
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
ゴマフグの卵巣を2年以上塩蔵し、佐渡の酒粕で長期熟成させた粕漬けである。塩漬け時より塩辛さが控えめになり、酒粕のまろやかな風味が加わる。主な伝承地は新潟県佐渡市で、日本海側の漁業文化と深く結びつく。6月から7月のゴマフグ漁期に獲れた卵巣を加工し、日常の食卓や酒の席で食べられてきた。家庭ごとに塩蔵期間や粕漬けの期間に違いがあり、現代では特別な免許を持つ加工業者による製品が流通している。
由来・歴史
佐渡では江戸時代からつくられていたといわれ、日本海側の漁業文化の中で生まれた保存食である。新潟県内では佐渡特有のもので、石川県や福井県にも類似の加工品が存在する。長期の塩蔵と酒粕熟成により、フグの卵巣という毒を持つ食材を安全に食べられるよう加工する知恵が受け継がれてきた。
食べ方
周囲の酒粕をガーゼで取り除き、そのままスライスして食べる。軽く炙ると香ばしさが増す。大根おろしを添えたり、おにぎりの具やお茶漬けにしてもよい。塩気があるためご飯のお供や酒の肴として適し、特別な免許を持つ者が処理した材料を用いる必要がある。
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産地
漬物の名物

ごさい漬け
「ごさい」の名は脂肪分の少ない小型イワシ「こさい」が由来ともいわれる、鹿島灘の発酵漬け物。かつては秋のイワシ漁で各家に配られ、庶民の貴重なタンパク源となった冬の保存食である。

白菜のたたみ漬け
白菜の葉を1枚ずつはがして重ね漬けにする「たたみ漬け」は、報恩講や冠婚葬祭に欠かせない湖北の格式高い漬物。切っても崩れにくい美しい仕上がりが特徴である。

緋の蕪漬/緋のかぶ漬
正岡子規も詠んだ愛媛の伝統漬物。鮮やかな緋色はアントシアニンと酢の化学反応によるもので、かぶの緋色が冴えればその年は良い年になるという縁起物として、松山のおせちに欠かせない。

エツの南蛮漬け
有明海・筑後川にのみ生息する「幻の魚」エツを、年に一度の解禁期に南蛮漬けに仕立てる福岡の夏の味。銀鱗を振って息絶える儚さが「美人薄命」の異名の由来である。

阿蘇高菜漬け
「高菜折り」と呼ばれる手折り収穫が今も残る阿蘇の伝統野菜。火山灰大地と寒冷気候が育む太い茎を、新漬けと古漬けの2つの味わいで楽しむ。
新潟県の名物

ふかしなす
新潟県が全国一のなす消費量を誇る背景にある、蒸して冷やした「ふかしなす」。アクが強い巾着なすがふかすとトロリと甘く変化し、夏の暑さをしのぐ郷土の知恵である。

へぎそば
織物の道具「へぎ」に盛り付けられる新潟・魚沼発祥の蕎麦。つなぎに布海苔を使うことで生まれるツルツルの食感と、からしを薬味にする独特の食べ方が特徴である。

冷やし汁みそ仕立て
きゅうり、青じそ、みょうがを刻んで冷たい味噌の汁に――暑さで食欲が落ちる夏も、さらさら食べられる新潟・中越の一杯。そのまま汁物でも、ごはんや麺にかけてもいい。

あんぼ
米粉で練った皮にあんや漬物を包む、新潟・長野北部の蒸し菓子。小麦粉の「おやき」とは異なり、米の豊かな土地ならではの米粉皮が特徴。囲炉裏の灰で焼く古い食べ方も残る。

赤かぶ漬け
雪深い山間部で焼畑栽培された鮮やかな赤かぶを漬けた保存食。山北地域独特の土壌と気候が生み出す鮮烈な紅色が特徴である。

干し大根漬け
「はりはり」と音を立てて食べることから名付けられた新潟の保存食。酢を使わず醤油ベースで昆布とスルメの旨味を閉じ込め、寝かせるほどに味が深まる。