
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
柿なますは、浜田市を中心に生産される西条柿の干し柿を酢の物にした郷土料理である。干し柿のやさしい甘さと、大根・人参のシャキシャキとした食感が調和し、酢・砂糖・醤油で味を整える。日本海の潮風と赤土が育む西条柿は糖度17度以上の緻密な果肉を持ち、干すことでさらに甘みが凝縮される。島根県内全域で栽培されるこの柿は、昔から集落に柿の木が点在し、生果出荷後の11月中旬以降に寒さが厳しくなる前に柿もぎを行い、干し柿やあわし柿、漬け柿など多様な加工法が発達した。柿なますは干し柿の赤色と大根の白色による「紅白」の縁起の良さから、祝宴や正月の定番として親しまれてきた。家庭によっては生柿を用い、柚子の皮を添えるなどアレンジも加わり、現代でも正月の食卓に欠かせない存在として受け継がれている。
由来・歴史
島根県の柿の代表である西条柿は、もともと広島県東広島市西条地区が原産で、中国・四国地方に普及した。日本海の潮風と気温、赤土の相性が良く、島根県では浜田市の生産量がトップレベルにある。4つの溝が入った独特の形状が出雲大社の祭神・大国主命の「打ち出の小鎚」に似ていることから「こづち」の名でブランディングされている。昔は焼酎漬けで渋抜きしていたが、現在はドライアイスを用いる技術に変わり、品質が向上した。
食べ方
干し柿を食べやすく切り、細く切った大根とゆでた人参と混ぜ、酢・砂糖・醤油で味を整える。冷蔵庫で味を馴染ませて提供する。干し柿はよく乾いたものを選ぶのがポイントである。生柿を用いる場合は色が鮮やかなため人参を省略し、柚子の皮を添えると風味が増す。紅白の縁起の良さから、祝宴や正月の定番料理として食べられてきた。
オンラインで買う
ふるさと納税で取り寄せる
産地
島根県の名物

角ずし/箱ずし
江戸の奥方が懐かしんだ味が石見に根付いた押しずし。具が隠れる「角ずし」と切り分ける「箱ずし」があり、嫁入り道具の木枠が代々受け継がれる。

かしわ餅
柏の葉が自生しない島根では、トゲのある「猿取り茨」の葉を巻いて作る。端午の節句や田植え後の「泥落とし」で農家の女性たちがせっせと蒸した、香り高い郷土の味。

鯉の糸造り
鎌倉時代から明治時代まで天皇・将軍の御前料理だった鯉の糸造り。宍道湖の大鯉を糸状に切り、真子をまぶす松江の冬の郷土料理で、四条流の伝統を今に伝える。

出雲そば
日本三大そばの一つに数えられる出雲そばは、玄そばを丸ごと挽く「挽きぐるみ」製法で黒みがかった独特の色合いを持つ。つなぎを2割に抑えた麺は、香り高く食感も良いとされる。

干し大根の煮しめ
石見地方の定番保存食。大根をわらに通して軒先で干し、蒸して再び寒風に晒すという独自の製法で、甘みと旨味が凝縮された干し大根を煮しめる。

へか
農具の「犂(すき)」の先端が鍋になったという、島根県石見地方の個性的な魚介鍋。新鮮な一日漁の獲物を豪快にぶつ切りにして、甘辛い割り下ですき焼き風に味わう。