
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
焼鮎の甘露煮は、球磨川で秋に獲れた「落ちアユ」を炭火で黄金色に焼き、甘めの醤油ダレでじっくり煮込み、最後に水飴で照りを出した郷土料理である。主な伝承地域は球磨川流域の人吉・球磨地域と八代地域で、日本三大急流の一つに数える急流と清流がアユの身を鍛え、古くからアユの宝庫として知られている。秋の産卵期に川を下る落ちアユを使い、正月の雑煮や炊き込みご飯の出汁としても重宝された冬の保存食である。家庭ごとに味付けに違いがあり、子持ちアユを使ったものはこの時期のごちそうとして特別扱いされる。
由来・歴史
球磨川は熊本最大の一級河川で、支流の川辺川では尺アユと呼ばれる30cm級の大アユが獲れるほど古くからアユの名産地であった。かつては昭和中頃まで大量に漁獲されたが、ダムや堰による遡上阻害で資源が減少し、現在は漁協が稚アユの放流など保護活動を行っている。焼アユは元々正月の雑煮出汁用の保存食として発達し、甘露煮へと発展した。
食べ方
焼鮎は串にさして炭火でじっくり焼き、乾燥窯で干した後に甘めの醤油で煮込む。甘露煮は一匹丸ごと切らずに盛り付け、冷めたままでも美味しく食べられる。秋の落ちアユのシーズンに作られ、毎日のおかずとして食卓に並ぶ冬の保存食である。
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産地
煮物の名物

焼き鯖の煮付け
焼きサバをほぐして玉ねぎと甘めに煮込む、鳥取県東部の知恵が生んだ庶民の味。臭みを和らげ子どもも食べやすく、農繁期の簡単な魚料理として重宝された。

大和の雑煮
餅を砂糖入りきな粉につけて食べる奈良の雑煮。豆腐は白壁の蔵、里芋の頭芋は「人の上に立つ」願いが込められ、具材一つひとつに縁起物の意味が宿る。

大和まなと薄揚げの煮もの
「古事記」に記載される「菘(すずな)」をルーツとする大和まなは、霜にあたると甘みが増す奈良の伝統野菜。薄揚げと煮含めた滋味深い家庭料理は、平成21年の品種改良で周年流通するようになった。

うつぼ料理/うつぼの佃煮
「海のギャング」と呼ばれる猛魚・ウツボを、和歌山県南部で独自の食文化に昇華。秋冬の漁獲期に干し揚げた佃煮は、県南部の風物詩として親しまれる名産品である。

うなぎの帆引き煮
巨大な白い帆を広げた「帆引き船」を模した笹の葉飾りが特徴のうなぎ料理。冷凍保存した余りのうなぎを急な来客用に手早く豪勢に仕立てた知恵が生んだ名物料理である。

うどと凍み大根のどんころ煮
「どんころ」とは丸太のこと。うどを切った断面が丸太に似ていることから名付けられた、海の幸・山の幸が調和する山形の春の味。凍み大根と身欠きニシンをじっくり煮込む郷土料理である。
熊本県の名物

山するめのきんぴら
干したけのこがスルメに見えたことから「山するめ」と名付けられた熊本の保存食。シャキシャキとした歯ごたえが酒のつまみにもぴったりの一品である。

柚餅子
同じ名前で全く異なる2つの姿を持つ柚餅子。菊池の竹皮包み蒸し菓子と、人吉・球磨の柚子の皮を器にした塩味の保存食。南北朝時代の兵糧から、球磨焼酎のつまみまで、米どころ・柚子の里の知恵が詰まっている。

つぼん汁
「壺の汁」が訛って「つぼん汁」となった、熊本県人吉球磨の祝い料理。秋祭りの会席膳から発展し、具材は7種類や9種類の奇数でそろえるのが慣わしである。

豆腐の味噌漬け
800年前の平家落ち武者が伝えたとされる保存食。半年間味噌に漬け込むとチーズのような風味に変化し、山間部の貴重なタンパク源として親しまれた。

とじこ豆/豆菓子
甘い小麦粉の生地で大豆を「閉じ込めた」という名の由来が興味深い。山鹿市菊鹿地区で年末に必ず作られた郷土菓子で、今はピーナッツ入りが主流となっている。

たこ飯
「干しダコ」をもどして炊き込む熊本県天草の郷土料理。潮風に揺れる吊るし干しの風景が夏の風物詩となっている。弾力のあるマダコの旨味が凝縮された保存食の知恵が、現代も受け継がれる。