
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
「なすそうめん」は、なすとそうめんを出汁で煮こんだ煮物料理である。そうめんは柔らかく煮こまれており、麺料理というより煮物の食感で食べられる。主な伝承地は金沢市で、かつて奥能登・輪島市は室町時代からそうめんの一大産地であり、将軍献上の名産もあったが昭和に衰退した。その名残がこの料理に見られる。暑い盛りや夏バテで食欲のないときに軽く食べられる惣菜として、昔はお盆料理の一品だったが、現在は材料が通年入手できるため四季を問わず食卓に上がる。各家庭で醤油仕立て・味噌仕立て、乾麺の使用などさまざまなアレンジがあり、金沢市のブランド野菜「へた紫なす」を使うと独特の甘みが加わる。
由来・歴史
石川県はかつてそうめんの産地として知られ、奥能登の輪島市では室町時代からそうめんづくりが根づき、漆器の「輪島塗り」以上の長い歴史があった。江戸時代には評判が高まり各地へ輸出され、庶民の進物から将軍への献上品まで用いられたが、昭和に入ると産業として衰退し名産は輪島塗りに取って代わられた。富山県砺波市の「大門そうめん」も、江戸時代後期に薬売りの行商を通じて能登から伝承されたものという。金沢市の「なすそうめん」は、そうめん産地だった名残を残す郷土料理で、食べ残したそうめんを美味しく食べるための先人の知恵が結実したものである。
食べ方
切れ目を入れたなすを出汁で煮て、火が通ったらあらかじめゆでたそうめんを加えひと煮立ちさせる。醤油で味付けるのが一般的だが味噌仕立てもあり、乾麺を使うなど各家庭でさまざまなつくり方がある。熱いままでも冷やしても食べられ、そうめんの煮こみ加減で食感が大きく変わるため慣れが必要である。煮こんでなすと醤油の色に「かぶる」(方言で染まるの意)ことから「なすのそうめんかぶし」とも呼ばれる。暑い夏や夏バテ時の軽い惣菜として日常的につくられ、昔はお盆料理の一品だったが現在は通年食べられている。
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産地
石川県の名物

にしんの昆布まき
北前船が運んだ北海道のニシンと昆布が出会い、能登の祝いの味になった。青柏祭の祝い唄にも登場する、海運の歴史が詰まった保存食である。

押しずし
「おけらずし」という愛称も持つ、金沢の祭りを彩る押しずし。木枠に酢飯と旬の魚を重ね一晩寝かせることで、互いの旨味が調和する。春はタイやアジ、秋はサバやシイラと季節ごとに魚が変わるのも特徴である。

さわらの昆布じめ
石川県ではカジキマグロを「サワラ」と呼ぶ独特の方言が残る。北前船が運んだ昆布で締めた、能登半島発祥の郷土料理。淡白な身が昆布の旨味を吸い、ねっとりとした食感に変わる。

なすのオランダ煮
「オランダ煮」の名は長崎経由で伝わった西洋料理法に由来する。へた紫なすを使った金沢の夏の定番で、冷やして食べるのが一般的だ。

なまこの酢の物
8世紀の木簡に記された能登の名産。平城宮跡出土の文書に「能登からなまこ6斤を都へ」とあり、延喜式にも記録が残る歴史ある冬の味覚である。

みたま
火事を連想させる赤飯に代わり、白山市美川の建前引き出物として定着した黒豆おこわ。江戸時代から続く「おかえり祭り」でも振る舞われる、黒と白の縁起物である。