
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
「ぼうり」は里芋の親芋を皮ごと丸煮にした濃味の煮付けである。醤油と砂糖で味付けしただし汁に、親芋を4〜6時間煮込み、翌日さらに煮詰める二日がかりの調理法で、素朴ながら深い味わいが特徴である。主に和歌山県田辺市大塔村鮎川の小川地区に伝わり、熊野の山深い集落で里芋栽培が盛んだった土地の産物を活かした料理である。正月の雑煮の代わりに供され、餅を入れた雑煮とは異なる年始の食卓を担ってきた。家庭によって味付けの濃さや煮込み時間に違いがあり、現在も一部の家庭で正月の伝統として受け継がれている。
由来・歴史
1331年、鎌倉幕府の追及を逃れ山伏に扮した護良親王(大塔宮)が、正月の餅つきを行っていた当地を通過。空腹で餅を所望したが、山伏への施しを禁じる布令により村人は断った。後に護良親王であったと知り、村人は非礼を詫びて600年間正月の餅つきを中止し、代わりに「ぼうり」を食べるようになったという。1935年の六百年忌に村人は600個の餅を供えて供養し、その後は餅つきが再開されたが、「ぼうり」を食べる文化は今も残る。
食べ方
親芋を皮をむかずに丸ごと使用し、だし汁に醤油や砂糖で濃い目に味付けして煮付ける。1日目に4〜6時間炊いて味を染み込ませ、2日目に煮詰める二日がかりの調理法が基本である。塗りのお皿に盛り、正月の雑煮の代わりに食べられる。正月前から仕込みを始め、年始の祝いの膳に供する伝統的な食習慣である。
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産地
和歌山県の名物

ごま豆腐
弘法大師が中国から持ち帰ったごまを、厳しい修行の栄養補給に活かした高野山の精進料理。生ごまと吉野葛を練り上げる独特な製法で、今も禅寺の食卓に欠かせない名物である。

ゴンバチの油炒め
「ポン」と弾ける音が名前の由来ともされるゴンバチ(イタドリ)は、太く若い茎を根元から折ると爽やかな音が響く山菜。和歌山県では消費量が多く、春の食卓を彩る庶民の味として親しまれてきた。

はたごんぼずし
「はたごんぼ」は急斜面の硬い赤土で育ち、直径10cm・長さ1mにもなる橋本市西畑地区の特産ごぼう。輪切りにして中心をくり抜き酢飯を詰めた「はたごんぼずし」は、地元組合が生み出したオリジナルメニューである。

いがみの煮付け
「殿さまはタイ、庶民はせめてタイという名がついた魚を」という言い伝えから生まれた、和歌山県南部の縁起物。正月に尾頭付きで煮付け、タイの代わりに食べる風習がある。

いももち
少ないもち米で餅をつくる知恵が生んだ、さつまいも入りの郷土餅。冷めると固くなるため焼いて食べるのが紀州流。

いのこ餅
亥の神様に感謝する秋の収穫祭で供える「いのこ餅」は、里芋入りの餅に塩味の小豆あんをまぶした和歌山県北部の伝統菓子。平年12個、うるう年13個と数に意味を込めて神前に捧げる。