
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
紅白に加え黄色と緑の餅を榎木の枝に刺した「めの餅飾り」を、1月30日頃に片付ける際に油で揚げたあられである。醤油やきな粉で味付けして食べる。主な伝承地は宮崎県西諸県郡の高原町・小林市および椎葉村で、山間部の農村において五穀豊穣と家内安全を祈る小正月行事として発達した。1月15日の朝、小鳥が起きる前に切り取った榎木に餅を刺し、床の間や軒先、仏壇・墓などに飾る。家庭ごとに餅の色合いや榎木の飾り方に違いがあり、現代では伝統行事としての側面とともに、郷土の味覚として親しまれている。
由来・歴史
「めの餅」の語源は「繭(まゆ)のもち」とされ、養蚕の豊産を祈って繭をかたどったのが起源と伝わる。南九州地方に古くから伝わる小正月の厄払い・豊穣祈願の飾りであり、春の訪れを祝う意味も持つ。「あられ」は奈良時代に宮廷で使われた唐風の菓子で、平安時代には「山城風土記」に「アラレ餅」の記録が見られ、江戸時代に商品化された。名は餅を煎る音や膨らんだ形が氷粒の「霰」に似ることに由来する。
食べ方
1月15日の小正月につくっための餅飾りを、1月30日頃まで飾った後、榎木から外して油で揚げる。揚げたてに醤油をかけるか、きな粉をまぶして食べる。年に一度の小正月から月末にかけての季節限定の味である。
オンラインで買う
ふるさと納税で取り寄せる
産地
餅の名物

みかん餅
荒海を決死で渡った豪商の伝説を持つ有田みかんを、もち米と練り合わせた郷土菓子。蒸し上げた後に皮を剥き、爽やかな酸味と香りを閉じ込めた一品。

みつめのぼたもち
「みつめのぼたもち」は、第1子誕生3日目に食べる巨大なぼたもちである。栄養回復と母乳祈願の思いを込め、親戚や近所へ配る風習が江戸時代から続く。

ないしょ餅/なべ餅
杵と臼を使わず鍋の中でこっそりつくる「ないしょ餅」。隣近所に聞こえないようにペッタンペッタンと音を立てずに作ることから、家族だけで内緒で食べる楽しさが名前の由来となった。

葛餅
「葛」の名は奈良・吉野の山の民「国栖人」が由来。真冬の地下水で精製した吉野本葛の透明な弾力と、ほんのり温かい中身のもちもち食感が魅力の和菓子である。

くじら餅
「久しく持つ良い餅」が転じた名前の通り、江戸時代から300年続く保存食。新庄藩の兵糧食が起源とされ、桃の節句の雛菓子として今も親しまれる。

こっぱもち
「こっぱ」とは小さく切るという方言で、輪切りにしたさつまいもを天日干しした保存食を指す。天草の軒先に吊るされた光景は冬の訪れを告げる風物詩であった。
宮崎県の名物

菜豆腐
平家の落人伝説が残る宮崎県椎葉村に、京料理を思わせる「菜豆腐」が伝わる。大豆を節約しつつ四季の花や青菜を混ぜ込む知恵が、藤の花豆腐など独特の姿に結実した。

七とこずし
「七とこさんの日」に近所7軒から分けてもらう、子どもの成長を願う行事食。七草粥とは異なり、餅と里芋・せりなどを炊き込んだ雑炊である。

ねりくり/ねったぼ/芋もち
宮崎弁で「つきまぜる」を意味する「ねりくり」は、餅と蒸した甘藷を練り合わせた都城市の伝統菓子。正月の餅つきの最後に一臼分を甘藷で搗き上げる風習が残る。

めひかりの唐揚げ
青く輝く大きな目が特徴の深海魚「メヒカリ」を丸ごと揚げた一品。かつては雑魚として捨てられていたが、延岡市の料理店が開発したことで脚光を浴び、今や地元の人々が解禁を待ちわびる名物となった。

かっぽ鶏
「かっぽ」は竹を指す高千穂の方言。水を注ぐ「かっぽかっぽ」という音が名前の由来で、青竹を器にして鶏肉や野菜を蒸し焼きにする、竹の香りと瀝青油のまろやかな味わいが特徴の郷土料理である。

かに巻き汁
カニを丸ごとすりつぶして味噌汁にするという驚きの調理法。臼と杵で砕いた「山太郎ガニ」が、おぼろ豆腐のようにふわふわと浮かぶ北郷町の秋の味覚である。