
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
季節の野菜と冷たいだし汁を合わせたおひたし料理で、凍みこんにゃくや干し貝柱の戻し汁、干ししいたけを用いる。上杉の城下町として知られる山形県米沢市を中心に伝わり、雪国ならではの保存食文化と深く結びついている。年間を通じて食べられ、春はキャベツや菜の花、秋は菊、冬には鷹山公が推奨した伝統野菜「雪菜」が使われる。各家庭で野菜の組み合わせや打ち豆の入れ方などレシピが異なり、昭和初期の饗応では大鉢から何度でもお代わりできる下座の膳として振る舞われた。
由来・歴史
米沢市の郷土料理として、上杉謙信公の陣中料理として合戦の出陣式で武将に振る舞われたという説や、上杉鷹山公が励行した「一汁一菜」の食習慣から生まれたという説がある。本来は大鉢に盛り、各自が小鉢に分けて食べる供し方で、昭和初期の宴席では下座の膳に置かれ、客が箸をつけるたびに給仕側が盛り足す気配りがなされた。
食べ方
干し貝柱の戻し汁をだし汁に用い、凍みこんにゃくや干ししいたけを加えるのが美味しさの決め手。打ち豆を入れる家庭もある。野菜は1種類でも数種類でもよく、おひたしにしてからだし汁をかけるレシピも存在する。四季折々の野菜を使い、春のキャベツ、秋の菊、冬には雪の下で寝かせた雪菜を加えるとシャキシャキとした歯ごたえと独特の風味が楽しめる。
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産地
汁物の名物

いとこ汁
「いとこ汁」という謎めいた名前の由来は諸説あり、旧暦12月8日の「御事始」に食べられた「おこと汁」が転じた説や、小豆と豆腐の材料関係から「いとこ」と呼ばれた説などがある。浄土真宗の報恩講で親鸞聖人への御恩を報じる食事として供される。

いわしのだんご汁
イワシのすり身を味噌で味付けただんごを、具沢山の汁に浮かべる北総・九十九里の冬の定番。海の米と謳われた地元イワシの栄養を丸ごと味わう、漁師町ならではの知恵料理である。

かぼちゃのだんご汁
日本最古のかぼちゃ「三毛門かぼちゃ」を丸ごと煮込む、戦前戦後の貧しい時代を生き抜いた命のスープ。トロトロの甘みと小麦粉だんごの素朴な味わいが特徴である。

冷やし汁みそ仕立て
きゅうり、青じそ、みょうがを刻んで冷たい味噌の汁に――暑さで食欲が落ちる夏も、さらさら食べられる新潟・中越の一杯。そのまま汁物でも、ごはんや麺にかけてもいい。

冷や汁
素焼きの魚を炙った味噌でとった汁を冷やして麦飯にかける、宮崎の知恵の食。農民が夏の重労働で時間のない時に栄養補給として食べた即席かけ汁が原点である。
ふるさと納税へちま汁
「へちま」とは糸瓜のこと。1802年の百科事典『成形図説』にも記載があるほど古くから鹿児島で食べられ、夏バテ知らずの知恵が詰まった一皿である。
山形県の名物

ひょう干しの煮物/ひょう干し煮
「ひょっといいことがありますように」と願いを込めて正月に食べる縁起物。夏に採ったすべりひゆを天日干しし、糸こんにゃくや油揚げと煮込んだ山形の保存食である。

芋煮
舟頭たちが河原で始めた宴がルーツの山形県民のソウルフード。庄内では豚肉と味噌、内陸では牛肉と醤油と、地域で味が分かれるのも魅力である。

からかい煮
「十把一絡げ」の「からげ」が訛って「からかい」となったエイのヒレ煮込み。海のない山形の内陸部で、正月やお盆のハレの日に赤飯と並ぶ特別な行事食として重んじられてきた。

ハタハタの湯上げ
「雷魚」の別名を持つハタハタは、海が荒れて雷鳴が轟くと浅瀬に押し寄せる魚。うろこがないため洗ってそのまま鍋に入れられる手軽さが魅力で、庄内地域の秋の定番料理として親しまれている。

どんがら汁/寒鱈汁
「どんがら」はあらを指す言葉。寒ダラの頭から尻尾まですべて余さず使い、肝や白子でコクを出す漁師発祥の鍋料理。本来はねぎを入れず岩のりだけを添えるのが本格派だ。

だし
「だし」という名の由来は諸説あり、出汁のように食材を引き立てることからとも、包丁で細かく切り「出す」ことからともいわれる。山形・村山地域の夏の定番で、100軒の家があれば100種類の味があると言われるほど家庭ごとにバリエーションが豊かな野菜料理である。