
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
サルトリイバラの丸くつるつるした葉で餅を挟んだ、三重の郷土菓子。上新粉と砂糖の生地であんを包み、葉で挟んで蒸すと、葉の爽やかな香りが餅にうつる。津市や四日市市では「いばら餅」、東紀州では「おさすり」、亀山市では「どっかん餅」、伊賀では「いばらだんご」、ほかに「いばらまんじゅう」「がんだち餅」とも呼ばれ、地域ごとに名前が変わる。柏の葉が採れにくい西日本で柏餅の葉の代用として広まったとされ、「柏餅の原型はサルトリイバラの餅」という説もあるほど歴史は古い。いまも初夏になると県内の和菓子店の店先に「いばら餅」の旗が立ち、鈴鹿の「とらや勝月」や、夏季限定の冷やしいばら餅を出す伊賀の「御菓子司いせや」などで味わえる。
由来・歴史
5月の節句と、田植えなど農作業の終わりを祝う「野上り」の行事食として受け継がれてきた。亀山の加太南在家にいた「どうかん」という人が、野上りの祝いにいばらの葉で包んだ餅をつくって村人に振る舞ったところ大変喜ばれ、村人も真似てつくるうちに「どうかん餅」がなまって「どっかん餅」になった――と亀山市歴史博物館は伝える。博物学者・南方熊楠も「熊野には檞(かしわ)少なきゆえ、もっぱらこの葉にて端午のかしわ餅をつつみ申し候」と手紙に記しており、柏の葉の代用として西日本に根づいた歴史がうかがえる。
食べ方
混ぜ合わせた上新粉と砂糖に熱湯を加えて粉っぽさがなくなるまでこね、直径8cmほどに伸ばした生地であんを包み、2つ折りにしてサルトリイバラの葉で挟んで蒸す。葉が小さい春は2枚で上下に挟み、大きく育った秋は葉を折って包む。5月の節句や野上りのほか日常のおやつとしても親しまれ、農作業を手伝ってくれた人々と共に食べて労をねぎらう習わしがある。
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産地
餅の名物

いももち/いもだんご
明治の開拓者たちがもち米の代わりに食した「いももち」。じゃがいもをつぶして焼くだけの手軽さから、戦時中の貴重なエネルギー源として重宝され、今も北海道の定番おやつとして親しまれている。

いももち
少ないもち米で餅をつくる知恵が生んだ、さつまいも入りの郷土餅。冷めると固くなるため焼いて食べるのが紀州流。

いのこ餅
亥の神様に感謝する秋の収穫祭で供える「いのこ餅」は、里芋入りの餅に塩味の小豆あんをまぶした和歌山県北部の伝統菓子。平年12個、うるう年13個と数に意味を込めて神前に捧げる。

干し餅
「凍り餅」とも呼ばれる津軽の保存食は、寒風に晒し二ヵ月かけて仕上げる手間のかかる逸品。軒先に吊るされたのれんのような姿は、かつての真冬の風物詩であった。

半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅
田植えの終わりに食べる「半夏生餅」は、つぶし小麦を混ぜた歯切れのよい餅。早苗饗で田の神に感謝する行事食として親しまれてきた。

五平餅
木こりや狩人が山の講の前夜に食べた携帯食がルーツ。うるち米を潰して串に刺し、味噌ダレを塗って焼く独特の食べ方は、中部山間部に広がる「御幣」の形にちなんだ名物料理である。
三重県の名物

伊勢うどん
昭和47年に名前が決まった「新しい郷土料理」。太く柔らかい麺に黒いたまり醤油のつゆを絡め、伊勢市民のソウルフードとして親しまれている。

いわしずし
「祭りずし」とも呼ばれる三重県の秋祭りの名物。木枠で押し固めたイワシと酢飯は、余ればお土産に持ち帰るほどのごちそうであった。海から遠い内陸部ではイワシ自体が珍しい食材だった。

かきまぜ
冠婚葬祭の「ハレ食」として東紀州に伝わる混ぜずし。二百十日の町内会作業後、子どもが蓮芋の葉に包んだかきまぜを待ち構える風景も。

ガラガラおろし
鬼おろし器の音が名の由来とされる三重の郷土料理。江戸時代、年貢米の代わりに献上されたという歴史を持ち、嫁入り道具として母から娘へ受け継がれた。

ふき俵
田の神に供える13個の「ふき俵」は、ふきの葉で豆ごはんを俵型に包んだ三重県の知恵の結晶。手を洗わず食べられ、食べ終われば葉は自然に還る。

ちゃつ
朱漆塗りの木製皿「楪子(ちゃつ)」に盛られた精進料理が名前の由来。醤油を使わず白く仕上げる、三重県北勢地域の甘酸っぱい郷土料理である。