岩手県の名物 煮しめ
北海道・東北

岩手県

県庁所在地:盛岡市

岩手の食は、冷害と飢饉の記憶が生んだ「しとねもの」の知恵と、三陸の海が育む豊かな恵みの二つの流れが交わる。ひっつみは小麦粉を手でちぎって煮る、いわば「手打ち」の麺料理だ。冷害に備え、米が実らない年も小麦粉で腹を満たそうという工夫がこめられている。一方、天然ほやの酢の物は、100年以上続く南部潜りという潜水技術でしか採れない貴重な味。五味を備えた独特の風味は、夏の岩手を代表する味覚となっている。

これらの料理に共通するのは、素材を余すところなく使い、人が集まる場で分け合う食文化である。煮しめは内陸と沿岸で具材が異なり、冠婚葬祭や正月に欠かせない。くるみ雑煮は三陸の正月に鬼ぐるみをねっとりすっただれで味わう。山の幸、海の幸、そして人の営みが、一つの皿の中で調和するのが岩手の食の特徴だ。

岩手県の定番名物

  1. 1ひっつみ/ひっつみ汁小麦粉を手でちぎって煮る、冷害に備えた知恵の「しとねもの」。岩手県央の家庭の味である。
  2. 2天然ほやの酢の物南部潜りという特殊な技術で採る天然ほやを酢の物で。五味を備えた夏の味覚である。
  3. 3くるみ雑煮鬼ぐるみの「くるみだれ」で焼きもちをいただく三陸の正月料理。汁と和え物の二通りで楽しむ。
  4. 4柳ばっとそば粉使用禁止令を「柳ばっとだ」と称して潜り抜けた、知恵と抵抗の郷土料理である。
  5. 5まめぶ汁くるみ入り団子が入った汁物。江戸時代の凶作を乗り越えた久慈の知恵が今も残る。

岩手県の名物一覧

煮しめ

煮しめ

身欠きにしんやぜんまい一本煮など、内陸と沿岸で具材が異なる岩手の「煮しめ」。冠婚葬祭や正月に欠かせない集まりの味である。

岩手県ご当地グルメ
すき昆布の煮物

すき昆布の煮物

若い昆布を板状に乾燥させた「すき昆布」を使った煮物。三陸普代村発祥の保存食が、海産物との組み合わせで県内の家庭に広く根付いた郷土料理である。

岩手県ご当地グルメ
天然ほやの酢の物

天然ほやの酢の物

「海のパイナップル」と呼ばれるほやの天然物は、100年以上続く「南部潜り」という特殊な潜水技術でしか採れない貴重な味。五味を備えた独特の風味を酢の物で楽しむ岩手の夏の味覚である。

岩手県ご当地グルメ夏
どんこ汁

どんこ汁

三陸沿岸で獲れるエゾイソアイナメの「どんこ」を使った味噌汁。肝の濃厚な脂と淡泊な白身が特徴で、産後の体力回復や恵比寿講の縁起物として重宝されてきた。

岩手県ご当地グルメ冬
くるみ雑煮

くるみ雑煮

「くるみあじ」と呼ばれる深い味わいが特徴の三陸の正月料理。鬼ぐるみをねっとりすった「くるみだれ」で焼きもちをいただき、汁ものと和え物の2通りの味を楽しむ。

岩手県ご当地グルメ冬
いもの子汁

いもの子汁

秋の北上川流域で「芋煮会」「いもの子会」と呼ばれる集いの中心となる汁物。皮をこそぐようにむいた「二子さといも」のみで作る地域もあり、さといも本来の味わいを楽しむ食文化が残る。

岩手県ご当地グルメ秋
がんづきふるさと納税

がんづき

満月に向かって飛ぶ雁の姿に似せた形が名前の由来。もっちりとした素朴な味わいの蒸し菓子で、岩手県南を中心に農作業の間食として親しまれてきた。

岩手県ご当地グルメ
ひなまんじゅう

ひなまんじゅう

桃の節句に子供が「おひなさん、おみせってくなんせ」と家々を回り、もらうのが楽しみだった花形まんじゅう。江戸時代から続く花巻・大迫の宿場町の風習が残る。

岩手県和菓子春
伝統餅料理

伝統餅料理

年間60回以上も餅を食べる「餅暦」が存在する。納豆やホヤ、チーズやカレーまで約300通りの食べ方が生まれた、一関ならではの餅文化である。

岩手県和菓子
豆腐田楽

豆腐田楽

炭火であぶった豆腐に、にんにく味噌やばっけ、山椒を付けて食べる岩手県北の郷土料理。串にははじぎ(ミツバウツギ)の枝を使い、季節ごとに味噌の味わいが変化する。

岩手県ご当地グルメ
果報だんご

果報だんご

「果報に当たると幸運が訪れる」と信じられ、子供にとって楽しみな行事だった団子。萩の木片を入れた「果報団子」に当たると、神棚に供えた翌朝にはお金に変わるという言い伝えがある。

