
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
さつま芋を薄切りにして天日干しした「かんころ」を餅米と練り合わせ、つき上げた食べ物である。本来は素材の甘みだけを頼りとした素朴な味わいだったが、近年は砂糖を加えた和菓子調のものも多い。長崎県五島地方に古くから伝わり、冬の保存食として各家庭で作られてきた。かつては高価な餅米を節約しながら家族全員が十分な量を食べられるよう、かんころを混ぜる工夫が生まれたという。現在は五島地方を中心とする長崎の特産品として定着し、メーカー製品が通年販売されるほか、地元飲食店でも名物メニューとして提供されている。家庭ごとの味の違いは減少した一方、むらさき芋やよもぎを加えたバリエーション商品が登場するなど、現代の食文化に適応しつつある。
由来・歴史
五島地方に古くから伝わる郷土食で、江戸時代に迫害を受けて五島列島に渡ったキリシタンの人々が食料確保のために作り始めたという伝承がある。名称は天日干ししたさつま芋の薄切りを指す「かんころ」に由来し、これを餅米に混ぜてつくることから「かんころ餅」と呼ばれるようになった。餅米が高価だった時代、かんころを加えることで量を増やし家族全員が食べられる工夫が生まれた。
食べ方
棒状に成型した餅を切り分けて焼くのが基本の食べ方だが、バターを添えたり天ぷらにするなど現代風のアレンジも広まっている。かつては各家庭で冬の保存食として作られていたが、現在は商品化により通年食べられるようになった。地元飲食店では年中名物として提供され、むらさき芋やよもぎを練り込んだ見た目のバリエーションも楽しめる。
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産地
餅の名物

赤餅
鎌倉時代に群馬から伝来した赤もろこしの粉でつくる赤色の餅。水害に強いもろこしは、利根川流域で米の代わりの主食として重宝された。

あんもち雑煮
砂糖が貴重だった時代、年に一度の正月にだけ味わえた特別な甘味。白味噌の風味とあん入り餅の組み合わせは、讃岐の食文化が生んだ贅沢な一椀である。

べこもち
北前船が運んだ江戸の菓子が、下北の職人技で花模様の芸術菓子へと進化。端午の神棚に供え、子どもたちに配られる縁起物である。

ふつもち
「ふつ」はよもぎの古称。佐賀では桃の節句に菱餅の代わりにふつもちを供える独特の風習があり、全国でも珍しい春の味覚として親しまれる。

いももち
鳴門市に19世紀後半にさつまいもが伝わった頃から親しまれる餅菓子。砂糖が高級品だった時代、甘くて腹持ちの良いさつまいもが庶民の貴重な甘味として重宝された。

柏餅
柏餅は山口県で「ほてんどもち」「いぎの葉もち」など多くの別名で親しまれる端午の節句の菓子。サルトリイバラの葉を使うことに「家系が絶えない」という縁起が込められ、田植えの楽しみとしても食べられてきた。
長崎県の名物

長崎天ぷら
南蛮貿易のポルトガル人が食べたフリッターが原型で、衣に味がついた独特の揚げ物。400年の歴史を持ち、天ぷらの起源説も存在する長崎の名物料理である。

鯨じゃが
鯨肉を使った長崎版肉じゃが。鯨特有の臭みをじゃがいもやたまねぎがやわらげ、老若男女が楽しめる家庭の味として親しまれてきた。

ひきとおし
「引き通し」がなまって「ひきとおし」となった、壱岐島のもてなし料理。鶏肉と壱州豆腐、そうめんを鍋に入れ、鍋の水に壱岐焼酎を注ぐのが特徴的な食べ方である。

押し寿司(もろぶた寿司)
室町時代の武将・大村純伊の凱旋を祝って生まれたとされる押し寿司。浅い木箱「もろぶた」を使い、シャリで具を挟む形が武士の精神を反映するという独自の伝承も残る。

鼻はじき
辛子酢みその刺激で鼻がツンとするから「鼻はじき」。諫早の法事に欠かせなかった精進料理が、今は家庭の定番おかずに。

ぬっぺ
「ぬっぺ」の名は、さといものとろみで「ぬっとり」することに由来する。諫早の法事や祝いの席に欠かせない、保存が効く煮物である。