
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
へちま汁は、麦味噌の甘みを効かせただし汁で若いへちまを煮込み、そうめんを入れた器に注いで食べる味噌汁である。へちまのとろりとした食感と自然な甘味が特徴で、高温多湿な鹿児島の夏にぴったりの滋味深い味わいとなっている。主に鹿児島県で伝承され、へちまは7月から9月の旬を迎え、夏野菜として親しまれてきた。お盆の精進料理としても欠かせない位置づけにあり、夏の食卓や仏前供養の場面で重宝されてきた。家庭によってはみょうがの千切りなど薬味を添えることもあり、食欲の落ちる時期でもするするといただける郷土料理として現代も愛されている。
由来・歴史
へちまは熱帯アジア原産のウリ科植物で、日本では沖縄や南九州を中心に栽培される。糸瓜(いとうり)が「とううり」と略され、イロハ順で「と」が「へ」と「ち」の間にあることから「へちま」と呼ばれるようになったとされる。鹿児島では食用の歴史が古く、島津重豪が1802年に編纂させた百科事典『成形図説』にもへちま料理の記述が残る。
食べ方
だし汁に麦味噌を溶き、食べやすい大きさに切った若いへちまを入れて柔らかくなるまで煮る。ゆでたそうめんを入れた器へ注ぎ、好みでみょうがの千切りなどの薬味を添えて食べる。へちまの旬である7月から9月、特にお盆の時期に精進料理として供される。夏バテで食欲がない時期でも、とろりとした食感と甘みが喉を通りやすい。
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産地
汁物の名物

冷や汁
素焼きの魚を炙った味噌でとった汁を冷やして麦飯にかける、宮崎の知恵の食。農民が夏の重労働で時間のない時に栄養補給として食べた即席かけ汁が原点である。

冷やし汁みそ仕立て
きゅうり、青じそ、みょうがを刻んで冷たい味噌の汁に――暑さで食欲が落ちる夏も、さらさら食べられる新潟・中越の一杯。そのまま汁物でも、ごはんや麺にかけてもいい。

冷や汁
上杉謙信の陣中料理とも伝わる米沢の「冷や汁」は、実は汁物ではなく冷たいだしに季節の野菜を浸したおひたし。大鉢から小鉢に盛り分ける本来の供し方が、城下町の食文化を今に伝える。

はっと汁
「法度」に由来する名の郷土料理。400年前、米を献上せざるを得なかった登米の農民が小麦粉で生み出した知恵の食。薄く伸ばした麺はかつて女性の腕前を競う技でもあった。

具だくさん味噌汁
「味噌は医者いらず」の言葉通り、長野県民の活力源として一日一杯が欠かせない具だくさん味噌汁。すいとんを入れた「ひんのべ・とっちゃなげ」など、地域ごとの呼び名も豊富である。

呉汁
「呉」とは大豆を水に浸してすりつぶしたもの。宮城県で古くから親しまれる大豆の「呉汁」は、畑の肉と呼ばれる大豆の栄養を丸ごと摂れる、冬場の体を温める郷土料理である。
鹿児島県の名物
ふるさと納税じゃんぼ餅
2本の串を刺した姿が刀を腰に差した上級武士に似ることから「両棒(じゃんぼ)」と名付けられた鹿児島の郷土菓子。南北朝時代、懐良親王をもてなした料理が起源とされる。
ふるさと納税からいもごはん
「からいも」はさつまいもの鹿児島方言。土壌が痩せたシラス台地でも育ち、台風被害も受けにくい頼もしい作物を、角切りにして米と一緒に炊いた質素ながら深い味わいのごはんである。
ふるさと納税からいもねったぼ
「練ったぼたもち」が縮まった名の餅料理。鹿児島県では年末年始の餅つきの際、蒸したさつまいもと餅を混ぜ合わせ、きなこと砂糖で味付けして食べる風習が残る。

げたんは
下駄の歯に似た見た目が名前の由来。「黒糖地獄」と呼ばれた過酷な歴史を経て、鹿児島の庶民に親しまれた黒糖菓子である。

がね
カニに似た形から名付けられた鹿児島のさつまいも揚げ。甘めの衣に太めの千切り野菜を絡め、冠婚葬祭から日常のおやつまで幅広く親しまれている。

ふくれ菓子
「ふくれ菓子」は重曹でふっくら膨らませた鹿児島の蒸し菓子で、「黒糖地獄」と呼ばれた過酷な歴史の中で生まれた黒糖文化の象徴である。温かいうちはふんわり、冷めるともっちりと食感が変化する。