
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
うるち米ともち米を混ぜたご飯に、金時豆の甘煮やひじき、干ししいたけ、薄揚げ、人参などの具を混ぜ込み、アブラギリ(油桐)の葉で一つずつ包む押し寿司である。アブラギリの葉は表面に油気がありご飯がつきにくく、独特の香りと優れた保存性を持つ。主に福井市殿下地区と丹南地区に伝承され、若狭地域では17世紀末から盛んに栽培され、19世紀後半には全国生産量トップを誇った桐油の原料として貴重な産物であった。お盆や秋祭り、法事など人が集まる席でつくられ、春秋祭りのもてなしや、嫁に行った娘が祭りに来て帰る際の持たせ物として親しまれてきた。近年は冷凍保存で通年楽しめるようになったが、各家庭で味付けや具材に違いがあり、庭や畑にアブラギリを植える風習も残っている。
由来・歴史
「葉ずし」はアブラギリ(油桐)の葉で包んだ寿司である。アブラギリは中国原産で、実からとれる桐油が灯油や和傘の撥水剤、ろうそくの原料となる貴重な収入源であった。若狭地域では17世紀末にほとんどの村で栽培され、19世紀後半には全国生産量首位を記録。葉の油気と香り、保存性を活かし「すしの葉っぱ」として各家庭に植えられ、ご飯を長持ちさせる先人の知恵が結実した。
食べ方
金時豆の甘煮やひじき、干ししいたけ、薄揚げ、人参などの具を混ぜたご飯を、アブラギリの葉で一つずつ丁寧に包んで食べる。葉に包んであるため手を汚さずに食べられるのが特徴である。かつては5月から11月頃までのアブラギリの採葉期に、お盆や秋祭り、法事などの人集まる席でつくられ、春秋祭りのもてなしや嫁に行った娘への持たせ物として親しまれた。近年は葉を冷凍保存することで通年楽しめるようになった。
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産地
寿司の名物

ひねずし
「すしの元祖」と呼ばれる奥能登の発酵食品。桶の中身は食べる直前まで確認できないという、運命の一瞬をともにする郷土料理である。

いもがら入り太巻き寿司
山梨の保存食「いもがら」を甘辛く煮詰め、かんぴょうの代わりに巻き寿司の具にする郷土のごちそう。冠婚葬祭で長く愛される、シャキシャキとした独特の歯ざわりが魅力。

田舎ずし
山の幸をふんだんに使った高知県の珍しい野菜ずし。昆布やのりが手に入りにくかった山間地で生まれ、四方竹の空洞に酢飯を詰める「四方竹の一口ずし」など、鮮やかな色彩が食卓を彩る。

ハタハタ寿司/しろはた寿司
ごはんを使わずおからを詰める珍しい寿司で、鳥取県の賀露神社ホーエンヤ祭で振る舞われてきたごちそう。春に旬を迎えるハタハタの脂の乗った身と、パラパラのおからが織りなす独特の食感が魅力。

はたごんぼずし
「はたごんぼ」は急斜面の硬い赤土で育ち、直径10cm・長さ1mにもなる橋本市西畑地区の特産ごぼう。輪切りにして中心をくり抜き酢飯を詰めた「はたごんぼずし」は、地元組合が生み出したオリジナルメニューである。
福井県の名物

へしこ
「圧しこむ」という漁師の作業から名付けられた、塩と糠で半年熟成させたサバの発酵保存食。京都「鯖街道」の起点・若狭で生まれ、現代ではアンチョビ代わりの洋風調理まで幅広く愛される。

ほんこさん/報恩講料理
親鸞聖人の好物だった小豆を使った「おつぼ」など、浄土真宗の報恩講で供される精進料理が福井県の家庭料理として定着。秋から新年にかけて地域の女性たちが心を込めて作る「ふるさとの味」である。

ほうばめし
田植えのお祝い「さつきあげ」にふるまわれた、ほう葉の香りがきな粉ご飯にしみ込む携行食。熱々のご飯で葉の色が変わるほど馴染ませるのがコツである。

葉っぱずし
アブラギリの薄紅色の葉で包む、九頭竜川流域の祝いの寿司。箸を使わず葉を剥いて手で食べる独特のスタイルが、祭りやお盆の席に華を添える。

はまなみそ
徳川家康が愛した「浜なっとう」が越前の風土で生まれ変わった冬の保存食。甘酒と豆麹、塩漬なすを発酵させた福井の隠れた名物料理である。

ごんざ/ごんじなます
「ごんざぶろう」という人が作ったから「ごんざ」、おばあちゃんをだまらせるほど美味しいから「ばばころし」——福井県で呼び名が十数種類もある謎多き煮物である。