
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
うなぎを酒でふっくら煮て、煮汁をからめた煮物である。霞ヶ浦や利根川流域という日本有数のうなぎ産地で、かつては天然うなぎが豊富に獲れた。余ったうなぎを冷凍保存し、急な来客時に凍ったまま手早く調理できるよう考案された。6月から10月の旬の時期を中心に、おもてなしの席で重宝された。家庭ごとに煮汁の濃さや甘さに違いがあり、ごはんにのせてうな丼にしたり山椒を添えたりする現代のアレンジも見られる。
由来・歴史
霞ヶ浦は国内第2位の広さを誇り、プランクトン豊富な水域で天然うなぎの名産地として知られた。龍ヶ崎市の牛久沼はうな丼発祥の地ともいわれ、「うなぎ街道」と呼ばれる老舗店舗群がある。かつて湖上に何十隻もの巨大な白い帆を広げた「帆引き船」による漁が名物であったが、風の影響を受けやすく危険も伴ったため、現在は機械トロール船に移行している。平成30年(2018年)に霞ヶ浦の帆引き網漁の技術は国選択無形民俗文化財に選定された。帆引き船を模した笹の葉飾りから「帆引き煮」の名がつき、現在は観光用に春から秋に運用されている。
食べ方
鍋に酒を入れ煮立ったところに凍ったうなぎを入れ、ひと煮立ちさせて醤油と砂糖で味付け、ふっくらと仕上げる。多めの酒で煮るとより柔らかくなる。煮汁を煮つめてうなぎにかけ、大きめの笹の葉を帆引き船に見立てて飾って提供する。ごはんにのせてうな丼として食べることもでき、山椒などの薬味を加えることもある。急な来客やおもてなしの席で作られ、天然うなぎの旬である6月から10月ごろに食べられることが多い。
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産地
煮物の名物

うつぼ料理/うつぼの佃煮
「海のギャング」と呼ばれる猛魚・ウツボを、和歌山県南部で独自の食文化に昇華。秋冬の漁獲期に干し揚げた佃煮は、県南部の風物詩として親しまれる名産品である。

焼鮎の甘露煮
骨まで食べられるほどふっくらと煮込まれた焼鮎の甘露煮は、球磨川の秋の風物詩「落ちアユ」を使った人吉・球磨地域の冬の保存食である。

焼き鯖の煮付け
焼きサバをほぐして玉ねぎと甘めに煮込む、鳥取県東部の知恵が生んだ庶民の味。臭みを和らげ子どもも食べやすく、農繁期の簡単な魚料理として重宝された。

うどと凍み大根のどんころ煮
「どんころ」とは丸太のこと。うどを切った断面が丸太に似ていることから名付けられた、海の幸・山の幸が調和する山形の春の味。凍み大根と身欠きニシンをじっくり煮込む郷土料理である。

つみれ煮
「サンマにも引けをとらない」と地元民が絶賛する沖ギスのつみれ煮。白身でクセがない沖ギスは、小骨も気にならないようミンチにして、ごぼうやねぎと共に煮込まれる。値段が手ごろなため、島根の家庭で日常的に親しまれてきた郷土料理である。

鳥もつ煮
捨てられていた鳥の内臓が、貴重な醤油と砂糖で生まれ変わった戦後のソウルフード。強火短時間の照り煮で旨味を閉じ込める独特の技法が、甲府市民に長く愛され続けている。
茨城県の名物

わかさぎとれんこんの酢漬け
霞ヶ浦の名物ワカサギと日本一の産地・土浦のれんこんを、甘酢に漬け込んだ爽やかな郷土料理。骨まで食べられる小魚とシャキシャキの根菜が、漁師町の食文化を今に伝える。

柚子大根
天日干しの大根に柚子と昆布を巻き、酢で漬けた茨城の冬の定番。正月のおせちや箸休めとして親しまれる、保存食の知恵が詰まった郷土料理である。

つけけんちん
「つけけんちん」は、温かいけんちん汁にざるそばをつけて食べる茨城独特の食べ方。江戸時代後期から続くこの風習は、旧暦新年に水戸藩から広がったと伝わる。

手作りさしみこんにゃく
江戸時代に水戸藩の財政を支えた奥久慈の特産・こんにゃくを、生のまま刺身で味わう贅沢な食べ方。新年や祭りのハレの日に客人をもてなす一品として親しまれてきた。

たがね餅
「たがね」は餅の古語。もち米とうるち米を混ぜた楕円形の餅で、青のりや豆を練り込む地域ごとのバリエーションが魅力。正月の定番として今も親しまれる。

すだれ麩のごま酢和え
江戸時代後期から続く結城市の貴重な保存食。竹のすだれに広げて天日干しした麩を、ごま酢で和えて食べる独特の食文化が今も残る。