼きを入れる家庭もあり、正月や祭礼のめでたい日に親しまれる。

くちぞこの煮付け
靴底の形に似た魚「くちぞこ」を、甘辛く煮含めた有明海沿岸の定番魚料理。夏から秋のふっくらとした身が最高とされ、日常食として親しまれている。

白味噌雑煮
勝浦では黒砂糖、相生地区では砂糖を入れる徳島の白味噌雑煮。まなというアブラナ科の野菜を加える伝統があり、今は小松菜や春菊で彩り豊かに仕上げる。
佐賀県の名物

ふつもち
「ふつ」はよもぎの古称。佐賀では桃の節句に菱餅の代わりにふつもちを供える独特の風習があり、全国でも珍しい春の味覚として親しまれる。

おこもじの油炒め
古くなった高菜漬を塩抜きして油で炒める「おこもじの油炒め」は、減塩が期待できるソウルフードとして親しまれている。佐賀県の家庭で簡単に作れるご飯のおともである。

冷やしそうめん
小豆島の僧が380年前に伝授した製法が始まり。氷水で締めたシャキシャキのコシとツルツルの喉越しが、佐賀の暑い夏を乗り切る知恵となった。

わらすぼのみそ汁
「エイリアン」のような見た目の有明海の珍魚・ワラスボを使った味噌汁。凶暴な性格から「嫁泣かせ」と呼ばれたこの魚は、独特のうまみがクセになる地元の夏の味である。

しゃっぱの煮付け
「がねしゃっぱ」とも呼ばれるシャコは、有明海で水揚げされる夏の味覚。醤油で炊くとうまみたっぷりのだしが出る煮付けにされ、煮汁はそうめんの漬け汁としても重宝される。

いかのかけ和え
佐賀県では「かけ和え」「かけやぁ」と呼ばれる、魚介と野菜を酢味噌で和えた料理。秋祭りには脂がのったサバを使うのが定番で、普段の粗食を補うハレの日の味として親しまれてきた。