
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
薄く切った生の馬肉を、薄切りのたまねぎやおろししょうが、にんにくなどの薬味とともに甘口醤油で食べる郷土料理である。馬肉生産量日本一の熊本県、特に軍馬の産地だった阿蘇地域を中心に広まり、明治時代以降に熊本全体へ浸透した。主に正月や祝い事で食されるが、現在はスーパーにも並び日常的に食べられている。ロースやももなど部位による味わいの違いがあり、ふたえご・ネッコ・コーネなど馬肉独特の呼び名も多く、家庭や店舗によって部位の選び方や薬味の組み合わせに違いがある。
由来・歴史
発祥は諸説あるが、熊本藩初代藩主・加藤清正が朝鮮出兵時に食料不足で軍馬を食べてその美味しさを知り、帰国後も好んで食べたという説が有力である。江戸時代には一部の農民のみの食習だったが、明治以降に熊本・阿蘇へ広まり、戦後の食糧難で馬肉が食べ始められたことで一般に定着した。昭和30年代には飲食店でも扱われるようになった。
食べ方
酸化しやすいため、店では注文が入るまで塊のまま冷やし、切りたてを提供する。スライスたまねぎ・おろししょうが・おろしにんにく・小口切りの小ねぎなどの薬味を添え、甘口醤油で食べる。霜降りやコーネなどの馬の脂は融点が低く溶けやすいため、早めに食べるのがよい。納豆と合わせうずらの卵をのせた「桜納豆」も酒のつまみとして人気である。主に正月や祝い事で食されるが、現在は日常的にも食べられている。
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産地
熊本県の名物

ぶたあえ
豚肉の代わりにタコを使ったユニークな「ぶたあえ」。沖縄のゴーヤチャンプルーがルーツであり、天草湾のマダコを貴重な豚肉の代替食材として炒めたことから、この名が残った。

だご汁
熊本弁で「だんご」を意味する「だご」が名の由来。国道57号線沿いには「だご汁街道」と呼ばれる店舗群があり、地元では農作業の合間に親しまれる腹持ちの良い郷土料理である。

がね揚げ
天草の方言で「がね」はカニのこと。揚げた姿がカニの足に似ることから名付けられた精進料理で、仏事には欠かせない一品として長く親しまれてきた。

馬肉蕎麦
「肉そば」と言えば馬肉だった熊本の食文化。戦後の食糧難で軍馬の肉を使ったことから広まり、今ではカレーにも使われるほどポピュラーな食材となった。

阿蘇高菜漬け
「高菜折り」と呼ばれる手折り収穫が今も残る阿蘇の伝統野菜。火山灰大地と寒冷気候が育む太い茎を、新漬けと古漬けの2つの味わいで楽しむ。

赤ど漬け
「阿蘇の馬刺し」と呼ばれる鮮やかな赤色の漬物は、里芋の茎を塩と酢で漬けたもの。中秋の名月に収穫されたものほど色が美しく出るとされ、女性たちは漬け方に気を使ったという。