
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
小麦粉に重曹を加えてふっくらと蒸し上げた皮で、小豆あんを包んだまんじゅうである。皮は耳たぶより柔らかな生地に仕上げ、砂糖水で甘みをつける。栃木県は台地や二毛作田が広がる日本有数の麦作地帯であり、6月から7月にかけての大麦・小麦収穫後、挽きたての小麦粉が盆前に出回る。年中行事や冠婚葬祭に欠かせない料理として、特に盆行事には新鮮な小麦粉で作られた。家庭ごとにカボチャやほうれん草、春菊を皮に練り込むなど色とりどりのバリエーションが生まれ、黒糖を使えば茶まんじゅう、あんも味噌やサツマ芋へ応用されるなど、現代も創意が加わり続けている。
由来・歴史
栃木県は二毛作で麦作が盛んであり、古くから小麦を使った料理が親しまれてきた。旧暦7月1日の「釜蓋朔日」には、地獄の窯の蓋が開きご先祖が迎え盆へ向けて旅立つと伝えられ、この日に「釜蓋まんじゅう」を供えて空腹をしのがせた。小麦収穫後の新鮮な粉を使い、盆行事の欠かせない料理として各家庭で受け継がれてきた。
食べ方
小麦粉に重曹を入れふるいにかけ、砂糖水で耳たぶより柔らかな生地をこね、あんを包んで蒸す。近年は皮にカボチャやほうれん草、春菊のペーストを加えた彩り豊かなものや、黒糖を使った茶まんじゅう、味噌あん・サツマ芋あんなど多様な応用が見られる。主に盆行事を中心に年中行事や冠婚葬祭で食べられ、6〜7月の小麦収穫後の新鮮な粉を使って作られることが多い。
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産地
まんじゅうの名物

焼きまんじゅう
江戸時代末期に前橋の原嶋類蔵が考案した「味噌づけまんじゅう」が起源。竹串に刺した発酵まんじゅうに甘みのある味噌だれを塗って焼く、群馬を代表する小麦粉菓子である。

炭酸まんじゅう
重曹の苦味がアクセントの蒸しまんじゅう。砂糖が希少だった時代、十五夜や農作業のご褒美として特別なごちそうとして重宝された。

うでまんじゅう
「ゆでまんじゅう」がなまって「うでまんじゅう」となった埼玉県所沢市の郷土菓子。蒸すのではなくたっぷりのお湯でゆでることで、もっちりとした独特の食感が生まれる。

ひなまんじゅう
桃の節句に子供が「おひなさん、おみせってくなんせ」と家々を回り、もらうのが楽しみだった花形まんじゅう。江戸時代から続く花巻・大迫の宿場町の風習が残る。

小麦まんじゅう
埼玉県の七夕やお盆に供える、ふんわり柔らかな小麦粉生地の蒸しまんじゅう。所沢の「ゆでまんじゅう」と対をなす、シンプルながら深い味わいの郷土菓子である。

いがまんじゅう
赤飯が栗のイガのようにまんじゅうを覆う、埼玉県北東部の縁起菓子。甘じょっぱい味わいともっちり食感が意外な調和を生み、ハレの日に親しまれてきた。
栃木県の名物

かてそば
「かて」とは増量材のこと。食糧難の時代に庶民に広まった知恵が、今も鹿沼の「にらそば」や佐野の「だいこんそば」として親しまれている。

ちたけうどん(そば)
盆の時期に採れる「ちちたけ(乳茸)」を使った、平地林が広がる栃木県平野部ならではのうどんだ。香り高きのことなすの相性が抜群で、かつては里山で多く採れたが、現在は貴重な味となっている。

板台餅/ばんだい餅
斧の峰で板の台の上で叩いて作ることから名付けられた、うるち米を使った栃木県日光市の餅。もち米より粘りが少なく、時間が経っても固くならないのが特徴である。

さがんぼの煮つけ
「サガンボ」は紡錘形の氷柱を意味する方言が由来で、北茨城から内陸・栃木へ運ばれたサメの身の部分を指す。海なし県で珍重された保存食は、今も正月の「晴れの日」に食卓を飾る。

芋ぐし/いも串
焦げた味噌だれが香ばしい「芋ぐし」は、縄文時代から続くさといもの食文化が生んだ儀礼料理。正月や稲荷社の祭りに囲炉裏を囲んで食べる風習が、那須塩原市や日光市山久保に今も残る。

切干し大根の煮物
冬の空っ風と晴天を活かした乾物文化の結晶。栃木の切干し大根は、天日乾燥で旨みと栄養が凝縮され、カルシウムや鉄分が増えるヘルシー食材である。