
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
おにぎりに具を入れ、3〜4cmに切った広島菜漬けを巻いた郷土料理である。広島菜はアブラナ科の白菜の一種で、繊維が少なくやわらかく、浅漬けにすると歯切れがよくほんのり辛い風味が特徴だ。主産地は太田川中州の広島市安佐南区川内地区で、肥沃で水はけのよい土壌が生育に適している。霜が降りる12月頃にピリッとした風味が増し、特に行事にこだわらずお弁当や日常の食事として親しまれてきた。家庭によっては古漬けをお茶漬けにしたり、きざんでふりかけやパスタに応用するなど、現代でも多様な食べ方が受け継がれている。
由来・歴史
江戸時代の参勤交代の際、京都から種子を持ち帰ったのが広島菜の始まりとされ、年配者には「京菜(きょうな)」として親しまれた。京都の「壬生菜(みぶな)」がルーツとも考えられ、茎の形状から「平茎」とも呼ばれる。「広島菜」という名称は昭和8年に命名された。太田川中州の安佐南区川内地区で古くから栽培され、元々はかき販売船「かき船」の食事を通じて広まり、戦後には贈答品として珍重されるようになった。長野県の野沢菜・九州の高菜と並び日本三大漬菜に数えられ、現在は広島市以外にも栽培が広がり県を代表する特産品となっている。
食べ方
具入りのおにぎりに3〜4cmほどに切った広島菜漬けを巻いて食べる。主産地の安佐南区では「餅菜」と呼び、雑煮の具としても用いられる。古漬けはお茶漬けにすることもあり、きざんでふりかけにしたりパスタに使用するなどアレンジも広まっている。特に行事に縛られず、県民の身近な食べ物としてお弁当など日常の食事で親しまれてきた。
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産地
漬物の名物

わかめの醤油漬け
早春に獲れる萩市のわかめを醤油でもみ込み生で食べる保存食。瀬やグリと呼ばれる海底の岩礁が生む栄養豊かな海で育ったわかめの、香りと歯応えをそのまま味わう。

あちゃら漬け
南蛮貿易がもたらした異国の風を孕む漬物。ポルトガル語「achar」が名の由来とされ、赤唐辛子の辛味が爽やかな甘酢と絶妙に響き合う。冷蔵なき時代の夏の保存食として博多の台所に根付いた。

赤かぶらの酢漬け
戦に敗れた平家の落人が「赤色」のかぶらを後世に残したいと願い、800年以上前から福井市美山地域で伝承された「河内赤かぶら」。酢漬けにすると皮の色が反応して中まで真っ赤に染まり、見た目の美しさと保存性から代表的な郷土料理となった。

ママカリの酢漬け
「ご飯を借りに行くほどおいしい」という語源を持つママカリを、酢に漬けて骨まで食べる岡山の伝統保存食。漬かるほどに骨が軟らかくなり、尾びれまで丸ごと味わえる。

やたら漬け
「やたら野菜を使って、やたらおいしい」が名の由来。半年かけて漬ける兵庫・宍粟の冬の保存食で、季節ごとに収穫した野菜を漬け物桶に次々と加えていく独特の製法が特徴。

大阪漬
大根やかぶを塩で揉み、数時間で仕上げる浅漬け。大阪地域で広く作られたことから名付けられ、葉茎まで丸ごと使う惜しみない食文化が特徴。
広島県の名物

魚飯
塩田で富を築いた「浜旦那」が好んだ豪華なちらし飯。骨から取っただしをかけて食べる独特のスタイルで、竹原の町人文化を今に伝える。

大平
大きく平らな器に盛ることから名付けられた、広島県大竹市の縁起煮物。具材を奇数にそろえて祭りや集まりに振る舞われ、鶏肉入りで汁ごと味わうのが特徴である。

煮菜
「煮」の名に反して炒め物に近い、福山の日常おかず。大根の千切りと油揚げをしょうゆで味付けし、食材の水分だけで旨味を閉じ込める、農家の知恵が詰まった一皿である。

江波巻き
酢飯を使わない異色ののり巻き。両端を閉じて櫹を漕ぎながら片手で食べられるよう、沖に出るのり漁師が生み出した携行食がルーツである。

えび粉/巻き寿司
「えび粉」はアカエビの殻をむいて叩き、甘く炒りつけた広島の寿司種。包丁で細かくするかすり鉢で擦るかで家庭ごとの違いがあり、巻き寿司の彩りと甘みを担う。

呉の肉じゃが
東郷平八郎がイギリスのビーフシチューを艦上食にアレンジしたのが始まりとされる。メークインと決まった具材で作る「呉の肉じゃが」は、平成9年に「くれ肉じゃがの会」が設立され発祥の地としてPR活動が続けられている。