
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
埼玉のうどんは、小麦粉に食塩と水を加えて練り、寝かせた後に麺棒で伸ばして切る手打ち麺が基本となる。地域により形状・食感・色合いが大きく異なり、北東部はコシが強く喉ごしの良い麺、西部は茶色がかった強いコシのつけ汁麺、中央部の川沿いではモチッとした幅広麺などが特徴的である。かつて稲作の裏作として小麦栽培が盛んだった埼玉県は、現在も全国有数の小麦生産地であり、生産量は全国2位に位置づける。冠婚葬祭や年中行事を含む様々な場面で食べられてきたほか、農家の日常食としても親しまれた。近年は地域名や特性を表す言葉が付されるようになり、古くからの郷土料理やB級グルメを含めると20種類以上のバリエーションが存在する。
由来・歴史
埼玉県は麦の多収栽培法「麦踏み」を開発した権田愛三を輩出した土地であり、古くから小麦栽培が盛んだった。かつては稲作の裏作として広く小麦が作られ、食の中心となった小麦を使い、地域ごとに多様なうどんが発展してきた。当初はどの地域でも単に「うどん」と呼ばれることがほとんどだったが、他地域との差別化を図るため、現在は地域名や特性を表す呼び名が付されるようになった。
食べ方
小麦粉に食塩と水を加えて耳たぶほどの硬さに練り、生地を寝かせた後に麺棒で伸ばして厚さや幅を調整する。沸騰したお湯で麺が透き通るまでゆで、ざるに上げてそれぞれのつゆで味わう。野菜などの具材と共に煮込む調理法もある。小麦栽培農家の日常食としてはもちろん、冠婚葬祭や年中行事など様々な場面で食べられてきた。
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産地
うどんの名物

のしこみうどん
「のしこみ」の名は打ち伸ばした幅広麺に由来し、奥多摩の厳しい冬に山仕事帰りの体を温めた鍋物。煮干しと椎茸のだしに野菜の甘みが染み込む。

にごみうどん
「濁る」からか「煮込み」がなまったのか、名前の由来は諸説ある相模原・津久井の郷土麺。稲作に不向きな土地で小麦栽培が盛んな背景から、昭和40年代までは毎日のように食された。

きつねうどん
明治26年、大阪・船場のうどん店で客が油揚げを素うどんにのせたことが始まり。昆布と鯖節のだしが利いた、大阪府民が最も愛するコナモンの定番である。

群馬のうどん
幅10cm超の「ひもかわ」、日本三大に数えられる「水沢うどん」、地元産小麦の「館林のうどん」——粉食文化が根づく群馬が誇る三種の個性派うどんが、観光グルメとして県内外を魅了する。

ちたけうどん(そば)
盆の時期に採れる「ちちたけ(乳茸)」を使った、平地林が広がる栃木県平野部ならではのうどんだ。香り高きのことなすの相性が抜群で、かつては里山で多く採れたが、現在は貴重な味となっている。

耳うどん
耳の形に似たうどんを手に持ち、「いい耳聞け」と祈る風習がある。佐野市葛生地区と宇都宮市に伝わる縁起物の郷土料理で、正月の来客に振舞われてきた。
埼玉県の名物

ねじ/小豆ぼうとう
秩父の「ねじ」は、螺旋状にねじった短いうどんに小豆あんを絡めた名物。貧しかった時代に餅の代わりとして生まれたという説があり、8月16日の送り盆に食べられる。

みそポテト
秩父の農家で「小昼飯」として親しまれた焼き芋風の郷土料理が、B級グルメ王決定戦優勝で脚光を浴びた。ホクホクのジャガイモに甘辛い味噌だれが絡む、畑作地帯ならではの知恵の味。

甘露梅
関東三大梅林の一つ・越生梅林の「べに梅」を使い、青梅を赤ジソで包んで砂糖漬けにする甘露梅。南北朝時代に太宰府から伝わった梅の里の伝統菓子である。

栗の渋皮煮
砂糖をふんだんに使う贅沢な味わいが特徴。かつてはお祭りやお祝い事にしか食べられなかった、日高市の栗文化が詰まった保存食である。

つみっこ
「つみとる」という本庄地方の方言が名前の由来。小麦粉の生地を手でちぎって鍋に入れる手軽さから、養蚕や機織りの合間に重宝された埼玉の郷土料理。

こんにゃくのみそおでん
生のこんにゃく芋を手作りした三角形のこんにゃくに、ごまやゆずを混ぜたみそだれを付けて食べる秩父・寄居の名物。熱々の串揚げスタイルで、子どものおやつから観光客の味わいまで幅広く親しまれる。