
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
昆布でサケやニシンなどの魚を巻き、かんぴょうで縛って砂糖・醤油・酒で煮る巻き物である。昆布のうま味と魚の脂が溶け合い、甘辛い煮汁が染み込む。全国の昆布生産量の90%を占める北海道で、特に繊維質が少なく柔らかい日高地方の日高昆布が用いられることが多い。正月のおせち料理やハレの日の食卓に供され、縁起物として親しまれてきた。かつては冬の保存食としても重宝され、身欠きニシンを使ったものは長期保存が可能であった。魚の種類は地域や家庭によってシシャモやチカなど多様で、現代でも北海道の食文化を象徴する料理として受け継がれている。
由来・歴史
北海道の昆布漁は797年の『続日本記』に既に見え、鎌倉時代には松前と本州間の交易品となった。室町時代に敦賀経由で京阪へ運ばれ、江戸時代には北前船の主要輸送物として消費が拡大した。この時期、漁獲量の多かったニシンやサケと昆布を組み合わせた「昆布巻き」が生まれ、北海道の郷土料理として定着した。
食べ方
昆布とかんぴょうを水で戻し、魚を昆布で巻いてかんぴょうで縛り、砂糖・醤油・酒で煮る。サケやニシンが一般的だが、シシャモやチカなど地域や家庭で異なる。正月のおせちや祝い事の際に食べられ、縁起を担いで「よろこぶ」「子生」と書かれる。かつては干物にした身欠きニシンを使ったものが冬の保存食として重宝された。
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産地
北海道の名物

鯨汁
「大物になるように」と縁起を担いで正月に食べられる道南の伝統汁。ニシン漁の豊漁祈願の意味も込められ、何度も温め直して味を深める食べ方が特徴である。

松前漬
松前藩発祥の保存食が、ニシン漁師の母たちの手で冬の定番へ。数の子が高騰する現代では、スルメイカと昆布が主役となっている。

室蘭やきとり
鶏肉を使わない「やきとり」という名の豚串焼き。昭和12年(1937年)の軍需養豚奨励を背景に、室蘭の屋台で生まれ、甘いタレと洋辛子の組み合わせが定着した。

カスベの煮付け
「煮ても焼いても食べれない“かす”にしかならない魚」という蔑称から名づけられたカスベは、今や冬の北海道を代表する煮付けに。骨まで食べられる軟骨魚で、冷めると煮こごりになるのも特徴である。

ジンギスカン/成吉思汗
「ジンギスカン」という名の由来は、羊肉を食べる習慣のなかった日本人に中国料理「カオヤンロウ(羊の焼肉)」を参考に考案されたとされる。中央に盛り上がった専用の鍋で、肉汁がまわりの野菜に流れ落ちる仕組みが特徴の北海道を代表する料理である。

飯寿司
初雪の頃に漁師の家で漬け始めた、北海道から東北に伝わる乳酸発酵の寿司。塩抜きの加減が味を決める、職人技が光る冬の保存食である。