
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
すんき漬けは赤かぶの葉を塩を使わず「すんき種」を加えて乳酸発酵させた無塩の漬物である。山深い木曽谷は海から遠く塩が極めて貴重だったため、60度程度のお湯で葉を殺菌する独自の製法が発達した。原料には「開田かぶ」「王滝かぶ」など地元に根付いた6種類の「木曽かぶ」が用いられ、特に茎と根の付け根に多い自然の乳酸菌が発酵を担う。霜が降りる秋の終わりから冬にかけて仕込まれ、寒さの厳しい時期には凍ったすんきを桶から取り出して食べる習慣があった。家庭ごとに受け継がれた「すんき種」の使い方や、最近では洋食への応用など新しい食べ方も生まれている。
由来・歴史
木曽地域に300年以上前から伝わる発酵食品である。芭蕉一門の連句会で「木曽の酸茎(すんき)に春も暮れつつ」と詠まれ、約150年前の古文書にも料理として登場する記録がある。昔は山に自生する小梨や山葡萄をたたいて発酵させたものを「すんき種」としたが、現在は前年のすんきを干したり冷凍したりしたものを用いる。平成15年から東京農業大学による本格研究が進められ、すんきにヨーグルトに匹敵する乳酸菌があり、4種類の有用菌が特定されている。
食べ方
赤かぶの葉を60度程度のお湯でさっとゆで殺菌し、温かいうちにすんき種と重ねて45度前後のゆで汁を加える。乳酸菌を死滅させないよう温度管理をしながら、温かい場所で1日置くと酸味が出て完成する。できあがったすんきはそのまま食べるほか、温かい蕎麦に入れるのが伝統的な食べ方で、最近では洋食への取り入れも広がっている。霜が降りてから寒い冬の時期に仕込まれ、木曽の厳しい冬の食卓を支えてきた。
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産地
漬物の名物

スルメの麹漬け
鳥取の山間部で生まれた「おふくろの味」——スルメイカを海風で干し、麹に漬け込むことで冬の保存食として長く親しまれてきた。

トキシラズ/トキ鮭の焼漬け
「時期を知らずにとれる魚」が名前の由来。アムール川生まれの希少な春サケを、脂がのった若いうちに焼いて漬けた北海道の初夏のごちそうである。

豆腐の味噌漬け
800年前の平家落ち武者が伝えたとされる保存食。半年間味噌に漬け込むとチーズのような風味に変化し、山間部の貴重なタンパク源として親しまれた。

すぐき漬け
京都三大漬物の一つに数えられる「すぐき漬け」は、かつて上賀茂神社の社家のみが作る御所献上の高級品だった。独特の酸味と乳酸発酵による風味が、冬の食卓を彩る。

塩漬けタケノコの天ぷら
首都圏一の生産量を誇る千葉県の「白たけのこ」を塩漬け保存し、通年楽しむ知恵が詰まった天ぷら。アク抜き不要の良質な筍が、シンプルな調理で際立つ。
ふるさと納税しば漬け
高倉帝の皇后・建礼門院が「紫葉漬け」と名付けたと伝わる、京都を代表する赤しそ漬け。大原の名刹・三千院発祥の「京都三大漬物」である。
長野県の名物

たけのこ汁
山へ帰ると言われるほど鮮度が命の根曲がり竹に、海なし長野が愛するサバ缶を合わせた意外な組み合わせ。昭和に広まった缶詰が、山の幸を引き立てる名脇役となった郷土の味噌汁。

たなばたほうとう
月遅れの七夕にだけ食べられる「七夕ほうとう」は、太い小麦麺に小豆あんやきなこを和えた松本の特別な甘味。新麦の収穫期と重なる8月7日に、厄払いの七夕人形と共に供えられてきた。

天寄せ
諏訪大社御柱祭のおもてなし料理として振舞われる寒天の「寄せもの」。慶弔で色を使い分ける独特の食文化が残る。

塩いかの酢の物
海のない長野県で、塩の道を通じて運ばれた塩丸イカを酢で和えた郷土料理。夏場の熱中症対策としても重宝された保存食の知恵が息づく。

しょうゆ豆/しょうゆの実
種麹で発酵させた大豆を生醤油に漬け込み、1ヵ月以上熟成させる「食べる醤油」。北信地域では正月に食べられ、醤油の旨味が凝縮した豆はご飯のお供に最適である。

凍み大根のお田植えの煮物
「凍み」の技が生む濃厚な旨み。冬の寒風に何度も凍らせて乾燥させた大根を、田植えの日に煮て食べる信州の知恵。