
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
薄紅色のサクラマスを酢漬けし、笹を敷いた木製の曲げ物に酢飯と重ねて押し固めた押し寿司である。富山県は神通川のサクラマス漁で知られ、春の訪れを告げる貴重な食材を用いる。祭事やお盆、年末年始などめでたい場面で食べられ、贈答品としても重宝される。家庭での手作りは少なく、市内に20軒以上ある専門店で購入するのが一般的。マスの厚みや酢加減、押し具合は店ごとに異なり、多くの県民がそれぞれのお気に入りの店を持つ。
由来・歴史
江戸時代享保年間、富山藩士・吉村新八が三代目藩主・前田利興のために鮎の鮓を作ったのが発祥。前田利興が将軍吉宗へ献上し、吉宗の賞賛を受けて富山名物となった。当初は鮎を用いたが、後に春の神通川に遡上するサクラマスに替わり、現在の形に発展。大正時代に駅弁として売り出され、鉄道の普及とともに全国に知れ渡った。
食べ方
木製の丸いわっぱに笹を放射線状に敷き、酢飯を均一に広げてから酢漬けマスをのせる。笹を折りたたんで蓋をし、重石を乗せて押し固める。笹で包むことで美味しさが熟成される。通年食されるが、普段は専門店で購入し、祭事やお盆、年末年始などのめでたい場面で味わうのが一般的である。
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産地
寿司の名物
ふるさと納税みょうが寿司
鮮やかなピンク色の「小佐波みょうが」とマスを合わせた富山の伝統寿司。かつては茶わんに盛るちらし型が主流だったが、笹包みの押し寿司として生まれ変わり、ハレの日以外も親しまれるお土産に。

かぶらずし
武士しか食べられなかったブリを、農民がかぶに隠して食べたのが始まりともいわれる発酵寿司。富山県西部に脈々と伝わる冬のご馳走で、正月のハレの日に欠かせない味である。

おせずし
「押しずし」が訛った名前の由来を持つ、富山県新川地区の押し寿司。焼きサバのほぐし身を酢飯で挟み、海苔をのせて一晩重石で押し固める。四角く切り分けるのが特徴で、春祭りや「たてもん祭り」などの伝統行事で大皿に豪快に盛られる。

鯖の箱寿司
1261年、日蓮上人をかくまった漁師が井桁の重箱で食を運んだことが由来。伊豆の祭りで配られる鯖の箱寿司は、地元の魚をほぐした「おぼろ」と煮物を酢飯に盛り込む豪快な郷土料理である。

げんなり寿司
巨大な押し寿司を食べると「げんなり」疲れることから名付けられた、伊豆稲取の縁起物。キンメダイの紅白おぼろを山と盛り、祝い事に親戚へ配る豪快なハレ料理である。

にぎりずし
江戸時代の屋台食から世界へ広まる日本の食文化。具材より飯を食べて小腹を満たした庶民の味が、高級料亭から回転寿司まで多様な形で親しまれている。
富山県の名物

たけのこの味噌煮
昆布のうま味を利かせた富山ならではの「たけのこの味噌煮」。射水市黒河の黒土が生む独特のほろ苦さと、高岡市西田のやわらかな歯ごたえが、春の訪れを告げる。

報恩講料理
朱塗りの御膳に山盛りの郷土料理が並ぶ、浄土真宗の報恩講に欠かせない「ほんこさま」の食。五箇山では春に摘んだ山菜や堅い五箇山豆腐の煮物が供えられ、膳に収まらない料理は「オトシ」と呼ばれる。

雑煮
富山県の雑煮は東西で全く異なる顔を持つ。海沿いではフクラギなどの魚介を贅沢に、内陸では根付き白ネギで長寿を願うシンプルな一杯。どちらも欠かせないのは、昆布巻きかまぼこである。

たら汁
富山県朝日町発祥の漁師の汁物。漁に出た男たちを温かく出迎えようと、女房たちが流木を集め大鍋を沸かして作ったのが始まり。現在は国道8号沿いに「たら汁街道」が形成されている。

いかと里いもの煮もの
富山湾の鮮度抜群スルメイカと、江戸時代から続く伝統野菜サトイモを煮込む冬の定番。プリッとした食感とねっとりとしたやわらかさの対比が魅力の、ご飯にも酒にも合う家庭的な味わいである。

ぶりしゃぶ
富山湾の王者「寒ブリ」を、刺身のままさっとだし汁にくぐらせる贅沢な食べ方。表面だけに火が通り、中はレアな状態で旨みが閉じ込められる。氷見漁港のブランド「ひみ寒ぶり」で味わう冬のご馳走である。