
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
ごはんに「ゆうのす」と呼ばれる柚子酢を混ぜ、四角い押し枠で整形する押し寿司は、割った際ににんじん・ごぼう・切り干し大根・ちくわ・金時豆などの煮物が断面に現れるのが特徴である。主な伝承地域は徳島県海陽町の牟岐・海南地域で、当地は牟岐町の特産品「実生柚子」を使った酢飯づくりがポイントとなる。祭りや祝い事、正月の親せき・友人集まり、行楽の弁当など、大人数が集まる場面で供されてきた。各家庭で親から子へ味つけが受け継がれ、飾りの柚子の皮や卵、桜でんぶの使い方も家々で異なり、現代でも阿南市の「箱すし」など隣接地域に類似文化を持つ伝統的な郷土料理として親しまれている。
由来・歴史
徳島はボウゼの姿寿司やかきまぜ寿司、あめご寿司など多様な寿司文化を持つ。海陽町・牟岐町周辺で親しまれる押し寿司は、四角い升のような押し枠を用い、見た目は白いごはんのみに見えるが中に煮物を仕込む技法が特徴である。牟岐町特産の「実生柚子」を酢飯に用いる点も地域色を示す。いつ頃から作られ始めたかは明確でないが、各家庭で世代を超えて受け継がれてきた。
食べ方
具材はにんじん・ごぼう・切り干し大根・ちくわ・金時豆などをしょうゆやみりんで煮て味付けし、押し枠に柚子酢を混ぜた酢飯を敷いて具材を乗せ、上から酢飯をかぶせて軽く押す。飾りに柚子の皮や卵、桜でんぶ、煮物などを彩りよく配置し、季節や家庭によって異なる見た目に仕上げる。祭りや祝い事、正月、行楽の弁当など、大人数が集まる機会や日持ちを要する場面で食べられてきた。
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産地
寿司の名物

須古ずし
500年以上前、領民が領主への感謝を込めて献上した「須古ずし」。ムツゴロウのかば焼きを贅沢にのせた箱ずしは、今も佐賀県白石町のお祝い事に欠かせない名物である。

押し寿司(もろぶた寿司)
室町時代の武将・大村純伊の凱旋を祝って生まれたとされる押し寿司。浅い木箱「もろぶた」を使い、シャリで具を挟む形が武士の精神を反映するという独自の伝承も残る。

大村寿司/大村寿し
室町時代、領地奪還を祝うため領民が作った「勝ち戦の寿司」。食器不足を補うため浅い木箱に詰め、兵士は脇差しで切り分けて食べたという逸話が残る大村市の祝い料理である。

ボウゼの姿寿司
秋祭りの行事食として、魚の形をそのまま残す「姿寿司」は徳島ならではの見事な技。かつて高級魚とされたボウゼを使い、背開きにした身ですし飯を包む。

金時豆入りばら寿司
米の代わりに具材をたっぷり混ぜた「ばら寿司」は、徳島の知恵が生んだ華やかな郷土料理。金時豆の甘煮と旬の食材を酢飯に和え、お祭りや節句に親しまれてきた。

岩国寿司
「殿様寿司」の異名を持つ岩国の押し寿司は、江戸時代に岩国藩主・吉川公に献上されて喜ばれたと伝わる。錦帯橋の街・岩国の城下町文化が生んだ、3〜5段に重ねた華やかな祝い料理である。
徳島県の名物

半ごろし
「半分だけすりつぶす」という製法が名前の由来。もち米とうるち米を混ぜた生地にあんを包んだ、徳島県那賀町相生地区の郷土菓子。一時期「草もち」と呼ばれたが、地元学生の要望で元の名が復活した。
ふるさと納税阿波ういろ
江戸時代、阿波和三盆の完成を祝って生まれた「日本三大ういろう」の一つ。もちもちの食感と素朴な甘さが特徴で、旧暦3月3日の節句に食べる習わしが今も残る。

出世いも
「出世」した芋という縁起のいい名前が付いた徳島県南部の郷土料理。米のかわりに食べられたさといもをこしあんで包み、輪切りにしてお祝い事に供される。

祖谷そば
源平合戦の落人伝説が残る祖谷のソウルフード。つなぎを使わず地元そば粉100%で打つため、麺が短く切れやすく「そばきり」とも呼ばれる独特の食感が特徴である。

半田そうめん
江戸時代の船頭が運んだ麺が、半田の風土で独自の進化を遂げた。標高や小麦の配合で味わいが異なる製麺所ブランドが根強いファンを集める。

はすいもの茎の酢の物
しゃきしゃきとした茎の食感が特徴の酢の物。里芋の一種である「はすいも」は実は芋ではなく茎や葉を食べ、沖縄から伝来したことで「りゅうきゅう」とも呼ばれる。