
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
蒸したもち粉を練り込んださつまいものペースト状の生地で、あずき餡を包んだ餅菓子である。徳島県は降水量が少なく穏やかな気候とミネラル豊富な土壌により「なると金時」をはじめとするさつまいもの名産地であり、この風土がいももちの発展を支えた。秋の収穫期に神様を祭る「お亥の子さん」では「お亥の子餅」として供され、正月の勝浦地方の餅つきではもち米と生いもを一緒に搗く習慣もあった。家庭によっては空豆のあんを用いるなどバリエーションがあり、稲刈り後や芋の収穫後のおやつ、労働の補食として現代まで受け継がれている。
由来・歴史
19世紀後半、徳島県鳴門市にさつまいもが伝わり、やがてさつまいもを使った料理が広まった。当時砂糖は高級品で一般家庭では入手困難だったが、さつまいもは甘みがありながら芋類として比較的容易に手に入り、しかも満腹感が得られるため庶民に大いに重宝された。こうした背景から、さつまいもを主材とするいももちが生まれ、定着していった。
食べ方
皮をむいたさつまいもをゆでて蒸し、もち粉・砂糖・塩・湯と撹拌してペースト状の生地を作る。50gほずつに分けてあんを包み丸め、きな粉をまぶして完成する。変色を防ぐため皮をむいた後は水に浸けておくのがポイントで、鮮やかな黄色に仕上げる。秋の収穫期の「お亥の子さん」や正月の餅つき、農作業の合間の補食として食べられてきた。
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産地
餅の名物

ふつもち
「ふつ」はよもぎの古称。佐賀では桃の節句に菱餅の代わりにふつもちを供える独特の風習があり、全国でも珍しい春の味覚として親しまれる。

かんころ餅
五島列島に漂着したキリシタンが生み出したと伝わる、さつま芋の干し芋を練り込んだ餅。餅米を節約しつつ家族全員が腹を満たせる工夫が、現代の人気和菓子へと受け継がれた。

赤餅
鎌倉時代に群馬から伝来した赤もろこしの粉でつくる赤色の餅。水害に強いもろこしは、利根川流域で米の代わりの主食として重宝された。

柏餅
柏餅は山口県で「ほてんどもち」「いぎの葉もち」など多くの別名で親しまれる端午の節句の菓子。サルトリイバラの葉を使うことに「家系が絶えない」という縁起が込められ、田植えの楽しみとしても食べられてきた。

いが餅
「胃が治る」という語呂合わせから名付けられたともいわれる、呉の秋祭りの風物詩。蒸し立てのもちもちした皮と、カラフルなもち米の粒々とした食感が特徴の菓子。
ふるさと納税柚餅子
参勤交代の大名も愛した岡山の柚餅子。柚子の産地ならではの爽やかな香りが特徴で、江戸時代から続く宿場町の銘菓である。
徳島県の名物

島そうめん
れんこ鯛の煮汁をめんつゆ代わりに使う独創的なそうめん。出羽島の漁獲物を余すところなく味わう知恵が詰まっている。

阿波のいとこ煮
戦時中は砂糖なしで作られた甘煮が、今や徳島の冬の風物詩に。干し芋の凝縮された甘みと小豆の優しい味わいが、寒い季節の体と心を温める。

鯛めし
鳴門海峡の渦潮にもまれて身が引き締まった「鳴門鯛」を丸のまま米と炊き上げる豪快な郷土料理。鯛の旨味がご飯に染み込み、観光客にも人気が高い。

ボウゼの姿寿司
秋祭りの行事食として、魚の形をそのまま残す「姿寿司」は徳島ならではの見事な技。かつて高級魚とされたボウゼを使い、背開きにした身ですし飯を包む。

伊勢エビの味噌汁
出荷できなくなった「あがり」と呼ばれる伊勢エビを惜しみなく使う、徳島の漁師家庭に伝わる贅沢な味噌汁。高級食材を豪快にぶつ切りにして、身とだしを余すところなく味わう。

ゆずかん
国のGI保護制度に登録された「木頭ゆず」を丸ごと味わうゼリー。皮・実・果汁を余さず使い、半分に切ったゆずを器にする華やかなデザートである。