
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
身欠きニシンを昆布で巻き、醤油と砂糖で柔らかく煮た煮物である。昆布のもどし汁を活用し、箸がすっと通るほどに煮込むのが特徴。福井県敦賀市を中心に、北前船の寄港地として栄えた若狭湾沿岸で受け継がれてきた。北海道産の昆布とニシンが船で運ばれ、西日本の食文化に根付いた土地柄がこの料理を生んだ。秋祭りや正月、冠婚葬祭などの祝い事の席に必ず登場し、大きなまま皿に盛ってかぶりつく食べ方がご馳走とされる。家庭によってはごぼうや揚げ、人参を芯に巻くこともあり、現代でも福井の祝いの象徴として親しまれている。
由来・歴史
18世紀中頃から明治30年代にかけて、北海道から大阪まで西回り航路を行き来した「北前船」が、福井県敦賀を寄港地としていた。昆布とニシンは北からもたらされた特別な食材で、身欠きニシンを昆布で巻いて煮たものは「よろこぶ」と呼ばれ縁起物となった。ニシンは子孫繁栄、輪切りは円満を願う意味を持ち、祝い事の定番料理へと発展した。
食べ方
身欠きニシンを米のとぎ汁で、昆布をぬるま湯でそれぞれもどし、ニシンに箸1本をあてて昆布を巻く。昆布のもどし汁に醤油や砂糖を加え、箸がすっと入るまで柔らかく煮込む。昆布は箸1本分の余裕を持たせて巻くことで中心まで味が染み込む。盆や正月、祝い事の席では大きな昆布巻きを切らずにかぶりついて食べるのが伝統的な楽しみ方で、一年中食べられる料理である。
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産地
福井県の名物

丸焼き鯖
鯖街道で京都に運ばれた若狭のサバを、竹串に刺して丸ごと焼く豪快な郷土料理。大野市では殿様が領民に配った「半夏生」の風習が今も残る。

なまぐさ汁
「生臭い」という名に反し、鯖の丸焼きからとる上品なすまし汁。若狭・小浜の新保地域だけに伝わる、精進明けや祝い事の象徴的な一椀。

にしんすし
北前船が運んだ「身欠きニシン」が主役の発酵寿司。夏に仕込み、秋の刈り入れに食べ頃を迎える知恵の保存食で、福井のおせちを彩る縁起物でもある。

柏餅
枯れ葉になっても落ちないかしわの葉に、子孫繁栄を願う思いを託した縁起餅。福井県若狭地方の「田の神祭り」で、子ども神輿が巡る家々に必ず供えられる。

ほうばめし
田植えのお祝い「さつきあげ」にふるまわれた、ほう葉の香りがきな粉ご飯にしみ込む携行食。熱々のご飯で葉の色が変わるほど馴染ませるのがコツである。

ほんこさん/報恩講料理
親鸞聖人の好物だった小豆を使った「おつぼ」など、浄土真宗の報恩講で供される精進料理が福井県の家庭料理として定着。秋から新年にかけて地域の女性たちが心を込めて作る「ふるさとの味」である。