
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
醤油・砂糖・酒を合わせた割り下で、牛肉とネギ・春菊・焼き豆腐・しらたきなどを煮込む鍋料理である。東京は芝白金に明治初期の牛処理場が設けられ、開港とともに肉食文化が流入した土地柄で、牛鍋店が大流行した経緯がある。かつては店で食べるものだったが、現在は家庭でも一般的に作られている。関西風とは異なり、関東の家庭では割り下を煮立てて肉と野菜を同時に入れる作法が主流となっている。
由来・歴史
江戸時代中期、関西には農具の鋤で魚介を焼く「魚すき」があり、これを牛肉に応用したのが「鋤焼」の語源とされる。東京では1860年のイギリス公使館設置を機に牛肉需要が生まれ、牛鍋店が勃興。当初は味噌ベースだったが、肉質向上とともに醤油・砂糖・酒の割り下へと変化した。1923年の関東大震災で牛鍋店が壊滅した後、関西から「すき焼き」の呼称が伝わり、東京の老舗店では関西同様の炒め煮法が主流となった。
食べ方
鍋に割り下を入れて煮立て、牛肉と野菜・豆腐・しらたきを並べて煮込む。好みの煮え加減になったら溶き卵にくぐらせて食べる。かつては外食のご馳走だったが、現在は年末年始や家族の集まりなど、家庭でも気軽に作られる鍋料理となっている。
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産地
焼き物の名物

鰻のかば焼き
「江戸前」はもともと鰻から生まれた言葉。大川河口で獲れた鰻を「江戸前鰻」と呼んだことが始まりで、関東独特の背開き・蒸し・たれ焼きの技法が確立された。

もんじゃ焼き
「文字焼き」から転じた名前の由来が興味深い、鉄板とヘラで熱々をすくい食べる東東京のソウルフード。戦後の子どもの駄菓子が大人のつまみへと進化した。

かんこ焼き
雅楽の太鼓「鞨鼓」に似た形が名前の由来。江戸時代から続く相模原・津久井の山間の知恵が詰まった、灰で蒸し焼きにした素朴なおやき。

玉子焼き
江戸庶民のごちそう「玉子ふわふわ」が起源とされ、落語「王子の狐」にも登場する王子扇屋が今も手焼きで守る。関東の甘め厚焼きと関西のだし巻き、東西で味わいが分かれる卵料理の代表。

たらし焼き
生地をたらして焼くことから名付けられた埼玉の小昼飯。うどんほど手間がかからず、畑仕事の合間に重宝された小麦粉のおやつである。

焼きまんじゅう
江戸時代末期に前橋の原嶋類蔵が考案した「味噌づけまんじゅう」が起源。竹串に刺した発酵まんじゅうに甘みのある味噌だれを塗って焼く、群馬を代表する小麦粉菓子である。
東京都の名物

穴子寿司
「おいしい鮨屋はあなごでわかる」と言われる江戸前ずしの定番。東京湾の栄養豊かな海で育った穴子を、職人がぬめりを取り除き丁寧に煮上げる技が光る。

島ずし
江戸前の「ヅケ」技法のルーツともいわれる、伊豆諸島の島ずし。ワサビの代わりに練りがらしや島唐辛子の「島とう醤油」を使う独特の食文化が、各島で独自に発展した。

にぎりずし
江戸時代の屋台食から世界へ広まる日本の食文化。具材より飯を食べて小腹を満たした庶民の味が、高級料亭から回転寿司まで多様な形で親しまれている。

のしこみうどん
「のしこみ」の名は打ち伸ばした幅広麺に由来し、奥多摩の厳しい冬に山仕事帰りの体を温めた鍋物。煮干しと椎茸のだしに野菜の甘みが染み込む。

おくたまワサビのTOKYO-X巻き
すりおろすのが常識だった奥多摩わさびを刻んで豚肉と巻き焼くという発想の転換が生んだ、2011年のコンクール最優秀賞受賞メニュー。鼻に抜ける辛さとジューシーな肉の旨味が絶妙に調和する。

治助芋のネギ味噌
100年以上続く奥多摩の名産「治助芋」は、山梨から嫁入りした女性が持参した芋を治助さんが広めたことに由来する。濃厚な味わいの蒸し芋にネギ味噌を添える素朴な郷土料理である。