
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
昆布で巻いたフナをダイコン、こんにゃく、レンコン、ゴボウなどの季節野菜とともに10時間ほどじっくり煮込んだ鍋物である。有明海の干満差が約6mという独特の地形により海産物が豊富な一方、冬の閑漁期にはタンパク源に乏しく、白石や佐賀平野のクリークで獲れるフナが貴重な蛋白源となった。佐賀県全域でハレの日に必ず振る舞われ、おくんちなどの祭礼でも食べられてきた。家庭では大鍋にたくさん作り近隣へ配るのが習わしで、味噌の種類や野菜の配合は各家の工夫が見られる。鹿島市では二十日正月に恵比寿様への供物として供え、豊漁や商売繁盛を祈願する伝統が今も続いている。
由来・歴史
有明海の干潮時に広がる干潟で多彩な海産物が獲れる佐賀だが、冬の閑漁期には代わりのタンパク源が必要だった。河川やクリークで獲れるフナを秋の掘り干しの際に捕獲し、長期保存できるよう干す習慣が生まれた。「ふなんこぐい」はこのフナを使った郷土料理で、「恵比寿様に供えるタイは庶民に手が届かなかったため、形の似たフナで間に合わせた」という説や「冬に海で獲れない魚の代わりにフナが使われた」という説が伝わる。鹿島市では1月20日の二十日正月に恵比寿様へ供え、300年以上前から「ふな市」が開かれている。
食べ方
古味噌や赤味噌をさらし袋に入れて吊し、自然にこしたすめ汁をとる。十分に砂を落とした昆布でフナをきっちり巻き、かんぴょうで結ぶ。大きめのダイコン、こんにゃく、レンコン、ゴボウを鍋に入れひと煮立ちさせ、昆布巻きフナを並べてすめ汁と水あめ、砂糖、醤油で10時間ほど煮込む。フナが常に水に被るよう注意し、焦げ防止に鍋底に藁やこんにゃくを入れることもある。佐賀県全域でハレの日やおくんちに食べられ、鹿島市では二十日正月の恵比寿様への供物として供される。
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産地
佐賀県の名物

むつごろうの蒲焼
干潮時に干潟を跳ね回る珍魚・ムツゴロウを、生きたまま串刺しにして素焼きし甘辛く炊く佐賀の夏の味。産卵期のジャンプは全国からカメラマンが集まるほどの名物である。

ゆでだご
「ゆでだんご」がなまって「ゆでだご」と呼ばれる、小麦粉と黒砂糖の郷土菓子。武雄地区では田植えの休憩で食べられ、家庭ごとに形が異なる。

およごし
女性の言葉で「和え物」を意味する「およごし」は、約230年前の火災復興の伝承から生まれた佐賀の郷土料理。豆腐の代わりにサトイモを使う白和えで、各家庭の味が受け継がれる。

つんきーだご汁
武雄弁で「ちぎる」を意味する「つんきー」が名の由来。手でちぎった小麦のだんごを、旬の野菜と煮込んだ佐賀の汁物で、寒い日の体を温める郷土料理である。

呉豆腐のごま醤油かけ
「呉」とは水に浸した大豆を粉砕・煮詰めた状態を指し、そこから搾った豆乳を葛やでんぷんで固めたのが「呉豆腐」の名の由来。プリンのようなつやつやとした光沢と、柔らかくモチモチとした食感が特徴の佐賀有田の名物料理である。

ゆきのつゆ
有田焼の窯元で寒い夜の窯焚きに欠かせなかった夜食。鬼おろしで粗くおろした大根おろしと焼き餅を味噌汁に浮かべ、体の芯から温める汁物である。