
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
うるち米ともち米を半々程度に混ぜ、里芋を加えて炊き上げた「さるの頭」を丸くにぎり、塩味の小豆つぶあんをまぶした餅菓子である。稲作が盛んだった和歌山県北部地域を中心に伝わり、秋の亥の日に実りへの感謝を込めて神仏に供える行事食として親しまれてきた。旧暦10月の最初の亥の日に「一番亥の子」として祝い、親戚を招いて振る舞う習慣があり、収穫後にこの日のために餅をついて備える。県南部の田辺市大塔村鮎川地区でも秋祭りで作られ「いんのこ餅」とも呼ばれる。砂糖を入れない塩味のあんは家々の味わいを映し、冷めても硬くならない口当たりの良さが特徴である。
由来・歴史
農耕の神様として古くから祀られる亥は、旧暦2月の春の亥の子に田んぼに稲や麦をつくりに訪れ、農事を終える旧暦10月の秋の亥の子に帰ると信じられていた。稲作地帯であった県北部では、秋の収穫を終えた亥の日に、亥の神様の好物である小豆のあんを餅にまぶした「いのこ餅」を供える習慣が生まれた。平年は12個、うるう年は13個を半分ずつ一升ますに入れて供えた。かつては子どもたちがわらべうたを唱えながら各戸をまわって餅をいただく風習もあった。
食べ方
うるち米ともち米を混ぜ、里芋を入れて炊き上げた「さるの頭」をあんころ餅より一回り大きく丸くにぎり、塩を入れた小豆のつぶあんをまぶして食べる。かつてはあんに砂糖を入れないのが一般的だった。旧暦10月の最初の亥の日に「一番亥の子」として祝い、神仏への供物とした後、親戚を招いて振る舞う。秋の収穫が済む頃にこの日のために餅をついて備える習慣があった。
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産地
餅の名物

いりこもち
江戸時代から続く薩摩藩の節句菓子「いりこもち」。炒ったもち米の香ばしさが特徴で、子どもの成長を祝って近所に配る風習があった。気温や湿度に左右される繊細な製法が、優しい甘みと柔らかな食感を生み出す。

石垣もち
石垣のような粗い表面が特徴の大分県の粉食菓子。農作業の合間に手早く作られた素朴なおやつで、地域によって「きりこみもち」「こねこみもち」など異なる呼び名で親しまれる。
ふるさと納税じゃんぼ餅
2本の串を刺した姿が刀を腰に差した上級武士に似ることから「両棒(じゃんぼ)」と名付けられた鹿児島の郷土菓子。南北朝時代、懐良親王をもてなした料理が起源とされる。

いももち/いもだんご
明治の開拓者たちがもち米の代わりに食した「いももち」。じゃがいもをつぶして焼くだけの手軽さから、戦時中の貴重なエネルギー源として重宝され、今も北海道の定番おやつとして親しまれている。

いばら餅
「柏餅の原型」という説もある三重の初夏の郷土菓子。サルトリイバラの葉が餅にうつす爽やかな香りが身上で、5月の節句や田植え終わりの祝い「野上り」に振る舞われてきた。
和歌山県の名物

かきまぶり
「まぶり」は那賀地方の方言で「かき混ぜる」の意。米と乾物・野菜を一煮汁で炊き、すし飯に混ぜるちらしずしは、田植え休みのごちそうから祝い事の定番へと受け継がれてきた。

かきまでご飯
「かきまぜ」がなまって生まれた呼び名。酢を使わない日高地方のまぜごはんは、焼きサバの骨出汁と紀伊水道の恵みが織りなす、お祝い事に欠かせない郷土の味である。

柿の葉寿司
江戸時代に生まれた柿の葉寿司は、柿の葉に含まれるタンニンによる天然の保存力を活かした知恵の結晶である。紅葉した柿の葉で包むことで、熊野灘のサバやカチエビが一日もち運べた。

いももち
少ないもち米で餅をつくる知恵が生んだ、さつまいも入りの郷土餅。冷めると固くなるため焼いて食べるのが紀州流。

いがみの煮付け
「殿さまはタイ、庶民はせめてタイという名がついた魚を」という言い伝えから生まれた、和歌山県南部の縁起物。正月に尾頭付きで煮付け、タイの代わりに食べる風習がある。

はたごんぼずし
「はたごんぼ」は急斜面の硬い赤土で育ち、直径10cm・長さ1mにもなる橋本市西畑地区の特産ごぼう。輪切りにして中心をくり抜き酢飯を詰めた「はたごんぼずし」は、地元組合が生み出したオリジナルメニューである。