
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
真昆布と鯖節などの雑節を主としただしを利かせたつゆに、甘辛く煮含めた油揚げを載せたうどん料理である。麺はだしに馴染むよう太すぎないもっちりとした食感が特徴で、大阪の「天下の台所」と呼ばれる商業都市の背景から、北前船で北海道産の昆布や小麦粉、塩などが集まり、選び抜かれた素材で作られてきた。家庭でも市中の飲食店でも、季節を問わず一年中気軽に食される日常食である。明治以降は製麺所から麺を仕入れる店が増えた一方、だしやつゆの味付けは店や各家庭で独自の工夫が凝らされ、多様なバリエーションが存在する。
由来・歴史
麺類はもともと寺社の特別食であったが、やがて民衆の日常食へと定着した。大阪のうどん食は豊臣秀吉の大阪城築城期に遡り、西区新町の砂場にうどん店が並んだという記録がある。江戸中期に一般普及し、明治初頭には製麺所が多く現れた。きつねうどんの起源は明治26年、船場の「松葉家(現・うさみ亭マツバヤ)」で、添え物の油揚げを客が素うどんに載せて食べたこととされる。大阪のだし文化とコナモン文化を体現する存在として、府民に深く愛され続けている。
食べ方
だし汁に醤油、みりん、砂糖などを加えてうどんつゆを作り、油抜きした油揚げを別に甘辛く煮含める。茹でたうどんを器に入れ、煮た油揚げを載せてつゆを注ぎ、小口切りの青ねぎを散らして供する。家庭でも店でも手軽に作れ、年中無休で食べられる大阪の代表的な麺料理である。
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産地
うどんの名物

ホルモンうどん
牛馬の流通拠点・津山が誇る「養生喰い」の伝統が生んだ名物。処理から10分で食卓に届く新鮮ホルモンを、味噌や醤油のたれで炒めたB級グルメの傑作である。

地獄炊き(五島うどん/島原そうめん)
遣唐使が伝えたとされる五島うどんを、鉄鍋で「ぐつぐつ」煮込む「地獄炊き」。アゴだしと溶き卵に絡めて食べる、五島列島の鍋囲み行事食である。

皿うどん
深い器ではなく皿で供されたことから名付けられた長崎発祥の麺料理。明治時代にちゃんぽんとともに生まれ、太麺と細麺の2系統が今も並存する。

にごみうどん
「濁る」からか「煮込み」がなまったのか、名前の由来は諸説ある相模原・津久井の郷土麺。稲作に不向きな土地で小麦栽培が盛んな背景から、昭和40年代までは毎日のように食された。

のしこみうどん
「のしこみ」の名は打ち伸ばした幅広麺に由来し、奥多摩の厳しい冬に山仕事帰りの体を温めた鍋物。煮干しと椎茸のだしに野菜の甘みが染み込む。

埼玉のうどん
全国2位の生産量を誇る「うどん王国」埼玉。かつてはどの地域でも単に「うどん」と呼ばれていたが、北東部の喉ごしの良い麺、西部の茶色がかったつけ汁麺、中央部の幅広麺など、20種類以上のバリエーションが存在する。
大阪府の名物

丁稚ようかん
「丁稚」の名は、練り羊羹に比べて煮詰めが足りず「半人前」だったことに由来する。砂糖を控えた素朴な味わいで、北摂の冬に親しまれてきた寒天羊羹である。

蓮根餅
穴の開いた蓮根に紅白のもち米を詰めて蒸す縁起物。将来が見通せるという縁起の良さから、門真のお祝いの席に欠かせない一品として伝わってきた。

じゃこごうこ
泉州の方言「じゃこ(海老)」と「こうこ(漬物)」が名の由来。水なすの古漬けと小海老を甘辛く炊き、ご飯や酒のお供に親しまれてきた大阪南部の常備菜である。

船場汁
鯖のあらまで余さず使う大阪らしい「始末の料理」。明治から大正の船場の商家で、忙しい日々を支えた質素ながら滋味深い潮汁である。

たこ焼き
「チョボ焼き」から派生した大阪発祥の屋台食。戦後に濃厚ソースとの出会いで現在のスタイルが確立し、国民的ソウルフードへと発展した。

大阪寿司
明治時代に船場の「吉野寿司」が考案した「二寸六分の懐石」こと箱寿司は、芝居見物の幕間弁当として船場の旦那衆に絶大な支持を受けた。空気を押し出して作るため時間が経つほど味がなじむという、逆説的な魅力を持つ大阪の名物である。