
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
卵寒天は、寒天液に溶き卵と砂糖を混ぜて凝固させた弾力のあるゼリー状の料理である。原料となる天草から作られる棒寒天は、秋田の厳寒期に屋外で自然乾燥させた保存食であり、冬が長いこの土地で重宝されてきた。県南地方を中心に、盆・正月・冠婚葬祭など人の集まる場面で必ず出され、折詰めにして持ち帰れる便利さから「取り回し」料理として定着した。家庭ごとに調理法が分かれ、溶き卵・溶きたま汁・茹で卵の三つのタイプがあり、雷寒天とともに昔は「上手に作ると良い嫁」と評された。現代ではスーパーに常時20種類ほど並び、じゅんさいやさつまいもなど旬の食材を活かしたバリエーションも楽しまれている。
由来・歴史
寒天は海藻の天草を溶かし、秋田の厳寒な夜半の凍結と日中の陽光による乾燥を繰り返して作られる棒寒天が基本である。乾物として長期保存がきく特性から、冬の長い秋田で重宝された。卵寒天はその中でも特に有名な寒天料理で、調理法は溶き卵をかためるもの、溶きたま汁をかためるもの、茹で卵を崩してかためるものなどさまざまある。秋田県南部に伝わる「雷寒天」という牛乳と卵を混ぜた類似料理とともに、昔はこれを上手に作ると「良い嫁」と言われ、女性の手芸としても重視されていた。
食べ方
寒天と水を鍋で溶かし、砂糖と溶き卵を加えて型に流し、冷蔵庫で凝固させる。しっかりとかたまったら食べやすい大きさに切り分け、お茶請けや箸休めとして食べる。日持ちがするため、冬の食材不足に対する知恵としても発達した。県南を中心に盆・正月・冠婚葬祭など人寄せのある際に必ず出され、運動会のお弁当から客人のおもてなしまで幅広い場面で食される。また、きゅうりやにんじんをマヨネーズでかためた「サラダ寒天」、甘辛い煮汁の「しいたけ寒天」、くるみやりんごを使ったスイーツ寒天など、バリエーションも豊富に親しまれている。
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産地
秋田県の名物

豆腐カステラ
豆腐を絞ってカステラ状に焼いた秋田県南の知られざる郷土菓子。刺身のようにわさび醤油で食べる意外な食べ方も親しまれる。

あさづけ
「浅漬け」とは別物。砕け米を煮て練り、砂糖と酢で味付けする秋田の甘酸っぱいデザート。田植え後の女性たちを癒やした農家の知恵が詰まった一品。

鱈の子炒り
子宝祈願の縁起物として秋田の正月に欠かせない「鱈の子炒り」。真鱈の卵を糸こんにゃくとネギで炒りつけ、産地・由利地域ではシンプルに鱈子本来の風味を楽しむ。

てんこ小豆の赤飯
紫がかった色合いが秋田の証。「てんこ小豆」という黒ささげを使い、砂糖を入れるのが特徴的な赤飯で、冠婚葬祭から大往生の祝いまで人生の節目に欠かせない。

いぶりがっこ
囲炉裏の煙で燻した大根を漬け込んだ秋田の知恵の結晶。〈いぶり〉は燻製、〈がっこ〉は漬物を意味する方言で、豪雪地の冬越しを支えた保存食が今も親しまれている。

かまぶく
魚のすり身を使わない「かまぼこ」が秋田の山間部に生まれた。じゃがいもと餅粉で作るもちもちの口取り菓子で、お祝い事に欠かせない一品である。