岩手県和菓子冬
そばかっけ

そばかっけ

「かっけ」の名は切れ端か「さぁ、けぇ」の方言に由来する。南部藩時代から続く岩手北部のもてなし料理で、にんにく味噌をつけて食べる温かな鍋物である。

岩手県麺類
まめぶ汁

まめぶ汁

「忠実忠実しく健康で」と願いを込めた名前の由来を持つ、くるみ入り団子が特徴の汁物。江戸時代の凶作を乗り越えた知恵が、今も岩手・久慈の冬を温める。

岩手県ご当地グルメ
けんちん汁

けんちん汁

小正月に女性を休ませるため大量に作り、温めなおして食べた知恵の汁物。岩手では豆腐を油で炒めてそぼろ状にし、気仙地方では椿油の香りが特徴である。

岩手県ご当地グルメ
うす焼き

うす焼き

桜えびと紅しょうがの香りが際立つ、もちもちの薄焼き。盛岡八幡宮のお祭りでしか味わえない幻の屋台グルメとして、地元で半世紀以上愛され続けている。

岩手県ご当地グルメ
柳ばっと

柳ばっと

江戸時代、南部藩が細切りそばを禁じた際、農民は「これは柳ばっとだ」と称してそば粉の団子を食べ続けた。名前の「ばっと」は禁を犯した「法度」から由来する、岩手県北部の知恵と抵抗の郷土料理である。

岩手県ご当地グルメ
くるみ豆腐

くるみ豆腐

鬼ぐるみの渋皮を丁寧に取り除いて作る「くるみ豆腐」は、ごま豆腐より手間暇がかかる江刺地方の精進料理である。地元では「おいしい味」を「くるみあじ」と呼ぶほど、くるみが食文化に深く根付いている。

岩手県ご当地グルメ
ひっつみ/ひっつみ汁

ひっつみ/ひっつみ汁

「手でちぎる」という方言「ひっつまむ」が名前の由来。小麦粉を手でちぎって煮る、岩手県央の「しとねもの」文化が生んだ、冷害に備えた知恵の料理である。

岩手県ご当地グルメ
かまもち

かまもち

半月状の形が鎌に似ることから名付けられた、岩手県の小麦粉菓子。味噌と黒砂糖、くるみのあんを包み、農作業の小昼に気軽に食べられてきた。地域により「ひゅうず」「かまだんご」など呼び名が異なる。

岩手県和菓子
小豆ばっとう

小豆ばっとう

「ほうとう」がなまって生まれた名前の、三陸沿岸の甘味うどん。8月7日に7回食べると無病息災という夏の風習があり、近年はソフトクリームとのコラボも人気。

岩手県ご当地グルメ
氷頭なます

氷頭なます

鮭の頭の軟骨「氷頭」を酢でしめた正月の珍味。一匹からわずかしか取れない貴重な部位は、平安時代から朝廷に奉納されるほど古くから食されてきた。

岩手県ご当地グルメ秋
きりせんしょ

きりせんしょ

「きりさんしょう」がなまって「きりせんしょ」となった、山椒を使わない山椒菓子。岩手県央の水田地帯で桃の節句に母娘で作る祝い菓子として親しまれ、農作業の「小昼」にも重宝された素朴な米粉菓子である。

岩手県ご当地グルメ春
豆しとぎ

豆しとぎ

「しとぎ」は「すりつぶす」という意味で、本来の米粉を青大豆で代用したのが「豆しとぎ」の始まりである。岩手県北部の厳しい風土で、貴重な米を節約しながら生まれた知恵の菓子である。

