
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
半搗きにしたもち米とうるち米のごはんの上に、すりつぶした枝豆の餡を厚く塗り重ねる郷土料理である。主に長野県の諏訪地域と上伊那地域に伝わり、諏訪地方では「盆豆」と呼ばれる枝豆を田んぼのあぜで栽培する風土があった。8月から9月中旬の盆、月見、彼岸など夏の節目に欠かせず、帰省した家族や親戚をもてなす機会に各家庭で作られてきた。甘味のほか塩味のみのバリエーションもあり、茶碗盛りや丸めた形状など、作り方や盛り付けは家々で異なる。現代でも伝統的な供え物としての役割を保ちつつ、地域の食文化を象徴する存在となっている。
由来・歴史
「のた」とは枝豆をゆでてすり鉢で潰し、砂糖と塩で味付けした餡のこと。宮城県の「ずんだ餅」に似るが、こちらは半搗きのごはんに餡を塗りたくるスタイルが特徴である。諏訪地域では盆の供えとして仏前に捧げる伝統があり、上伊那地域では「じんだ餅」の別名でも知られる。鮮やかなウグイス色が視覚的な魅力を添えている。
食べ方
半つき程度に潰したごはんに、枝豆の餡をたっぷりと載せて食べる。餡は砂糖を加えた甘味のものと、塩だけで味付けしたものの二種類があり、茶碗に盛るかごはんを丸く成形して上に餡をのせるなど、家庭ごとに多様なアレンジが見られる。枝豆の収穫期である8月から9月中旬の盆や月見、彼岸など、夏の季節の節目に食される。
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産地
餅の名物

性学もち
江戸時代の農民指導者・大原幽学が考案した「うるち米の餅」。もち米が高価だった農民に餅の味を届けるため、二度蒸して搗く独自の製法を生み出した。

そらきたもち
「そらきた!」というほどすぐ作れることから名付けられた姫島の郷土菓子。蒸さずに練るだけの手軽さで、急な来客にも対応できた。

酢もち
正月の最後の餅を手でちぎり、大根おろしとだいだいの合わせ酢で和える福岡県豊前地域の郷土料理。ジアスターゼとクエン酸が入った消化に良い健康食として古くから伝わる。

ねりくり/ねったぼ/芋もち
宮崎弁で「つきまぜる」を意味する「ねりくり」は、餅と蒸した甘藷を練り合わせた都城市の伝統菓子。正月の餅つきの最後に一臼分を甘藷で搗き上げる風習が残る。

納豆餅
顔と同じ大きさの巨大な餅に納豆を練り込む京北の正月名物。戊辰戦争の山国隊が出征の際に携行した携行食がルーツとされ、正月三が日かけて食べる風習が残る。

ないしょ餅/なべ餅
杵と臼を使わず鍋の中でこっそりつくる「ないしょ餅」。隣近所に聞こえないようにペッタンペッタンと音を立てずに作ることから、家族だけで内緒で食べる楽しさが名前の由来となった。
長野県の名物

野沢菜漬
霜に当たると甘く柔らかくなるという野沢菜の特性を活かし、宝暦6年に野沢温泉村の住職が京都から持ち帰った天王寺かぶが突然変異して生まれた県を代表する漬物。高冷地の厳しい冬を越す知恵が詰まった味である。

おしぼりうどん
「あまもっくら」と呼ばれる奥深い味わいが特徴。辛味大根の絞り汁に信州味噌を溶かしたつけ汁で、冬の坂城町で体の芯から温まる郷土の一杯である。

おやき
信州を代表する「おやき」は、縄文時代から続く小麦文化の結晶。囲炉裏の灰で蒸し焼きにした「灰焼きおやき」が元祖で、今では焼く・蒸す・蒸して焼くなど調理法も千差万別。

にらせんべい
米が貴重だった山間部で生まれた「粉もの」の知恵。にらを混ぜた小麦粉の生地を薄く焼き、味噌だれや醤油だれをたっぷりつけて食べる、長野・北信の素朴な味。

こねつけ
戦国武将・真田幸村が出陣前に腹ごしらえしたと伝わる郷土料理。米が貴重だった時代、小麦粉を混ぜて焼き上げた携行食が、今はおやつとして親しまれている。

鯉こく
1746年に伊勢神宮の神官を招いて振る舞ったことが正月の食習慣となった「鯉こく」。清流・千曲川で3〜4年かけて育てた「佐久鯉」を味噌で煮込み、一年の健康を願う佐久地域の伝統料理である。