
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
かきの土手鍋は、白みそと赤みそを混ぜたものを土鍋のふちに「土手」のように塗り付け、具材とだし汁を加えて煮る鍋料理である。全国のかき生産量の半分以上を占める広島県で、波静かで潮の流れが適度、河川からの栄養が豊富な音戸・宮島・呉などの湾で育った身が大きく濃厚な味わいのかきを主材とする。1月から2月の旬を迎えるかきを楽しむ冬の郷土料理として、飲食店や一般家庭で親しまれ、観光客にも人気が高い。家庭によっては味噌の配合や具材の組み合わせが異なり、現在も進化を続ける郷土の味である。
由来・歴史
「かきの土手鍋」の名前の由来には三説ある。一つは味噌を鍋の内側に土手のように塗ることから、二つめは考案者が土手長吉さんだったから、三つめは江戸時代にかき船が川の土手でこの鍋を食べさせていたからとされる。広島のかき食は縄文・弥生時代の貝塚からも確認され、1500~1600年代には養殖が始まった。県独自の食品衛生条例による安全性も人気を支えている。
食べ方
白みそ、赤みそ、酒、みりん、砂糖を混ぜたものを土鍋のふちに塗り、底に白菜の芯を敷いて具材を入れ、最後にかきを乗せてだし汁を加える。火にかけたら、ふちの味噌を崩しながら好みの味に調節しながら食べるのが特徴的な食べ方である。1月から2月のかきの旬の時期に、家庭や飲食店で楽しまれる。
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産地
鍋料理の名物

美酒鍋
「びしょ鍋」が正式名称だった?酒蔵のまかないから生まれた鍋料理で、杜氏が利き酒に支障のないよう日本酒で仕上げた味付けが特徴。

飛鳥鍋
飛鳥時代に唐から伝わった乳製品が起源。奈良の貴族から僧侶、そして庶民へと広がった、牛乳仕立ての鶏鍋。ヤギの乳を使った時代もあったという変遷が興味深い。

べか鍋
「今日も食べっか」「明日も食べっか」という庶民の会話が名前の由来となった鍋料理。ぬか漬けのイワシと酒粕を合わせ、能登の寒い冬を乗り切ってきた発酵の知恵が詰まっている。

そばどじょう鍋
そば粉をどじょうのような細長い形にして鍋に入れる、岡山県山間地の冬の名物料理。川魚のだし汁で煮込み、体を芯から温める。

しし鍋
美作の猟師から一般家庭まで広く親しまれる冬の味。イノシシの深い旨みを味噌ベースのだしで煮込み、古くから貴重なタンパク源として食されてきた鍋料理である。

ぼたん鍋
丹波篠山の冬の名物「ぼたん鍋」は、陸軍駐屯地時代のイノシシ汁が起源。牡丹の花びらを模した華やかな盛り付けで、昭和に名前が定着した郷土料理である。
広島県の名物

わけぎのぬた
「子宝に恵まれる」縁起物として桃の節句に食されるわけぎのぬた。1玉が半年で50球以上に増える繁殖力から、子孫繁栄を願う意味合いが込められている。尾道市を中心とする瀬戸内海沿岸で全国一の生産量を誇る。

もぶり
広島の方言で「混ぜる」を意味する「もぶる」が名前の由来。干ししいたけや根菜、黒豆などを炊きたてご飯に混ぜ込んだ混ぜご飯で、農作業の携行食から祝い事のちょっとしたごちそうまで、幅広く親しまれてきた。

お好み焼き
「ヘラ」で鉄板から直接かきこむ食べ方が象徴的な、広島のソウルフード。人口10万人あたりの店舗数が全国一位という圧倒的な普及度を誇る。

あなご飯
明治34年に宮島口駅で駅弁として誕生した「あなご飯」。潮流の速い瀬戸で育った脂がのった「瀬戸のあなご」を、かば焼きにしてだし炊きご飯に敷き詰めた宮島名物である。

八寸
器の大きさか材料の多さにちなむ名の、浄土真宗門徒の伝統煮物。冠婚葬祭で具材の数や色が変わる、海と山の恵みを合わせた広島西部の知恵料理。

いが餅
「胃が治る」という語呂合わせから名付けられたともいわれる、呉の秋祭りの風物詩。蒸し立てのもちもちした皮と、カラフルなもち米の粒々とした食感が特徴の菓子。