
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
納豆をすり潰して味噌汁に加えた汁物料理で、納豆のコクと味噌の旨味が絡み合いまろやかな味わいとなる。主な伝承地は秋田県南地域の内陸部、特に由利本荘市中直根地域で、山菜やきのこが豊富に採れる山間部の食文化を反映している。正月の三が日に大きな鍋で作り、温め直しながら食べるのが定番で、冠婚葬祭などハレの日の料理としても定着している。家庭によって具材の組み合わせが異なり、春や秋に塩蔵しておいた山菜を使うなど、保存食の知恵が受け継がれている。現代では県南内陸部で老若男女に親しまれ、冬の楽しみとして食されている。
由来・歴史
納豆発祥の地の一つとされる横手市には、後三年の役(1083〜1087年)にまつわる言い伝えが残る。兵糧として届けられたわら包みの煮豆が、数日後に糸を引く独特の発酵食品に変化し、農民たちが納豆として作るようになったという。この伝承を記念し、横手市・金沢公園に記念碑が建立されている。
食べ方
煮干しだしで里芋と油揚げを煮込み、きのこ・わらび・豆腐を加えて味噌で味を整える。すり潰した納豆を投入し、ネギとからし菜を添える。塩蔵した山菜を塩抜きして使うなど、保存がきく食材を多用する。正月の三が日に大きな鍋で作り、温め直しながら食べるのが伝統的な食べ方である。
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産地
汁物の名物

どんこ汁
福島県浜通りの沿岸に生息する「どんこ」という魚を使った汁料理。肝を入れることで凝縮したうまみが特徴で、地元では釣りの楽しみとともに親しまれてきた。

ばっとう汁・だんご汁(すいとん)
「ばっとう汁」「はっとう汁」「だんご汁」「とっちゃなぎ」——同一の料理が栃木県内で4種類の異名を持つ。いずれも「法度汁」が訛ったもので、米不足を補う知恵の食である。

きゃのっこ汁/けの汁
正月の行事を終えた1月15日から食べる「きゃのっこ汁」。青森・津軽の「けの汁」が秋田に伝わり、青豆粉の焼きずんだを入れるのは秋田ならではの特徴である。

鱈汁
300年以上続く奇祭「掛魚祭り」で神に捧げられた鱈を、漁師たちが味噌汁で味わう。白子・肝・アラを丸ごと入れた冬の豪快鍋は、秋田の寒さを知り尽くした知恵の結晶である。

ぬっぺい汁/八杯汁
「八杯」の名は「一丁の豆腐で八杯分できる」または「おかわりが止まらない」という説がある。岩手県央では「八杯豆腐」とも呼ばれ、冠婚葬祭の精進料理として親しまれてきた。
秋田県の名物

きりたんぽ鍋
がまの穂に似たご飯を串に刺し焼いた「たんぽ」を鍋に入れた秋田の名物料理。山籠りの炭焼き職人が生み出した知恵が、今も収穫の労をねぎらう味として受け継がれる。

いものこ汁
里芋の子孫芋「いものこ」を主役に、鶏肉や秋の味覚をふんだんに入れた秋田の鍋料理。横手市では270年の栽培歴を誇る里芋が、独特の粘りと柔らかな歯ごたえを生み出す。

柿漬け
大根と渋柿を塩と砂糖で漬けた角館の伝統漬物。正月の来客には花形に切り盛り付ける風習が残る。

だまこ鍋
「だまこ」の名は子どもの遊び道具「お手玉」に由来し、ご飯を丸めた団子が鍋の主役となる秋田の冬の味。八郎潟の干拓で魚から鶏へと変化した歴史も興味深い。

笹巻き
笹の葉に包まれた秋田の初夏の味覚。田植えを終えた女性たちが里帰りする「さなぶり」の手土産として、嫁家から持たせられた贅沢なハレの食文化である。

赤漬け/赤ずし
鶏頭の赤い花に似た鮮やかな色が名前の由来「けいとまま」。秋田県北のお盆に欠かせない発酵食品で、疲労回復と消化促進の万能薬として盛夏を乗り切ってきた。