
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
出汁と味噌で味付けした冷たい汁物で、新潟県では長岡市や栃尾地域、十日町市、三条市、見附市など中越地方を中心に「冷やし汁」「冷し汁」の名で食べられてきた夏の郷土料理。きゅうりや青じそ、みょうがといった夏野菜を刻んで味噌仕立てにし、冷やしていただく。暑さで食欲が落ちてもさらさらと食べられ、身近な食材だけで手早くつくれる、夏の暮らしの知恵が生んだ一品。汁物としてはもちろん、ごはんや麺にかけて食べる自由さも魅力である。
由来・歴史
冷や汁は鎌倉時代の文献にも登場し、江戸時代の料理書『料理物語』(1643年)にも記された歴史ある料理で、農繁期の簡便食として日本各地に根づいた。宮崎では焼きほぐした魚とごま・麦味噌をごはんにかけ、埼玉では「冷汁」「すったて」としてうどんの付け汁にし、山形では乾物の煮汁を冷まして野菜にかけるなど、土地ごとに姿が異なる。新潟の「冷やし汁みそ仕立て」は、このうち埼玉のものに似た系統とされる。
食べ方
味噌をだし汁でのばし、刻んだきゅうりや青じそ、みょうがなどの野菜を入れて、冷蔵庫で冷やしていただく手軽な料理。そのまま汁物として食べるほか、ごはんや麺にかけることもある。暑い盛りに身近な食材でさっと仕立て、冷たくして味わうのが中越の夏の習いである。
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産地
汁物の名物

冷や汁
上杉謙信の陣中料理とも伝わる米沢の「冷や汁」は、実は汁物ではなく冷たいだしに季節の野菜を浸したおひたし。大鉢から小鉢に盛り分ける本来の供し方が、城下町の食文化を今に伝える。

いとこ汁
「いとこ汁」という謎めいた名前の由来は諸説あり、旧暦12月8日の「御事始」に食べられた「おこと汁」が転じた説や、小豆と豆腐の材料関係から「いとこ」と呼ばれた説などがある。浄土真宗の報恩講で親鸞聖人への御恩を報じる食事として供される。

いわしのだんご汁
イワシのすり身を味噌で味付けただんごを、具沢山の汁に浮かべる北総・九十九里の冬の定番。海の米と謳われた地元イワシの栄養を丸ごと味わう、漁師町ならではの知恵料理である。

冷や汁
素焼きの魚を炙った味噌でとった汁を冷やして麦飯にかける、宮崎の知恵の食。農民が夏の重労働で時間のない時に栄養補給として食べた即席かけ汁が原点である。
ふるさと納税へちま汁
「へちま」とは糸瓜のこと。1802年の百科事典『成形図説』にも記載があるほど古くから鹿児島で食べられ、夏バテ知らずの知恵が詰まった一皿である。

はっと汁
「法度」に由来する名の郷土料理。400年前、米を献上せざるを得なかった登米の農民が小麦粉で生み出した知恵の食。薄く伸ばした麺はかつて女性の腕前を競う技でもあった。
新潟県の名物

干し大根漬け
「はりはり」と音を立てて食べることから名付けられた新潟の保存食。酢を使わず醤油ベースで昆布とスルメの旨味を閉じ込め、寝かせるほどに味が深まる。

いごねり
九州の「おきゅうと文化」が北前船で佐渡に渡来したという意外なルーツを持つ海藻加工食品。もっちりとした食感とほんのりとした磯の香りが特徴で、しょうが醤油や酢味噌で味わう。

いもみそ
絹織物にたとえて名付けられた「帛乙女」という里芋を、だし汁と味噌でコトコト煮た五泉市の郷土料理。秋の収穫期に粒の小さい里芋が出回ると、各家庭の食卓に並んだ。

へぎそば
織物の道具「へぎ」に盛り付けられる新潟・魚沼発祥の蕎麦。つなぎに布海苔を使うことで生まれるツルツルの食感と、からしを薬味にする独特の食べ方が特徴である。

ふかしなす
新潟県が全国一のなす消費量を誇る背景にある、蒸して冷やした「ふかしなす」。アクが強い巾着なすがふかすとトロリと甘く変化し、夏の暑さをしのぐ郷土の知恵である。

ふぐの子の粕漬け
2年以上塩蔵したフグの卵巣を佐渡の酒粕で熟成させる、江戸時代から続く保存食。酒粕の甘みで塩辛さが和らぎ、ご飯のお供や酒の肴として親しまれる。