
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
素焼きしたワカサギを番茶で弱火で煮込み、醤油・砂糖・みりんで味付けし、水あめで照りを出した甘辛くしっかりとした甘露煮である。水分を飛ばした保存食としての性質を持つ。主な伝承地域は神奈川県箱根町の芦ノ湖周辺で、標高724メートルの箱根火山のカルデラ湖という地形が澄んだ水を生み、古くから漁業が栄えてきた。毎年10月1日の刺し網漁解禁から11月頃の最盛期にかけて漁獲され、正月には定番の品として食卓に上がり、地元の旅館や飲食店でも提供される。家庭ごとに味付けの濃淡や煮込み時間に違いがあり、現代では箱根の特産品として観光客にも広く親しまれている。
由来・歴史
大正7年(1918年)、茨城県霞ヶ浦からワカサギの種卵が移植され、芦ノ湖でのワカサギ漁が始まった。以来100年以上にわたる増殖事業により、芦ノ湖の澄んだ水で育ったワカサギは特産品として定着した。毎年10月1日の解禁日には、初物が箱根神社で祈祷された後、宮内庁に献上される伝統が続いている。
食べ方
素焼きにしたワカサギを鍋に並べ、番茶を入れて弱火で一日煮る。醤油、砂糖、みりんを加えさらに一日煮込み、最後に水あめを加えてつや出しをする。8月頃から漁獲でき11月頃に最盛期を迎え、正月の定番保存食として食べられるほか、漁獲期間中は地元の旅館や飲食店で提供される。
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産地
煮物の名物

金目の煮付け
伊豆半島の高級魚・地金目鯛を丸ごと甘辛く煮詰めた逸品。1本釣りで水揚げされる稲取キンメは脂の乗りが絶品で、ハレの日には姿煮で振る舞われる。

筍のアラメ煮
かつて海岸に流れ着いた海藻を使った春の味。アラメの水揚げが途絶えても、他地域のものを使い今も食卓に並ぶ、静岡中部の知る人ぞ知る郷土料理。

イルカの味噌煮
縄文時代から続く伊豆の伝統漁が生んだ、ごぼうと味噌で煮込む野性味あふれる郷土料理。鮮魚店で皿盛りされていたイルカ肉は、冬の日常食として家庭の味噌煮に変わった。

田にしの味噌煮
春の飯山観音花祭りで「タニシ町」と呼ばれるほどの賑わいを見せた、甘辛味噌に煮込んだ田にしの郷土料理。かつては農家の日常食として親しまれた。

お雑煮
武士の言葉遊びから生まれた角餅が特徴。元禄年間に野田・銚子の醤油文化と出合い、江戸っ子好みの濃口すまし汁が確立された正月の主役料理である。

佃煮
徳川家康が摂津の漁師を移住させた佃島が発祥。たまり醤油を使った濃厚な煮付けは、江戸時代からの保存食として全国に広まった東京の味。
神奈川県の名物

かて飯
貴重な米をかさ増しするため生まれた相模原の混ぜご飯。農作業の「糧(かて)」として名付けられ、祭りや彼岸にはごちそうとして親しまれた。

酒まんじゅう
「酒まんじゅうが作れることが嫁入りの条件」とされた相模原の儀礼食。火山灰台地の畑作文化が生んだ、酒種発酵の風味豊かな蒸しまんじゅうである。

とん漬け
イノシシを味噌に塗って焼いた武士の知恵が、豚肉の名物へと変貌した。厚木市を中心に神奈川県で親しまれる味噌漬け豚肉は、ご飯のお供として現代も愛される。

よこすか海軍カレー
明治時代、日本海軍が脚気予防のため導入した「海軍カレー」を現代に再現した横須賀発祥の名物。牛乳・サラダを添える海軍式のスタイルで、レトルトは20種類以上展開される。

へらへら団子
「箆に似ている」「平たく押しつぶした形」など諸説ある名前の由来が興味深い、横須賀市佐島のあんころもち。江戸時代から続く船祭りで豊漁と無病息災を願い奉納されてきた。

生しらす丼
水揚げ当日しか味わえない幻の一品。湘南・茅ヶ崎・鎌倉・江の島で獲れた生しらすを酢飯に豪快に盛り付け、醤油をたらして食す海の幸丼である。