岩手県ご当地グルメ秋
しだみだんご

しだみだんご

どんぐりを救荒食から郷土スイーツへと変えた「しだみだんご」。太平洋からの冷たい風「やませ」による凶作に備え、岩手の山々が育んだ知恵の味である。

岩手県和菓子秋
さんまのすり身汁

さんまのすり身汁

本州一のさんま漁獲量を誇る岩手県で、60年ほど前から生まれた新しい郷土料理。すり鉢でよくしたさんまのすり身を団子にし、ふわっとした食感が汁に溶け込む素朴な味わいが特徴である。

岩手県ご当地グルメ
ぬっぺい汁/八杯汁

ぬっぺい汁/八杯汁

「八杯」の名は「一丁の豆腐で八杯分できる」または「おかわりが止まらない」という説がある。岩手県央では「八杯豆腐」とも呼ばれ、冠婚葬祭の精進料理として親しまれてきた。

岩手県ご当地グルメ
お茶もち

お茶もち

軍配うちわに似た形から「うちわ餅」がなまって「お茶もち」と呼ばれるようになった。うるち米粉の団子にくるみだれを塗して焼く、盛岡市民に長く愛される餅菓子である。

岩手県和菓子
みずたたき(とろろ)

みずたたき(とろろ)

大蛇が棲む湿地に生える山菜「みず」を、根元の赤い部分をたたいて味噌で和えた郷土料理。独特のぬめりとしゃきしゃきした食感が特徴で、すりつぶすと「みずとろろ」となる。

岩手県ご当地グルメ
へっちょこだんご/うきうきだんご

へっちょこだんご/うきうきだんご

「へっちょこ」の名は、1年の農作業で「へっちょ(苦労)」した自分をねぎらう意味に由来する。煮えるとだんごが浮き上がる様子から「うきうきだんご」とも呼ばれる。

岩手県和菓子秋
うこぎのほろほろ

うこぎのほろほろ

南部藩の武士が箸からほろほろとこぼしたことに由来する名称を持つ、春の山菜ふりかけ。うこぎの新芽に味噌漬け大根とくるみを混ぜ、ご飯にかけて食べる。

岩手県ご当地グルメ春

カテゴリ

岩手県の食文化

岩手の食文化を形作ったのは、まず厳しい自然環境である。太平洋から吹き込む冷たい風「やませ」による冷害が繰り返し襲い、米作りを脅かした。これが「しとねもの」文化を生んだ。ひっつみ、柳ばっと、豆しとぎなど、小麦粉や雑穀、代用食材で米を補う知恵が各地に根付いた。特に柳ばっとは、南部藩がそば粉の使用を禁じた際、農民が「柳ばっとだ」と称して食べ続けたという、風土への抵抗そのものが料理になった例である。

一方、三陸海岸は世界三大漁場の一つに数えられる豊かな海に面している。天然ほやの採取には南部潜りという特殊な技術が必要であり、これは単なる漁法ではなく、地域に受け継がれる職人技として今日まで続く。すき昆布の煮物やどんこ汁など、海産物を保存食として活用する技術も発達した。内陸の山菜・きのこ類と、沿岸の海産物が街道を通じて交換され、県全体の食文化を豊かにした。

また、集落での共同作業や祭礼が食を育てた側面も見逃せない。いもの子汁は北上川流域の「芋煮会」、ひなまんじゅうは桃の節句の子供の行事、果報だんごは縁起を担ぐ冬の風習として、食が人と人を結ぶ役割を担ってきた。

よくある質問

岩手で子どもが楽しめる伝統のお菓子は?
果報だんごが挙げられる。萩の木片が入った「果報団子」に当たると幸運が訪れると信じられ、子供にとって行事の楽しみの一つだった。当たった団子は神棚に供え、翌朝お金に変わるという言い伝えも残っている。
岩手のお土産で日持ちする餅菓子は?
お茶もちが適している。軍配うちわに似た形から名付けられたうるち米粉の団子に、くるみだれを塗して焼く盛岡の銘菓である。地元市民に長く愛され、持ち帰りやすい餅菓子として知られる。
岩手で通販やお取り寄せできる海の幸は?
天然ほやの酢の物が候補になる。100年以上続く南部潜りで採れた天然物は貴重だが、加工品として流通することもある。夏の味覚として、冷蔵便で全国へ届けられることも多い。
岩手の地元民が日常食べる麺料理って何?
そばかっけが南部藩時代から続くもてなし料理である。にんにく味噌をつけて食べる温かな鍋物で、岩手北部の家庭に根付いている。名前の由来は切れ端か「さぁ、けぇ」の方言に由来するとされる。

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