
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
鶏肉、里芋、れんこん、長芋、しいたけ、ごぼう、高野豆腐など季節の根菜を中心にした具材を、薄味の汁でやわらかく煮込んだ汁物である。山口県岩国地域の郷土料理で、錦帯橋で知られるこの町は、江戸時代から城下町として栄え、豊かな農産物と鶏の飼育が盛んな土地柄が反映されている。冠婚葬祭など大人数が集まる祝い事の席に供され、豪華絢爛な岩国寿司と対をなす格式高い料理として位置づけられてきた。家庭ごとに具材の組み合わせや味付けに違いがあり、現代でも地域の結婚式や葬儀などの集まりで引き継がれている。
由来・歴史
岩国地域を代表する料理の一つで、平たく大きな蓋つきの塗り物のわん「大平」に入れて食卓に提供することからこの名が付いた。祝い事には欠かせない料理として、岩国寿司と並んで重宝されてきた。冠婚葬祭で使われる大平は直径50cmほどになることもあり、その大きさ自体が客人をもてなす心意気を表している。
食べ方
鶏肉を炒めた後、里芋、れんこん、にんじん、干ししいたけ、こんにゃく、厚揚げなどを加えて炒め、具材がかぶる程度の水でやわらかく煮る。砂糖、みりん、酒、醤油で味を整え、鶏肉と野菜のだしを活かす。冠婚葬祭など大人数が集まる時に提供され、大平から小皿にとりわけて振舞われる。汁が多く薄い味付けのため、汁ごといただくのが一般的である。
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産地
山口県の名物

のっぺい
城下町・萩の生活に欠かせない「のっぺい」は、仏事には鶏肉を抜きぎんなんを加えるなど用途で使い分ける知恵が息づく冬の定番汁物料理である。

つしま
朝鮮通信使を案内した櫛ヶ浜の漁師が創ったとされる山口県周南市の郷土料理。豆腐と干ししいたけ、野菜を煮て和えた日持ちする保存食で、対馬藩にちなみ「つしま」と名付けられた。

茶がゆ
江戸時代に岩国藩主・吉川公が米の節約のために奨励した「茶がゆ」。ほうじた番茶を専用の鉄釜「鑵子」で煮出し、サラリとした口当たりに仕上げる。夏は冷やして、冬は温かく食べる風流な庶民食である。

岩国寿司
「殿様寿司」の異名を持つ岩国の押し寿司は、江戸時代に岩国藩主・吉川公に献上されて喜ばれたと伝わる。錦帯橋の街・岩国の城下町文化が生んだ、3〜5段に重ねた華やかな祝い料理である。

わかめむすび
江戸時代、参勤交代の侍が刻みわかめをご飯にふりかけた姿を、宿の女中が「茶殻をかけて食べる」と驚いたという逸話を持つ。日本海の春の風物詩・干しわかめをまとわせた朴訥なおむすびは、今も山口の故郷の味として親しまれる。

瓦そば
昭和36年(1961年)に川棚温泉の旅館が生み出した「瓦そば」。西南戦争で薩摩兵が瓦で肉を焼いた話と、江戸時代から庶民に許された「瓦」の地縁が結びつき、全国に名を轟かせた山口のソウルフードである。