
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
鶏肉・砂ずり・豚肉と白菜・ねぎ・にらを、にんにくを炒めた鍋に入れ、塩・こしょう・日本酒で味付けする鍋料理。アルコールは加熱で飛び、素材本来の味を楽しめるあっさりとした仕上がり。東広島市西条は「兵庫の灘」「京都の伏見」と並ぶ銘醸地で、全国酒品評会で明治から大正に上位を独占する酒都。酒造りの冬の期間、杜氏や蔵人の空腹を満たすまかないとして食されてきた。現在は東広島市の名物料理となり、毎年10月の「酒まつり」で各蔵元・店舗が工夫を凝らして振る舞う。家庭ではこんにゃくや厚揚げを加えることもあり、季節の野菜を使うなどアレンジも広がっている。
由来・歴史
発祥は東広島市西条の杜氏が、酒造りの合間の空腹を満たすために考案したまかない料理。シンプルな味付けは利き酒に影響を与えない工夫である。元々は仕事着がびしょ濡れになる蔵人を「びしょ」と呼び、「びしょ鍋」と名付けられた。「美酒」の字は近年あてられたもの。西条は俳人・河東碧梧桐が「酒の新都」と称した銘醸地で、酒都の名声を高めた。
食べ方
にんにくを炒めた鍋に、火の通りにくい肉から順に白菜・ねぎなどを入れ、酒を少しずつ加えながら塩こしょうで味付けする。野菜は煮すぎず、鍋の中身を食べ終えてから次を作るのが本来の作法。こんにゃくや厚揚げを入れることもある。酒造りの冬に食されていたが、現在は時季を問わず、10月の「酒まつり」では各蔵元の工夫が味わえる。
このお祭りで食べられています
東広島の「酒まつり」で各蔵元・店舗が工夫を凝らして振る舞う。お祭りの日程や見どころは「わっしょい」で。
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産地
鍋料理の名物

飛鳥鍋
飛鳥時代に唐から伝わった乳製品が起源。奈良の貴族から僧侶、そして庶民へと広がった、牛乳仕立ての鶏鍋。ヤギの乳を使った時代もあったという変遷が興味深い。

べか鍋
「今日も食べっか」「明日も食べっか」という庶民の会話が名前の由来となった鍋料理。ぬか漬けのイワシと酒粕を合わせ、能登の寒い冬を乗り切ってきた発酵の知恵が詰まっている。

いのぶた鍋
山梨・三富で戦後に奨励された「いのぶた」は、野生の猪と豚を交配させた珍しい畜産物。獣臭がなく脂に甘みとコクがあり、タンパク質は豚肉より2割多いスタミナ食材として鍋で親しまれる。

そばどじょう鍋
そば粉をどじょうのような細長い形にして鍋に入れる、岡山県山間地の冬の名物料理。川魚のだし汁で煮込み、体を芯から温める。

しし鍋
美作の猟師から一般家庭まで広く親しまれる冬の味。イノシシの深い旨みを味噌ベースのだしで煮込み、古くから貴重なタンパク源として食されてきた鍋料理である。
広島県の名物

鯛めし
約380年前の江戸時代に始まった「鯛しばり網漁法」の発祥地・鞆の浦で生まれた漁師の知恵。丸ごとの鯛を釜に入れて炊く豪快な一皿は、瀬戸内の豊かな海の恵みを象徴する。

お好み焼き
「ヘラ」で鉄板から直接かきこむ食べ方が象徴的な、広島のソウルフード。人口10万人あたりの店舗数が全国一位という圧倒的な普及度を誇る。

もぶり
広島の方言で「混ぜる」を意味する「もぶる」が名前の由来。干ししいたけや根菜、黒豆などを炊きたてご飯に混ぜ込んだ混ぜご飯で、農作業の携行食から祝い事のちょっとしたごちそうまで、幅広く親しまれてきた。

わけぎのぬた
「子宝に恵まれる」縁起物として桃の節句に食されるわけぎのぬた。1玉が半年で50球以上に増える繁殖力から、子孫繁栄を願う意味合いが込められている。尾道市を中心とする瀬戸内海沿岸で全国一の生産量を誇る。

かきの土手鍋
鍋のふちに塗った味噌を崩しながら味を調節する独特の食べ方が特徴。全国生産量半分以上を占める広島のかきを、冬の風物詩として味わう郷土料理である。

あなご飯
明治34年に宮島口駅で駅弁として誕生した「あなご飯」。潮流の速い瀬戸で育った脂がのった「瀬戸のあなご」を、かば焼きにしてだし炊きご飯に敷き詰めた宮島名物である。