
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
つみれ煮は、沖ギス・アジ・トビウオなどの白身魚をすり身にし、ごぼう・ねぎ・人参などの野菜と共に蒸すか出汁でゆでた煮物料理である。島根県は海岸線が1,026kmと全国10番目に長く、対馬暖流が流れる沖合は漁場に最適な環境であり、まき網漁・底びき網漁・定置網漁・一本釣り漁など多様な漁法で収穫された魚が食材となる。出雲地方・石見地方・隠岐地域などで1年を通して食べられ、特に12月から2月の旬は脂ののりが良く珍重される。家庭によってはしょうが汁で風味を加えたり、ヤマイモをつなぎに入れたりとアレンジが見られ、はんぺん状にして揚げ物にするなど別の調理法も存在する。
由来・歴史
島根県の豊かな漁場で多様な漁法により収穫された沖ギス・アジ・アゴ(トビウオ)などは、すり身にしてつみれ料理として食べられてきた。特に沖ギスは正式な魚名が「ニギス」であり、地元では「トンコロイワシ」と呼ぶ地域もある。全長20cmほどで1匹では食べごたえに欠けるため、何尾かまとめてミンチにすることで手間を省きつつ、小骨も気にならない食べやすい料理として発展した。ひと昔前は鮮魚店の店頭に沖ギスのトロ箱が並ぶのが馴染みの風景であった。
食べ方
人参やごぼうなど季節の野菜と共に、蒸すか出汁でゆでて調理する。しょうが汁でさっぱりとした風味を加えることや、つなぎにヤマイモを入れることもある。包丁で細かくミンチ状にすれば小骨も気にならず、食べやすい。沖ギスは1年を通して流通するが、12月から2月が旬で脂ののりが最も良い。鮮度が落ちるのが早いため、新鮮なうちに刺身やつみれとして食べられるのは地元ならではの楽しみである。
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産地
煮物の名物

うどと凍み大根のどんころ煮
「どんころ」とは丸太のこと。うどを切った断面が丸太に似ていることから名付けられた、海の幸・山の幸が調和する山形の春の味。凍み大根と身欠きニシンをじっくり煮込む郷土料理である。

うなぎの帆引き煮
巨大な白い帆を広げた「帆引き船」を模した笹の葉飾りが特徴のうなぎ料理。冷凍保存した余りのうなぎを急な来客用に手早く豪勢に仕立てた知恵が生んだ名物料理である。

うつぼ料理/うつぼの佃煮
「海のギャング」と呼ばれる猛魚・ウツボを、和歌山県南部で独自の食文化に昇華。秋冬の漁獲期に干し揚げた佃煮は、県南部の風物詩として親しまれる名産品である。

鳥もつ煮
捨てられていた鳥の内臓が、貴重な醤油と砂糖で生まれ変わった戦後のソウルフード。強火短時間の照り煮で旨味を閉じ込める独特の技法が、甲府市民に長く愛され続けている。

鯛蕪/聖護院かぶと鯛の煮物
「であいもん」と呼ばれる縁起物の煮物。タイと聖護院かぶの意外な組み合わせは、享保年間から続く京の冬の風物詩である。
島根県の名物

うなぎ豆腐
江戸時代、20~30人の輸送団が中国山地を越え大阪へ届けた「出雲産うなぎ」がルーツ。うなぎの脂と出汁が豆腐に染み込む、宍道湖周辺の冬の味覚である。

うずめ飯
ごはんの下にタイや野菜が隠れた「うずめ飯」。江戸時代、質素倹約を装うため具材を隠したという説があり、提供時に伏し目がちにする習わしも残る。昭和14年には「日本五大名飯」に選定された名物料理である。

トビウオの刺身
水面を十数メートル滑空する魚を「アゴすくい」で捕獲する伝統漁法。県魚に指定されたトビウオは、初夏の旬に淡白な身と珍重される魚卵「アゴの子」で食卓を彩る。

たけのこ山椒煮
長さ1mを超える金棒で掘る「島田たけのこ」は、粘土質の赤土で育ち肉質が柔らかい。山椒の香りが効いた煮物は、春の味覚として地元で親しまれる。

スズキの奉書焼き
江戸時代、松江藩主が灰だらけの蒸し焼きを「奉書に包んで」所望したことが名前の由来。宍道湖のスズキを和紙に包み蒸し焼きにする、格式高い郷土料理である。

すもじ
「生き腐れ」と呼ばれる傷みやすいサバを、内陸まで運ぶ知恵として生まれた焼きサバのちらし寿司。交通の要衝・雲南市で名物となった、海と山を結ぶ食文化である。