
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
大晦日の夜に高膳に盛られた豪華な料理で、歳とり魚(タイや塩イワシ)、煮しめ、白和え、煮豆、なます、おこわ、吸い物などが並ぶ。宮崎県の北部・中部地域を中心に伝承され、沿岸部では縁起物のタイ、山間部では塩イワシが貴重なごちそうとして供された。一年間の無病息災を感謝し新たな歳神様を迎えるために、大晦日の夜半から翌未明まで家族揃って食べ、元旦は炊事をせず残りを食べて静かに年の初めを祝う。地域や家庭により煮しめの具材など個性が異なり、現代でもこの風習を残す地域がある。
由来・歴史
旧暦を使用していた頃まで遡る古いお正月の迎え方である。旧暦では日没後に一日が始まるとされ、大晦日の夕方から元旦として新しい年を祝った。生まれ年を1歳とする数え年で、お正月を迎えることで歳を一つ増やし、家族揃って「歳を取る」ことを喜んだ。歳神様への感謝と新年のお迎えのため、お供えした膳と同じものをいただく特別な正月料理であった。
食べ方
大晦日の夜、高膳に盛られた歳とり膳を家族揃って食べ、夜半から翌未明まで起きて祝う。歳とり魚としてタイや塩イワシを中心に、煮しめ・白和え・煮豆・なます・おこわ・吸い物などが並ぶ。元旦の朝は炊事を極力せず、前夜の残りを食べて静かに年の初めを祝い、三が日中もその残りを食べることが多い。地域や家庭により煮しめの具材など内容は様々である。
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産地
宮崎県の名物

とうきびめし
米が貴重だった時代、高千穂地方の農家は「割りとうきび」で米のかさを増し、人々の腹を満たした。寒風に晒された乾燥とうきびのひき割りを混ぜ炊く、黄金色の郷土飯である。

つわぶきの油炒め
日南地方で「毒消し」として伝えられたつわぶきを、大正時代には北九州の炭鉱夫へも出荷。春の旬を迎える常緑の山菜を、油揚げとともに醤油で炒めた宮崎の庶民料理である。

ざぶ汁
「ざぶざぶ」と食材を煮る音が名前の由来。宮崎県都農町に伝わる、手軽な根菜の煮物で、家庭ごとに具材を変えて親しまれている。

とりめし
稲刈りの合間に田んぼの畔で食べた「とりめし」のおむすび。宮崎県はブロイラー飼養羽数全国1位の鶏肉王国であり、農家飯から生まれた庶民の味は、ご当地グルメコンテスト優勝で脚光を浴びた。

酢のしゅい
「しゅい」は「汁」の意。江戸時代から広まった米酢を使い、おろし大根とイワシを煮た温かい酢の汁物。冷たいなますとは対照的に、寒い日の体を温める知恵が詰まった宮崎の郷土料理である。

そまげ
「そまげ」の名は「そばのおかゆ」に由来し、椎葉村では煮干し出汁の野菜汁でそば粉を練り上げる。固くなったら囲炉裏で焼く食べ方も、山の知恵が息づく。