
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
「しだみ」とはどんぐりのことで、砂糖を加えてだんご状にしたもの、あるいはこれをあんにして小麦粉の生地で包んだ蒸し菓子である。岩手県の県北地域や奥羽山系・北上山系地域に伝わり、夏に太平洋から吹く冷たい風「やませ」の影響で稲作が凶作になることが多かったこの地では、山で実る「しだみ」が貴重な備蓄食料として重宝された。本来は凶作時の救荒食や冬の日常食として各家庭で食され、特に行事食としての習慣はない。食べ方は「しだみ」をつぶして砂糖を加えただんご状のものにきな粉をつけるほか、小麦粉を熱湯で練った生地で「しだみあん」を包んで蒸す方法もある。戦後は農耕技術の発達で救荒食としての役割を終えたが、近年の自然食ブームで再び注目され、手間のかかる伝統的な製法を守る家庭も残っている。
由来・歴史
「しだみ」はどんぐりの方言名で、岩手県北や奥羽・北上山系地域では、夏の「やませ」による凶作に備え、乾燥保存がきく備蓄食料として重要な位置を占めた。栄養価が高くカロリーも白米と同等であることから、飢饉を乗り越える「命の糧」として親しまれた。戦後の農業近代化により救荒食としての需要は消失したが、近年の自然食ブームを機に郷土の味として再評価されている。
食べ方
9月から10月に拾ったどんぐりをすぐにゆでて乾燥させ、食べる前に木灰や重曹でアク抜き・渋抜きを行う。つぶした「しだみ」に砂糖を加えてだんご状に成形し、きな粉をつけて食べるほか、小麦粉を熱湯で練った生地で「しだみあん」を包んで蒸す方法もある。本来は凶作時や冬の日常食として食され、特定の行事に結びつく習慣はないが、現代では貴重な郷土スイーツとして親しまれている。
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産地
団子の名物

果報だんご
「果報に当たると幸運が訪れる」と信じられ、子供にとって楽しみな行事だった団子。萩の木片を入れた「果報団子」に当たると、神棚に供えた翌朝にはお金に変わるという言い伝えがある。

ばっとう汁・だんご汁(すいとん)
「ばっとう汁」「はっとう汁」「だんご汁」「とっちゃなぎ」——同一の料理が栃木県内で4種類の異名を持つ。いずれも「法度汁」が訛ったもので、米不足を補う知恵の食である。

あまねじ/あまだんご
砂糖が貴重だった時代のおもてなし料理が、農作業の「小昼飯」として親しまれてきた。小麦粉の団子を甘い小豆汁に浮かべた、群馬の粉食文化が生んだ温かな甘味である。

へっちょこだんご/うきうきだんご
「へっちょこ」の名は、1年の農作業で「へっちょ(苦労)」した自分をねぎらう意味に由来する。煮えるとだんごが浮き上がる様子から「うきうきだんご」とも呼ばれる。

串だんご
「花より団子」の人気で全国に広まった串だんごは、東京では4つ刺しが主流。4文銭の不正防止が由来という、江戸の町人文化が生んだ知恵が詰まった名物である。

石垣団子
サイコロ状のさつまいもが石垣に見えることから名付けられた相模原の郷土菓子。火山灰台地で育った地粉とさつまいもの素朴な甘みが、農作業の合間に親しまれた「おこじゅう」として受け継がれている。
岩手県の名物

くるみ雑煮
「くるみあじ」と呼ばれる深い味わいが特徴の三陸の正月料理。鬼ぐるみをねっとりすった「くるみだれ」で焼きもちをいただき、汁ものと和え物の2通りの味を楽しむ。

まめぶ汁
「忠実忠実しく健康で」と願いを込めた名前の由来を持つ、くるみ入り団子が特徴の汁物。江戸時代の凶作を乗り越えた知恵が、今も岩手・久慈の冬を温める。

ぬっぺい汁/八杯汁
「八杯」の名は「一丁の豆腐で八杯分できる」または「おかわりが止まらない」という説がある。岩手県央では「八杯豆腐」とも呼ばれ、冠婚葬祭の精進料理として親しまれてきた。

くるみ豆腐
鬼ぐるみの渋皮を丁寧に取り除いて作る「くるみ豆腐」は、ごま豆腐より手間暇がかかる江刺地方の精進料理である。地元では「おいしい味」を「くるみあじ」と呼ぶほど、くるみが食文化に深く根付いている。

天然ほやの酢の物
「海のパイナップル」と呼ばれるほやの天然物は、100年以上続く「南部潜り」という特殊な潜水技術でしか採れない貴重な味。五味を備えた独特の風味を酢の物で楽しむ岩手の夏の味覚である。

みずたたき(とろろ)
大蛇が棲む湿地に生える山菜「みず」を、根元の赤い部分をたたいて味噌で和えた郷土料理。独特のぬめりとしゃきしゃきした食感が特徴で、すりつぶすと「みずとろろ」となる。